いよいよ8月26日午前1時35分から放送のオランダ国立バレエ「ジゼル」全幕。

 

プレミアム・シアター、時間がややこしいですが、今日の深夜ですので!

今日中の録画をお忘れなく!!!

 

 

 

さて、今回は、注目の配役をたっぷりとご紹介していきますよ~。

 

ジゼル:オリガ・スミルノワ

 

 

 

 

 

いわずと知れた、元ボリショイ・バレエのプリンシパル。

 

名門ワガノワ・バレエ・アカデミー(リュドミラ・コワリョーワに師事)を2011年に首席で卒業。

マリインスキー・バレエを蹴って、ボリショイ・バレエへ破格のソリスト待遇で鳴りもの入り入団。

入団直後に、ボリショイ劇場改装後こけら落とし公演「眠れる森の美女」で、リラの精を踊っています。

 

 

その後、2016年にプリンシパルへ昇格し、名実ともに、ボリショイ・バレエの顔として活躍してきました。

 

彼女が決断を迫られたのは、2022年。

ロシアによるウクライナ侵攻へ反対し、祖国を去ることを決断、オランダ国立バレエへ移籍したことは、バレエ界以外にも多くの衝撃を与えました。

外国人ダンサーの多くは出国したものの、ロシア出身のダンサーが事実上亡命したのは、非常に稀です。

その後発表された声明では、自らの良心に背いてロシアで踊り続けることはできない、という彼女の強い想いが溢れていました。

 

 

オランダ国立バレエのプリンシパルとなってからは、「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」、「ライモンダ」等で主役を務め、先日は、世界バレエフェスティバルで久しぶりの来日も果たしてくれました。

 

ロシアで培った正統派のスタイルに、より一層の深みを増した表現力が加わった彼女が魅せる「魂のジゼル」です。

 

余談ですが、ボリショイ・バレエで、2018年まで彼女が師事していたマリーナ・コンドラチェワは、ジゼルの名舞踊手の1人でした。

 

アルブレヒト:ヤコポ・ティッシ

 

 

 

 

 

イタリア出身の彼も、やはり元ボリショイ・バレエのプリンシパル。

 

ミラノ・スカラ座バレエ学校を卒業後、マニュエル・ルグリ率いるウィーン国立バレエへ入団、その後ミラノ・スカラ座バレエへ移籍し、コール・ド・バレエから再スタート。

しかし、転機はすぐに訪れます。

 

わずか19歳で、ラトマンスキー版「眠れる森の美女」のデジレ王子に大抜擢、相手役は、あのスヴェトラーナ・ザハロワ。

 

 

これがきっかけで主役を掴むようになった彼は、2017年に当時のミラノ・スカラ座バレエ芸術監督ワジーエフが、ボリショイ・バレエの芸術監督に就任したタイミングで移籍。

イタリア人ダンサーが、ボリショイ・バレエへ入団したのは初のこと。

名舞踊手であったアレクサンドル・ヴェトロフの下、着実にキャリアを積んでいきました。

 

そして、2021年の大晦日、「くるみ割り人形」の主役を踊って、プリンシパルへ昇格。

ところが、そのわずか2ヶ月後、ウクライナ侵攻が勃発し、彼の人生もまた岐路に立たされます。

 

「正当化できる戦争はない、あらゆる暴力に反対する。」

モスクワでキャリアを続けることはできないと決断した彼も、ボリショイ・バレエのプリンシパルの座を捨て、イタリアへ帰国しました。

 

その後、ミラノ・スカラ座バレエをはじめとする欧州のバレエ団で、ゲスト出演を続けていましたが、スミルノワと共演したことがきっかけで、オランダ国立バレエへ移籍。

この「ジゼル」が、オランダ国立バレエのプリンシパルとしてのデビュー公演となりました。

 

苦難の時を乗り超えたティッシが、新天地で強い想いを胸に演じるアルブレヒト。

美しいスタイルと、溢れ出る貴公子としての立ち居振る舞いで、スミルノワと共に感動のドラマを紡ぎます。

 

 

ヒラリオン:ギオルギ・ポツヒシヴィリ

 

 

 

 

映画館で公開された時、「あの凄いダンサーは誰?」とバレエファンがざわついた、アルブレヒトの恋敵ヒラリオン役。

 

演じるのは、ジョージア出身の期待の新星ギオルギ・ポツヒシヴィリ。

祖父が、ジョージア民族舞踊団Metekhi Dance Theatreの設立者、両親もその舞踊団のダンサーという、サラブレッドです。

 

家族の下で民族舞踊を始めた彼は、13歳でトビリシのジョージア国立バレエ学校へ入学。

はじめは、バレエダンサーとしてのキャリアは考えておらず、視野を広げることが目的だったそうですが、いつしかバレエの可能性の虜に。

 

その後、オランダ国立バレエ学校へ進学した彼は、2020年にジュニアカンパニー、2021年にオランダ国立バレエへ入団。

そして、「ジゼル」収録後の2023年12月、「ライモンダ」でプリンシパルへ昇格。

 

 

この時の「ジゼル」では、ヒラリオン以外にアルブレヒトも踊っている他、既に「白鳥の湖」でも王子を務めている美しいダンサー。

ジョージアの魂を感じさせる高い身体能力、美しいスタイル、そして熱い表現力を揃えた彼が魅せるヒラリオン。

ウィリたちに死へ追いやられる場面は、間違いなく作品のハイライトの1つです。

 

ミルタ(精霊ウィリの女王):フロア・アイマース

 

 

 

 

第2幕のカギを握るウィリの女王ミルタ役は、ソリストのフロア・アイマース。

 

オランダ生まれの彼女が、バレリーナを夢見たのは4歳の時。

「白鳥の湖」を観た彼女は、オデット役のバレリーナの繊細さ、チャイコフスキーの音楽の素晴らしさに魅了されたといいます。

 

2012年にオランダ国立バレエへ入団、今では中核を担う彼女は、「マタ・ハリ」のタイトル・ロールや「眠れる森の美女」のカラボスといった表現力が求められる役どころや、ドーソン振付の現代作品でも真価を発揮。

 

そんな彼女にとって、「ジゼル」のミルタは、入団後初めて与えられた大役であり、「自分のキャリアのハイライトの1つ」と語る思い入れのある役。

「テクニックだけではなく、多くのことを学んだ役。その日の舞台全体をどうやって引っ張っていくかといったことを。」

 

今では、自分が踊るだけでなく、バレエダンサーの地位向上のための社会活動にも取り組む彼女が、2幕の精霊の世界へと引き込みます。

 

 

他、ウィーン国立バレエでルグリに見出されたNina Tonoliがズルマ役。

日本人では、山田翔さんがパ・ド・カトル(ペザント)を踊る他、収穫祭の場面で、山元耕陽さん、鈴木蒼士さんが出ています。

 

 

 

 

<Credits>

 

Marius Petipa — Choreographer

Jean Coralli — Choreographer

Jules Perrot — Choreographer

Rachel Beaujean — Choreographer

Ricardo Bustamante — Choreographer

Adolphe Adam — Composer

Toer van Schayk — Set designer, costume designer

James F. Ingalls — Lighting designer

 

Olga Smirnova — Giselle

Jacopo Tissi — Count Albrecht

Giorgi Potskhishvili — Hilarion

Floor Eimers — Myrtha, Queen of the Wilis

 

Rémy Catalan—Wilfried, Count Albrecht's Friend

Nicolas Rapaic—Duke of Courland

Jane Lord—Berthe, Giselle's Mother

Erica Horwood—Bathilde, Count Albrecht's Fiancé

 

First Act

 

Pas De Quatre
YuanYuan Zhang, Naira Agvanean, Edo Wijnen, Sho Yamada

 

Girl Friends

Yvonne Slingerland, Ines Marroquin, Alexandria Marx, Arianna Maldini, Luiza Bertho, Kira Hilli

 

Peasant Girls

Bo-Ann Zehl, Mila Nicolussi Caviglia, Catarina Pires, Laura Rosillo, Beatriz Kuperus, Louisella Vogt, Koko Bamford, Antonina Tchirpanlieva, Poppi Eccleston, Sebia Plantefève-Castryck, Emma Mardegan,  Hà Nhi Trân

 

Peasant Boys

Manu Kumar, Daniel Robert Silva, Francesco Venturi, Sven de Wilde, Fabio Rinieri, Rafael Valdez, Leo Hepler, Bela Erlandson

 

Wine Stampers

Sem Sjouke, Dingkai Bai, Koyo Yamamoto, Soshi Suzuki

 

Conor Walmsley—Master of the Hunt

 

Second Act

Nina Tonoli—Moyna

Naira Agvanean—Zulme