山猫(’63)
原作 : ジュゼッペ・ランペドゥーサの同名小説
監督 : ルキノ・ヴィスコンティ
前回、鑑賞したのは、オリジナル版を26分短縮した「英語国際版」
しかも、VHSだったし・・・・
オリジナル・ネガは保存状態が悪く、過度の経年劣化を起こしていたものの
イタリア当局が国家予算を投じ修復に努め、’03年に晴れて「イタリア語・完全復元版」が完成。
これを観て初めて 『山猫』 を観た! と言えるのではないでしょうか。素晴らしいっ。
1,860年春、統一戦争下のイタリア。腐敗した貴族支配からの解放を目指す統一運動の波は
ここシチリア島にも押し寄せる。そのシチリアを300年の長きに渡って統治してきたのは
“山猫”の紋章を持つ名門貴族サリーナ公爵家だった。 自らの終焉を感じながらも
これまで通り優雅に振る舞うサリーナ公爵(バート・ランカスター)
「我々は山猫だった。獅子だった。山犬や羊どもが取って代わる。」
ヴィスコンティ作品は、どれも代表作と呼べるぐらい素晴らしい作品の数々。
ただ晩年の作品は、禁色の深みが増して観る人を選んでしまうきらいがあった。
名門貴族の末裔でもあるヴィスコンティが、“没落貴族” を正攻法で描き
新興ブルジョアジーの令嬢と政略結婚したという作品との共通点もあり
「ヴィスコンティが唯一自身を語った作品」 とも評され
『山猫』 こそ、ヴィスコンティの代表作と呼ぶ声が高いのもうなずけます。
そんな、滅びゆく者の美しさを体現していたのがバート・ランカスター。
瀕死の老人が描かれた「義人の死」を前に老いと孤独、近く訪れる死を思う。
「我々が身を委ねている甘い怠惰な時の流れも、すべて実は官能的な死への欲求なのだ。」
全篇の3分の1を占め、もう2度と描けないのではと言われている大舞踏会のシーン。
人工の光源を排除して自然光のみで撮影。室内での撮影で不足した光量を補うため
多数の蝋燭が点火され、セット内は蒸し風呂のような暑さとなった。
というのは、前回書きましたが、ドレスや絵画の色の深み、それを照らす蝋燭の淡い光。
そして、一瞬で空気を変えるカルディナーレの美しさ。やはり、高画質で観ないとですっ。
バート・ランカスターとクラウディア・カルディナーレが踊るワルツ。
舞踏会デビューを果たし、貴族の仲間入りを果たした若く美しい女性の姿。
その一方で、貴族としての最後の輝きを見せた老いの山猫。
この上ない感動に浸っていたものの、マーティン・スコセッシらにより
手がけられた最新のHDマスター修復版が ’11年に発売されていた・・・・・
しかも、ブルーレイも・・・・悪徳、いや商売上手ですね(笑)
値が落ち着いてきたら購入してみます。
カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞受賞作
カンヌ国際映画祭受賞作
ルキノ・ヴィスコンティ監督作品
シチリアを舞台に、貴族社会における新勢力と、その影で滅びゆく者の美学を豪華絢爛に描いた、ルキノ・ヴィスコンティ監督が贈る一大叙事詩。
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