逢びき | Untitled



逢びき(’45)イギリス


原作:ノエル・カワードの戯曲「静物画」

監督:デヴィッド・リーン



ロバート・デ・ニーロ×メリル・ストリープの「恋におちて」の元ネタで

不倫ラブ・ロマンスの古典なのですが、まあ、それなりの映画なんだろうと

今までスルーしていましたが、これがまた映画としての完成度が素晴らしいっ!



毎週木曜、町へ買い物に出かける主婦ローラ(セリア・ジョンソン)

ある日、帰りの汽車を待つミルフォード駅で眼のゴミを取ってくれた

親切な医師アレック(トレヴァー・ハワード)と出逢う。

偶然の再会を経て、二人の心の距離はあまりにも自然に近づいていった。

そして、毎週木曜日の “逢びき” が始まっていく。 

ローラは、いつか訪れる別れのときを覚悟しながらも

抗えないほどの想いに戸惑うのだった・・・。



ドあたまにラスト・シーンをぶち込んで、伏線を張っておいて

ほんとのラストに、別視点でのラスト・シーンを見せるという大胆な演出

時系列を入れ換えたり、同じシーンを別の視点からもう1度見せる

といった手法は、タランティーノの 『パルプ・フィクション('94)』  

日本でいうと、西川美和の 『ゆれる('06)』 とかがありましたけど

キューブリックの 『現金に体を張れ('56)』 で、この手法はすでにやっていて

さらにさかのぼったら、黒澤明の 『羅生門('50)』 という、フェリーニやベルイマン

アラン・レネといった多くの巨匠たちに影響を及ぼした作品がありました。

私の中では 『羅生門』 が起点となって、さまざまな名作が生まれていった・・・・

ていう認識を持っていたのですが、あながち間違いではないにせよ

この 『逢びき('45)』 は、さらに先を行ってたのですね。



この映画のいいところは、美男美女の競演じゃないところ(笑)

すれ違っても振り返らないほど、どこにでもいる中年男女が

ひょんなことから知り合い、お互いが惹かれ合っていき

愛し合い、苦悩し、そして、別れにいたる・・・・・

場合によっては退屈になりがちな不倫劇を

実にリアルに、実に巧みな構成で描いています。

なんてったって、すべてが終わってしまってからドラマが始まるのですから・・・・・




カンヌ国際映画祭パルム・ドール(当時グランプリ)受賞作




許してほしいすべてを。君を愛して。苦しませたこと。
巨匠デヴィッド・リーンが映画史に残したあまりにも切ない別れのシーン
許されざる愛を描く永遠の傑作
逢びき [DVD]/シリア・ジョンスン,トレヴァー・ハワード

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