初の世界バレエフェスティバル鑑賞記録です。

 

ドタバタ上京の経緯はこちら

 

第1部の感想はこちら

 

 

 

ハロー
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ジョルジュ・クルポス

 

菅井円加
アレクサンドル・トルーシュ

 

本家が踊るノイマイヤーということで、結構期待していたのですが…。

 

ピアノやチェロを巻き込みつつ、男女の心のぶつかり合い、危機を通じて関係性が移ろっていく様を表現したという意味では興味深い作品でした。

「バレエは総合芸術」といいますが、音と身体の新しい組み合わせを目撃した感じ。

 

ただ、「世界バレエフェスティバル」という舞台で、衣装を含めてシンプルな作品を、20分間も上演する必要があったかと言われると…。

これが、ハンブルクバレエ来日公演であれば、ファンの方は嬉しいと思うのですが、「華やかなガラ」を期待した幅広い客層へ訴えかけるだけの力はないように思えました。

(事実、このあたりから、寝落ちした方が結構いたような…。あちこちから安らかな寝息が😅)

 

一方、クラシックのパ・ド・ドゥばかりだと、それはそれでオタクはつまらないでしょうし、プログラム構成って難しい…。

せっかくAプロ、Bプロあるので、プログラムごとにテーマ、ターゲットを決めて、演目を決めるのはいかがでしょうか。

Aプロは、「王道作品を世界のスターが魅せる!」でクラシックの名場面セレクション、Bプロは「こじらせたオタク向け!」で、各バレエ団の最新のレパートリーが観られるモダンセレクションとか。

 

より人生経験を積んだ時に、もう一度観てみたらイメージも変わるかもしれない、と期待することにします。

 

 

マノンより第1幕の出会いのパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ

 

サラ・ラム
ウィリアム・ブレイスウェル

 

私、実は「マノン」を生で観るのも初めて!

特に、今年2月のパリ・オペラ座バレエ来日公演で、文字通り「沼落ちした」皆様の感想を指をくわえて読んでいたので、ようやく観られて嬉しかった!

 

ベテランのS・ラムと若手のW・ブレイスウェルが、想像以上によく合っていました。

W・ブレイスウェルの美しいプロポーションを活かした誠実なソロは、神学生の若者が、恋心を捧げる様を体現していましたし、マクミランの振付を言葉のように物語るS・ラムはさすが。

 

 

 

S・ラムの出会いのパ・ド・ドゥ。こちらはV・ムンタギロフと。

 

2人ともピュアで美しく、ここから2人を待ち受けているであろう悲劇が全く想像できず。

S・ラムは、以前「マノンは、若さと美しさが自分の武器だと知っていて、それを利用するのよ」と語っていましたが、ファム・ファタールへ変化する様子が想像できないくらい、透明感がありました。

でも、全幕では、ここから歯車が動き出すのですよね…。

 

このペアが、ルイジアナの沼地へたどり着くまでを観てみたい!と思わされました。

(次回のロイヤル・バレエ来日公演、「マノン」と「マイヤーリング」とか無理かしら😅)

 

 

ル・パルク
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

 

オニール八菜
ジェルマン・ルーヴェ

 

見た目は麗しい2人ですが、それ以上の化学反応がそれほど伝わってこなかったといいますか…。

「美しい」以上の感想が出てこないことが、寧ろネガティブな意味でとれてしまうあたり、エトワールとして求められる水準の厳しさを感じてしまいました。

 

ただ、これは、私が「ル・パルク」に、フラゴナールの香水のように漂う色香を、勝手に期待してしまったからかも。

この2人が演じたカップルは、どこか気だるくアンニュイなイメージで、有名な「宙飛ぶキス」でも陶酔感は薄め。

気だるいイメージが、まるでジェーン・バーキンの映画みたいで、これはこれでフランスらしかった、と母は言っておりました😅

 

 

こちらの記事によれば、2人が「ル・パルク」を観客の前で披露するのは初だったとのことで、回数を重ねるごとに進化していくのかもしれません。

 

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー

 

永久メイ
キム・キミン

 

いや~、盛り上がりました!これぞバレエフェス!これぞマリインスキー!

 

永久メイさん、登場して少し動いただけで、マリインスキーのバレリーナということがはっきりと伝わります。

母、この時点で涙が溢れたそうです。

(「ドン・キホーテ」で、キューピッドを踊った時に観ているため、感概深いものがあったとか。)

 

首から腕にかけてのラインが本当に美しく、彼女に合うバレエ団は、マリインスキーしかないよね…と。

そして、音楽性が素晴らしく、身体からメロディーが聴こえてくるよう。

本家のバレリーナたちとはまた違った、バランシンの境地を見ました。

 

そして、キム・キミンも凄かった!

まるで宙で浮いているような跳躍、余裕たっぷりの回転、それらがテクニック先行とならず、あくまでも舞踊としての表現の一部であることが素晴らしい!

 

1番感動したのは、Vaのラスト、トゥール・アン・レールを、通常より1回多く跳んだこと!

このダメ押しのもう1回といえば…というダンサー(はい、あのお方です)をついつい思い出して、グッときました。

奇しくも、彼がジークフリート王子を踊った時の曲が、このチャイコフスキー・パ・ド・ドゥのバージョン。

当時の彼の方が跳躍は高かった気もするのですが、あの高揚感を思い出させたキム・キミン、あっぱれ!

 

 

ヤスミン・ナグディが舞台袖から撮影してくれていた映像。カメラマン、GJ!

 

観客も大盛り上がりで、やっぱり皆様、こういうのが観たかったよねと思わされました。

「誰が見ても凄い」って、ガラでは大事ですよね。