やっと・・・ | むばたまの夜の衣を返してぞ着る

むばたまの夜の衣を返してぞ着る

~いとせめて恋しきときはむばたまの夜の衣を返してぞ着る~
平安時代の歌人小野小町の歌から。
愛しい人にどうしようもなく会いたくてしかたのないときは、
寝間着を裏返して寝るわ
(寝間着を裏返して寝ると恋しい人の夢を見ることができるという説があったそうで)

今頃?と言われそうだが

近くの映画館では上映されなかったので、

市民会館での1日限りのこの日を待っていた。

「シネマオアシス」と言って年に数回

1,000円で映画を上映している。

初めて観に行った。


まず、客の年齢層があまりに高いことに驚いた。

時代劇だから???

ヒガシのファンは?


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開演前、後ろの席の奥様方の会話が聞こえる。

「藤竜也と松原智恵子が・・・『カーネーション』の尾野真千子・・・」などと

出演者について話しているのだが、

「この『片岡愛之助』っていうのは知らんわ」と

聞こえたときには、軽い眩暈に襲われた(笑)ダウン


すでに7月の公開前に

テレビ・ラジオの出演や雑誌の取材等で

情報はたくさん入ってきていた。

それでも実際の映画を観ないことには・・・ね。

大好きな藤沢作品に大好きな愛之助さんが出演しているのだから!


原作に忠実でいながら

よくここまで描いてくれたわ

「佐久間森衛」という人物を。

原作の中で一言も発していないこの人物を

イメージ通りに演じてくれた愛之助さんに拍手ラブラブ


私にとっての藤沢作品は

「美しい自然描写と寡黙だが剣の腕は確かな侍」だ。

それがそのまま映像化されていてすがすがしい気分になった。


なんといっても圧巻は、朔之助と森衛が刀を交える場面。

御前試合では一対一の引き分けだった。

今度は脱藩者と討手として対峙しなければならない二人。

朔之助にとっては妹の夫を打たねばならないという悲劇。


勝負がつかないまま

ずっと見続けていたい・・・そんなシーンだった。

だから、森衛が胴を切られたとき(御前試合と同じ・・・)

はっと我に返ったような気分だった。


御前試合のくだりは原作にはない。

しかし、この部分が挿入されることで

あとの真剣での勝負と呼応して

ふたりの力が拮抗していることが鮮明になるような気がする。


一つだけ・・・

「これはなくても」と思ったこと。

決壊しかけた堤防を守ろうと、

激しい雨の中、農民とともに土嚢を積む森衛の逸話があるが、

映画では朔之助も一緒になって働いていた。

ふたりが親友だったという設定のためかもしれないが、

農民とともに堤防を守った逸話は

森衛の直情径行を示すものの一つなので少々違和感を覚えた。


そういえば・・・

五間川の氾濫を防ぐといえば

「蝉しぐれ」で文四郎と父・助左衛門のエピソードを思い出す(^^)/


2週続けて愛之助さんの出演映画を観たことになる。

どっちが好きかというと

そりゃあ「宮城野」のほうが好き。


あーCSのどこかのチャンネルで

「片岡愛之助特集!」と銘打って放映してくれないかなあ・・・おねがい

1日目 「築城せよ」

2日目 「小川の辺」

3日目 「Beauty」

4日目 「新選組」

5日目 「宮城野」DC版


どうだ?このラインナップ!

「新選組」はドラマだけど・・・。