鞄を持った女 | Untitled

鞄を持った女(’61)イタリア国旗

監督:ヴァレリオ・ズルリーニ

 

 

幻の映画がついに! 鞄を持った“CC”にやっと出会えた!

 

その大きく重い鞄に、クラウディア・カルディナーレ演じるアイーダが

背負ってきた人生の重みが詰め込まれているかのようで・・・

 

 

夫に先立たれたナイトクラブの歌手アイーダ

(クラウディア・カルディナーレ)は、金持ちの息子マルチェロと

親しくなり旅に出るが、見知らぬ町で鞄ごと置き去りにされてしまう。

苦労してマルチェロの自宅を探し出したアイーダだが

出てきたのは彼女を追い払うよう兄に頼まれた弟

ロレンツォ(ジャック・ペラン)。アイーダを気の毒に思ったロレンツォは

金品を贈ったり、顔の効く高級ホテルに宿泊させたりと

何かと世話を焼くのだったが・・・・・。

 

 

『山猫』『8 1/2』より前の、まだ、あどけなさも残る

クラウディア・カルディナーレ(22~3歳でしょうか)もう、めっちゃ綺麗ラブラブ

野性味溢れるセクシーさワオ の中にも初々しさもあって・・・・

 

で、相手役がなんと『ニュー・シネマ・パラダイス』で中年になった

トトを演じたジャック・ペランなんですよ。弱冠20歳(しかも、16歳という設定)

 

生きていくために男から男へと渡り歩く女性歌手と

金持ちのお坊ちゃんとの叶わぬ恋・・・・・という

ありがちと言えばありがちのラブ・ストーリーですが

“ネオ・レアリズモ”の流れを汲みながら、カルディナーレの

セクシーさは敢えて前面に押し出さず、プラトニックな

せつな~い恋物語に仕上がっています。

でも、やっぱり、野性味溢れるセクシーさワオ は隠せない(笑)


 

この映画、最大の見せどころは前半部分にあって

金がなくボロ宿のお代すら払えないアイーダにロレンツォは

お金を工面してあげたりするんですけど、家族がいない時間に

豪華な自宅に招き入れ、食事したり、お風呂に入れさせたりするんです。

 

お風呂からあがるアイーダを待っていたロレンツォは階下から

レコードを流す。流れてきたのは、ヴェルディの歌劇「アイーダ」のアリア

アイーダは、何してんの?って顔で流れる曲を聴くんですけど

 

そして君のもとへ♪ わが優しきアイーダ♪

 

な~んだ、そういうことねって笑い飛ばし、その気になって

階段をゆっくり降りてくる・・・・・その神々しいことっ!!

二人は見つめ合い、アイーダはバスローブの胸元を整える。

それは、彼女が16歳の少年を男として意識した瞬間・・・・・

素晴らしいシーンでした。

 

流れたアリアは、第一幕の「清きアイーダ」

この先、この歌を聴くと、カルディナーレの姿を思い起こすことでしょう。

 

 

 

幸せよ、背をむけないで! 青年の純愛にむせびなく流浪の女アイーダ!
「激しい季節」のヴァレリオ・ズルリーニ監督が描く切なく哀しい恋。