10分でクラスの役員が全て決まったワケ① ~保護者からの信頼厚いA先生~ 

10分でクラスの役員が全て決まったワケ② ~A先生の考え方とアプローチ~

 

の続き。

 

当時は魔法のように感じた

10分で決まった役員決め。

 

 

その理由は

A先生のクラスに協力的な人が

たくさんいたからではありませんでした。

 

 

ウチのクラスにも

たくさん協力的な人はいたのにも関わらず、

役員さんが出にくい雰囲気だったのです。

 

 

その違いを、A先生のセリフと共に説明しましょう。

 

 

 

A先生

 

 「だって、みんな年長組で知っているから、

役員のことも、ちゃんと考えてきているでしょ。」

 

A先生は、年長組だから役員の種類・活動内容・決め方など

みなさん、もう知っている。

 

だから、みなさんはちゃんと自分なりに考えてきているハズだ。

今までやっていない人は、今年やろう!と覚悟しているハズだ。

 

という信頼が感じられます。

 

 

そう。前提が

「みんな、何かはやろうとしてくれている」

なのです。

 

 

私も

「年長組で知っているから、

役員のこともちゃんと考えてきている」

 

とは思っていました。

 

 

でも前提は

「みんな、できればやりたくないと思っている」

でした。

 

だから、かける言葉も

「(嫌なことは)早く決めましょ!」

というたぐいの言葉が多かったことでしょう。

 

 

A先生

「え?みんな役員決めに時間かかるのは嫌でしょ?

だから

『今日は早く決めて帰りたいですよね?』

って聞いたの。」

 

A先生

「そしたら、みんな頷いていてたよ。(笑)」

 

これこれ!イエスセット! 

 

これは

 

相手が思わず頷きたくなる

投げかけのことを言うのですが

 

イエスセットを取ると

「この人、わかってくれている!」

と言う安心感が生まれるんです。

 

 

A先生は、

見事に保護者の方の安心感を

生み出していました。

本人は無意識らしいけど(笑)

 

 

私は、一方的に

 

「まずは、委員さんから決めますよ~。

係は後で~す♪」と軽く言ってみたり

 

「みなさん、さっきまでの和やかな雰囲気はどこ~?!」と

笑いを取ってみたり、

 

「○○さん、いかがですか?」と

やってくれそうな方に振ってみたり

 

「とっとと、決めて帰りましょ♪」と

促していましたね。

 

 

 

当時は無意識だったとは言え、

 

早く決めたい一心で

安心感どころか、

一方的に言葉をかけていたので

 

みなさんが私の言葉を受け入れやすい状態に

していませんでした。

 

 

A先生

 

「『みなさん、

春休みの間に自分が何の委員をやろうか、

考えてきていますから、遠慮はいりません。

考える時間は10秒です。

 

10秒経ったら「はい!」と

ウルトラマンのように手を挙げますよ~!』

 

って言って、10数えて、手を挙げてもらったんだよね。」

 

この言葉に信頼ユーモアがたっぷり詰まっている!!

 

「出ない」のではなく「遠慮」という言葉で、

役員決めに対して

好意的なみなさんであると思っていることも

伝わっているし

 

考える時間は10秒っていう

枠(フレーム)をかけることで

 

その場のルールが決められて

お互いの躊躇やタイミングを逃すのを防いでいますね。

 

 

 

ウルトラマンのように手を挙げる!

ってところも

 

みなさんがわかりやすい上に

ユーモアがあって、ふっと心が緩んでしまいます。

 

このふっと心が緩む状態も、

安心感が生まれていい雰囲気になっているのです。

 

 

当時の私は

 

「役員を決めなくちゃ!」と必死なので、

ユーモアもあまりなく、

 

プレッシャーの方がみなさんに伝わっていたと思います。

 

 

10秒経った?! はいっっ!

 

A先生

 

「同時にクラス委員さんが定員(2名)より多く出ちゃって。

で、

『お祭り委員でもいいよ!って方いませんか?』

って聞いたら

お祭り委員でもいいよ!って方がいたから

移動してもらったよ。

 

そしたら委員さんがあっという間に決まってさ。」

 

まさかの定員よりも多く出た時も

お祭り委員でもいいかどうか、

機転が利いた質問ですね!

 

どうしてこの機転がきいたのかを聞いたら

 

「え?委員やろうと思う人は、

ある程度の負担は覚悟しているだろうから、

同じ委員なら、

どっちでもいい人もいるんじゃないかと思って」

 

と言っていました。

 

どこまでも

参加している保護者ならどう思うか

の目線ですね。

 

 

私の覚悟は、

私が役員決めが長くなるのは

嫌だけど頑張ろう!だったのに(笑)

 

 

 

A先生

「そしたら後は、係だし、

あっという間に決まったんだよね。

 

いや~パパっと出てくれる人がいて、

よかったわ~♪」

 

もうここまでくれば、大役も決まっているし

クラスの雰囲気は

もっとホッとした安心感に包まれています。

 

パパっと大役を自ら引き受けてくれる人を見たら

「自分もやります!」

という雰囲気になりやすいので、

あっという間に決まっていったのです。

 

 

ええ、私の場合は、

ここまで決まるのに1時間以上かかったわけですね…。
しかも重たい雰囲気になりながら…。

 

 

こうして書いてみると

 

A先生は、

保護者が委員を決めやすくなるために

安心できる場を作っていた

のがわかります。

 

 

当時の私は、

自分が早く決めて安心したいために

保護者を動かそうとしていた

のがわかります。

 

 

 

人の心を動かすためには、

こちらがどれだけ

相手の安心感を提供できるのか。

 

 

これが何よりも大事なのです。

 

退職後、コーチングを学んだことで、

A先生の関わりが、

多くの人の安心感を提供していたことに気付いた出来事でした。