【報告】大野和興「いま地域、農村、農業は」3月21日講演会
【報告】大野和興「いま地域、農村、農業は」講演会
3月21日、グローカル座標塾第Ⅳ期オプション企画「いま地域、農村、農業は」が開かれた。全国・アジアの地域・農村を歩いている農業ジャーナリストで、アジア農民交流センター、脱WTO草の根キャンペーン実行委員会などで活動する大野和興さんが特別講師として講演した。
講演では、第一に日本の農村、農業、地域の現状、第二にアジアの農村の状況、そしてどうするべきかについて講演した。
最初に、地域からの運動として山形県南部の白鷹町の運動を紹介。
現代を農業恐慌の時代と指摘した。グローバル化によるコメ自由化の結果、生産者米価が95年の1俵2万円から、10年経って1万円と半減。生産費平均(1万6千円強)を下回り、売れば売るほど赤字になっている。政府の音頭取りに応じて大規模化した農家でも、借りた土地の小作料や水利費を払えない農家が続出。農家経済の困窮化が進んでいる。都会の貧困と同様、田舎でも貧困化が進行している事実を指摘。
さらに「限界集落」という言葉で呼ばれる数百年の歴史を持つ山間部の集落が、郵政民営化などの結果、次々の消えようとしていることを日本列島が背骨から朽ちてきていると形容した。
第二に、「アジア小農世界」で何か起こっているかについて、メコン流域を旅行した際に見聞したことを紹介。東北タイでもゴムブームが起きていたが、以前はキャッサバ(バイオエタノールの原料)ブーム。このようなグローバル作物に飛びつくのは、中国とのFTA(自由貿易協定)の結果、輸出農産物を作らざるを得なくなった結果だ。日本の進めるFTA(日本は経済連携協定=EPA)はトヨタのためのトヨタEPA。農家は農産物価格の下落、借金の増加に苦しんでいる。日本と全く同じ構図。
どうすべきかといっても、地域に主体がない状況としながら、白鷹や三里塚、日本とアジアの技術のグローバリゼーションを今後の展望として例示した。
後半ではグローカル座標塾レギュラー講師からの質問に続いて、様々な意見・質問が出された。遠くは岐阜や長野の参加者からは、水源の里条例の運動の報告、輸入食品問題、現在の生協への評価など議論が行われた。
【案内】3月29日伊勢崎賢治講演会「現場から見た「紛争屋」の平和論」
現場から見た「紛争屋」の平和論
~派兵恒久法と憲法9条のはざまで考える
◆ 3月29日(土) 午後6時15分 ~ 9時
◆ 文京シビックセンター4階シルバーホール
(後楽園駅2分、春日駅3分、水道橋駅10分/TEL:03-3812-7111)
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html
◆ 講師・伊勢崎賢治さん (東京外国語大学教授 平和構築・紛争予防論)
◆ 参加費 [資料代] 700円 (会員500円)
福田政権による「新テロ特措法」=給油新法の強引な衆議院「再可決」によって、米軍などへの戦争支援が再開されてしまいました。インド洋での給油データの隠ぺいや偽装、守屋前防衛事務次官による軍産疑獄などに加えて、イージス艦あたごによる漁船衝突事件が起こり、防衛省や自衛隊のずさんな対応が厳しい批判にさらされています。
福田政権は、批判を逆手にとる形で「防衛省改革」を掲げ、海外派兵恒久法という究極の違憲立法の制定を目指しています。―方で小沢―郎民主党代表は国連のもとでの武力行使は合憲だとの持論を展開しています。
「紛争屋」を自任する伊勢崎さんは、日本の海外活動のあり方について、現場の視点から積極的な発言を続けてこられました。日本の市民、政府がなすべきこと、できることは何か。「日本国憲法の前文と第九条は、―句―文たりとも変えてはならない」と主張する伊勢崎さんに話をうかがい討論します。
[伊勢崎賢治さん]
1957年、東京生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、インド留学中にスラム住民の居住権獲得運動に携わる。国際NGOに身を置き、アフリカ各地で活動後、東チモール、シエラレオネ、アフガニスタンで武装解除などを指揮。
著書に『武装解除』(講談社現代新書)など。
主催 国連・憲法問題研究会
[連絡先] (TEL)03-3264-4195 (FAX)03-3239-4409
東京都千代田区富士見1-3-1上田ビル210工人社気付
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