顔見世@南座 【昼の部】 | むばたまの夜の衣を返してぞ着る

むばたまの夜の衣を返してぞ着る

~いとせめて恋しきときはむばたまの夜の衣を返してぞ着る~
平安時代の歌人小野小町の歌から。
愛しい人にどうしようもなく会いたくてしかたのないときは、
寝間着を裏返して寝るわ
(寝間着を裏返して寝ると恋しい人の夢を見ることができるという説があったそうで)

何を血迷ったか

一等席を買ってしまった千穐楽昼の部へへへ

ずいぶん日が経ってしまって

記憶も忘却のかなたへ・・・とりあえずの感想を。


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京の年中行事

當る卯歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎


12月26日(日)千穐楽

【昼の部】10時30分  1階 10列 花道より


第一 羽衣(はごろも)


天女/孝太郎

伯竜/愛之助

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愛之助さんは白塗りが映えてとてもかっこよかった。

釣竿を肩に花道に登場した姿の凛々しいこと!

そして舞踊だからもちろんせりふは少ないのだが、

表情がなんともかわいらしかった。

好奇心旺盛で、天女に近づいたり、羽衣を眺めたりする姿に

思わず微笑んでしまうあは


孝太郎さんはあまり天女っぽくなくて

地上の人という感じがしたけれど(笑)

さすがに優雅な踊りであった。

「乙女の姿しばしとどめむ・・・」という気持ちが分かる気がする。


幼い頃読んだ「天女の羽衣」(タイトル不明??)のストーリーは

羽衣を隠されて天に戻れなくなった天女は

男の妻となって地上で暮らす。

しかし、ある時男が隠していた羽衣を見つけてしまい

それを纏って天に帰る・・・というようなものだった。

(この記憶は非常に曖昧なので、責任は持てないakn

けっこうひどい男なんだよな。


この男の狡さに比べると伯竜のなんとも誠実なこと!

悲しみ嘆く天女が可哀相になってしまうのだから。

でも、衣を返してくれたら舞を見せるという天女に、

この衣を返したらそのまま(舞を見せずに)

帰ってしまうのではないかと疑う伯竜。

でも、

「偽りというのは人間にはあるけど、

天には偽りはないのよ」と言われて

恥じ入るわけね。(解釈間違ってたらすみません)


最後

松の枝が下へ下がって、天女は雲の上。

伯竜もスッポンから奈落へ。

天女の位置は変わらないけれど

他を下げることによって、天女が上がっていくように見せる。

日本語における謙譲語のような演出(?)



第二 菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 寺子屋


松王丸/吉右衛門

千代/魁 春

戸浪/芝 雀

涎くり与太郎/種太郎

園生の前/扇 雀

春藤玄蕃/段四郎

武部源蔵/梅 玉


むばたまの夜の衣を返してぞ着る


歌舞伎初心者なので、まだ、通しを観たことがないのが残念だ。

「忠義」ということの持つ重みが

現代に生きる私にはどうにも理解できていないと思う。

だから、忠義のためにわが子を死に追いやる松王丸の心にも

同じく忠義のために入学してきた子を殺す源蔵の気持ちにも

共感できない。

もう少し修業を積んでから観ろということかな・・・。

名作なんで、今後も観る機会は多いだろうけど。




第三 阿国歌舞伎夢華 (おくにかぶきゆめのはなやぎ)


出雲の阿国/玉三郎

女歌舞伎/笑 也  笑三郎  春 猿  吉 弥

男伊達/愛之助 翫 雀            

名古屋山三/仁左衛門



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思いがけず「仁左&玉」が観られる!

と楽しみにしていた「阿国歌舞伎夢華」。

2008年1月のNHK「プロフェッショナル」を偶然観て、

2月の松竹座の舞踊公演(「京鹿子娘二人道成寺」)を

これまた偶然(笑)観て、歌舞伎に興味を持った私だから、

玉三郎さんはちょっと特別なお方・・・。


仁左衛門さん&玉三郎さんの二人が寄り添って立った姿を見るだけで

ため息が出てしまうぼし-感動

この世のものとは思えない美しさだ。

「今、自分が南座で歌舞伎を観ている」という現実を

忘れてしまうような感覚に陥るとでもいうのだろうか。

まさに「ゆめのはなやぎ」


女歌舞伎のみなさんや

男伊達の愛之助さんと翫雀さんの踊りも華やか。

愛之助さんの拵えがとても素敵だった。

この衣装とてもお似合いでは?(かなり傾いていると思うけれど)

気に入ってしまったので、

昼の部を見る前に舞台写真を買ってしまった・・・。




第四 十三世片岡仁左衛門を偲んで

伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)沼津


呉服屋十兵衛/仁左衛門

平作娘お米/秀太郎

池添孫八/進之介

荷持安兵衛/歌 昇

雲助平作/我 當




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松嶋屋三兄弟による「沼津」。

十兵衛が年取ってヨボヨボの雲助・平作に荷物を担がせるところが、

なんとも楽しくて大いに笑った。

仁左衛門さんも我當さんもコミカルな演技がとてもうまくて、

やっぱり上方歌舞伎っていいわあと思ってしまう。

平作の家は貧しく・・・「堀川」の与次郎の家を思いだす。

あ、寝るときのふとんくるくるもあった。

(但し、我當さんのは少しゆっくりめ笑


後半、苦悩する十兵衛も、

実の父である平作にそっと笠をさしかける十兵衛も

どれも情にあふれていて・・・涙涙

我當さんの朴訥でいながら、強い意志を持った平作が切なくて、

声を聞くだけで泣いてしまう。


秀太郎さんのお米は本当にお似合い。寂しげで可愛らしくて・・・

なんて若々しいのだろう。


初めて観た「沼津」がこの3人によるベスト版(?)なので、

今はまだ、その価値を十分理解しているとは言えないだろう。

またいつか、他の役者さんでも観てみたいなあと思う演目だ。



前回貰うのを忘れていた「開運干支あめ」


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中身はこんなの。

おみくじつき~おみくじ(大吉)

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「六盛」さんからの竹馬は去年もあったね。今年はトークショーないの?


昼の部の構成は 舞踊⇒狂言⇒舞踊⇒狂言となっていて

気分をうまく変えることができてよかった。

  

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