グリーンを読み違えるとがっかりしますが、コースの設計家はゴルファーをいかに錯覚させるかに趣向を凝らしていて、複雑な傾斜のあるグリーンは、いわば設計家の生み出したトリックアートのようなものだ、と指摘するのは大本研太郎さんです。
「重心パッティングのススメ」(同氏著 マイナビ刊)から一部を略して引用させていただきます。
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パッティングでは、グリーン上には罠があるということを理解して、これから紹介するグリーンの読み方を駆使して、設計家の罠にはまらないようにするのが良い。
グリーンの傾斜を読むのは、フェアウェーからグリーンに向かう際に、グリーンとその周辺の大まかな傾斜を把握する。グリーン全体の傾斜は少し離れてみるほうが分かりやすい。
更に俯瞰して考えるとよい。
ゴルフ場の敷地は山裾であったり、河川敷であったりと様々。そしてその敷地のどこに位置しているかで全体の傾斜をつかむことができる。
例えば、富士山などの大きな山の近くにあれば、富士山の大きさを考えると、ゴルフ場の敷地はすべて富士山の山裾にあるともいえるので、コース全体の傾斜は全体的に富士山から下っているので、フラットに見えるホールでも、大きな意味では富士山からの傾斜の影響を受けていて、それがグリーン上の傾斜や芝目に影響している。
フラットな敷地のゴルフ場でヒントになるのは、水の流れ。グリーンは水はけを意識して傾斜が作られているので、水はけをイメージしながらグリーンやその周囲の傾斜を把握する。
この場合もグリーンに上がる前に観察するが、離れてみるほうがより俯瞰的に傾斜を捉えることができるから。
登山を始めてからその山の形状を把握するのは不可能で、グリーンも上がる前に全体を把握しておく。
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とはいうものの、読み切れないグリーンってありますね。
富士山麓や八ヶ岳山麓、那須山麓では、斜面を登る転がりさえしばしば見かけます。これは傾斜よりも芝目の影響が大きいからで、これらのゴルフ場ではグリーンの周辺に山の頂上はどの方向にあるかが示されていることが多いですね。その目印から反対方向に芝目が向いているをいうアドバイスです。