秋田県にある亀山盛鉱山では、種々の二次鉱物が採れることでよく知られている。特に鉛を含む鉱物はかなりたくさんある。緑鉛鉱、青鉛鉱、白鉛鉱はもちろんのこと、銅も含まれる鉛の鉱物となるとまた増える。そのことは、一番最近の記録では以下の所の記述を見るとわかる
久し振りの秋田県亀山盛鉱山 | putonewordのブログ (ameblo.jp)
で、その中でもツメブ石のことをわずかに記述しているが、写真は掲載したことがない。(追記:よく調べてみると昔に書いてました。)
→ 秋田県、亀山盛鉱山での採集(長文注意!) | putonewordのブログ (ameblo.jp)
私は、ツメブ石を2012年頃にたくさん採集した。が、もう4,5人の人にあげたりしてしまって、手元には3つしかない。人にあげてしまった物は、写真を一つも残してない。EPMAやXRDで分析している試料であったので、少なくとも写真に残しておくべきだったなと今では思うけれど。先日も、お世話になった福岡石の会の人にあげた。それも1ヶ所掻き取って分析に掛けたが、分析した試料としては0.5mm程の所で、跡が残っていないので、言われてもよくわからないだろうと思う。福岡石の会のH氏にあげた試料は、後出の試料Cの片われですが。(追記:その石の写真が(長文注意!)の昔のブログの終わりの方に掲載してます。)
ツメブ石は、①しばしば緑鉛鉱の上に皮膜状に来ていたり、②褐鉄鉱の茶色の上に来ていたり、③水晶の隙間に針球状に来ていたりして、他の鉱物よりキラキラとして光っているのですぐわかる。最後の水晶間の針球状の試料は手元にない上に、写真も撮ってないのです、残念。水晶の間にぽっかりと浮いている様は凄く綺麗だったんですが、何しろ微少なので写真を撮るのが難しいとそのときは思ったのでしょう。
ツメブ石は、実体顕微鏡で見ると、緑鉛鉱や他の鉱物に比べてキラキラして輝いているのですぐわかります。色は淡い黄緑色というのか、淡い緑色というのか。形としては毬栗(いがぐり)状に集まっているか、それがさらに集まった皮膜状になっているかなので、孔雀石や緑鉛鉱と間違えることはないでしょう。ブロシャン銅鉱はかなり緑色なのですぐ区別できます。10%塩酸では発泡せずゆっくり崩れるように溶けていきます。
ツメブ石の写真
今回はそのツメブ石の写真を、3試料で。
試料A、試料Bではツメブ石は、褐鉄鉱の上に来ていますが、試料Cでは白いアロフェン(?)のそば、褐鉄鉱の上に来ているように見えますが、分析では緑鉛鉱の上に来ています。その緑鉛鉱はっきり見えません。ツメブ石にほとんど覆われてしまっているので。
まずは、試料Aです。(この石は、国立博物館の門馬先生のところに送ってしまって手元にはありません。)
試料A ツメブ石((Pb2Cu(PO4)(SO4)(OH)、淡緑色、粒状)
下の黒い板の径は、120mm
試料Aの一部拡大
試料Aの一部拡大2
次は試料Bです。
試料B ツメブ石((Pb2Cu(PO4)(SO4)(OH)、淡緑色、粒状、皮膜状)
試料Bの一部拡大1(上写真の一番右の赤矢印先)
試料Bの一部拡大2(上の全体写真の一番左の赤矢印先)
最後は、試料Cです。
試料C ツメブ石((Pb2Cu(PO4)(SO4)(OH)、淡緑色、粒状、皮膜状)
この試料からは、5ヶ所ほど試料を採り分析しました。
いずれの箇所からもツメブ石を確認しています。
カメラで撮ったら、かなり青っぽく見えますが...。
試料Cの一部拡大1
試料Cの一部拡大2
試料Cの一部拡大3
試料Cの一部拡大4
最後に
ツメブ石を私は2012年頃にたくさん採集しましたが、試料の多くを友人などにあげてしまいました。残った試料は、3点だけです。
ツメブ石は、日本では亀山盛鉱山だけでしか産出が報告されておらず、ある意味非常にレアな石なのかもしれません。しかし、私の感覚だと行けば結構採れる石だと感じていました。私が採集した石(試料C)を見た、名古屋鉱物同好会のI氏や鉱物同志会のM氏や、H氏などがその後に採集しています。M氏から採集したツメブ石を鉱物同志会の例会の際に見せてもらいましたが、立派な物でした。一緒に居た別のH氏も見て驚いていました。
私は、その後、2015年頃と、つい最近(2021年11月)にも行きましたが採集できませんでした。最近では、私が採集できた箇所は豪雨によってか、採集できた場所のズリ石がすっかり流されてなくなってしまっていました。→参考(2021年の亀山盛鉱山採集報告) なので、現在ではツメブ石の採集は困難だろうと思います。