日本版キブツに向けて八ヶ岳ピースファームが誕生 | 天下泰平

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〜 滝沢泰平 公式ブログ 〜

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3月20日は春分の日でした。

占星術の世界などでは、宇宙のサイクルにおける暦の始まりは春分からであり、これから冬至に向けて夏、秋を通しての約9ヶ月間の2016年が始まります。

様々な植物の生命が芽吹き、動物も冬眠も終えて活動を開始する春は、人間社会や個人の生活でも「始まり」を意味するものであり、2016年の本格的な活動期間がスタートしたものと思われます。

ここ八ヶ岳もまた、2016年から色々な取り組みが動き出しますが、その中で1つ大きなウェイトを占めているのが新会社「八ヶ岳ピースファーム」です。

本日の天秤座の満月の日に設立され、4月より本格始動となります。

こちらは会社といっても農業生産法人というタイプであり、農家の法人バージョンといった感じです。

「なぜ、農業生産法人を立ち上げる必要があるのか?」

それには大きく分けて理由は3つあります。

1つは「耕作放棄地の確保」であります。

ご存知のとおり、今は日本全体が少子高齢化の時代であり、ここ八ヶ岳南麓(山梨県北杜市)もまた例外ではなく、農業の担い手がいないことが大きな課題ともなっています。

誰も農業をする人がいなければ、農地は耕作放棄地という空き地となってしまい、放っておくとどんどん野生化していきます。

それはそれで今までの農薬と化学肥料の慣行農業の苦しみから農地が解放されるのは地球にとっては良いことかもしれませんが、ただ自給率などのことを考えると、やはり今後は急速に農家と農地が減少するのは日本人にとっては非常にリスクが高いことであります。

普段、当たり前に“ある”ものは何でも“作られた”からであり、毎日大した苦労もなく食卓の上で食事ができるのも、外でいつでも外食ができるのも誰かが「食を生産」しているからであります。

これを人に委ねる、それも赤の他人はもちろん、遥か彼方の外国に多くを委ねてしまう・・・正確には依存してしまうのは、もしも、何かしらの出来事がきっかけで輸入や物流が止まってしまうことを考えると非常に怖いものです。

ある時を境に突然食卓の上に当たり前に並んでいた食事が並ばない、冷蔵庫にも何もない、スーパーやコンビニに行っても食料と名がつくものは何もない、そして食料を求めて郊外や田舎にいっても農地は雑草や雑木しか生い茂ってない耕作放棄地しかない・・・。

「今日から何を食べて生きていけば?」「明日からどうやって生きていけば?」

そんな非現実のような現実が、今の脆弱な社会システムの中ではわずかな出来事をきっかけに一瞬で訪れることがありえます。

生命を繋ぎ、命を生み出す源である農地(大地)。

資本主義社会の中では、その本当の価値は最低レベルにまで引き下げられ、都会の一等地と呼べる土地や高層マンションの一画が田舎の農地の何百倍、何千倍もの価値が付けられていますが、これから先は世の中の価値観が180度大転換する時代。

幻であった価値のメッキが剥がれ、本当に価値あるものが認められてる、人々が気づく時であります。

何が人間にとって生きるため、皆が豊かに生活するために必要なものか。

そうすると段々と世の中の本質が見えるようになり、その中で単なる紙であるお金の確保よりも農地の確保が必須ともなってきますが、今の日本の法律上では農家や農業生産法人でないと農地を取得することが出来ない状況となっています。

それは農地が簡単に宅地などに転用されないように守るための良い一面もありますが、逆に農業従事者が激減している今は、誰も手が出せない耕作放棄地がただ広がってしまう要因の1つともなっており、そこで農地を手にいれるためには農家となるか、農業生産法人を立ち上げる必要があります。

八ヶ岳ピースファームは、八ヶ岳の耕作放棄地を増やさず、またすでにある耕作放棄地を確保していく動きをしていき、そこで生命を生み出し、命を繋ぐ生産拠点として活用していく予定です。

もちろん、その過程においては生産活動をすることで地球環境を改善することが目的でもあり、地球にも人にも優しい自然栽培をし、生命の循環を大切にして土地も人も良くなる活動を心がけていけたらと思います。

農業生産法人であることの2つめの理由は、雇用を中心とした助成制度であります。

幸いなことに、今は国も様々な手段を使って農業の担い手を増やそう計画しており、農業を専業として従事する人には年間150万円の助成金(最大5年)が出たり、逆に受け入れ先の農業生産法人なども年間120万の助成金(最大2年)が出たりします。

つまり、就農であれば、比較的雇用が進みやすい環境があるので、通常の法人として企業内農業をやるよりも、農業生産法人として農業に特化して事業活動をした方が様々な面で経営もスムーズに行き、活動がしやすいのです。

また通常の法人よりも、農業に関わることであれば雇用以外にも様々な助成金や融資枠があり、資金を調達するのにも農業生産法人が一番有利となっています。

これから真の価値があらわになる時代とはいえ、まだまだ資本主義社会の大枠がある中ではお金との付き合い方を上手くやっていかないと組織は継続することも拡大することもできません。

この過渡期の時代、一番動きやすい組織が農業生産法人なので、八ヶ岳ピースファームも若者をはじめとする就農者を増やし、雇用の面からも八ヶ岳移住者を増やしていこうと思っています。

そして、農業生産法人であることの3つ目の理由。

それは今までの2つの理由の延長線にもあるかもしれませんが、自給自足できる国、地域づくり、雇用の創出から事業展開に至るまで、すべてを網羅して上手くいく万能植物には「大麻」があり、その栽培免許を取得するための組織として活用することがあります。

ご存知のとおり、今のあらゆる利権の邪魔者として扱われている大麻は法律によって栽培に規制がかかっており、各都道府県の知事、ひいては厚生労働省(薬務課)の許可がなければ栽培することはできません。

現状は個人であろうとも法人であろうとも基本的には新規に免許を出さない方針を国はとっていますが、それでも最近は県の農政課などは大麻への関心も高くなっており、自治体や地域住民の中にも大麻を正しく理解する人が増えています。

大麻の免許取得は、いくら個人が熱い想いや理想を語ったところでも免許を出すにはそれ相応の理由や名目が必要です。

その中で農業生産法人という立場は免許を出す側からも比較的出しやすい相手であり、また協力が必要な地域住民や自治体との交流の中での信用にもなっていきます。

「健全な形で大麻を産業用として地域起こしに使っていく」ということを個人が言うよりも、また一般企業が言うよりも、やはり農業に特化した法人組織の農業生産法人が言うのでは説得力や信用性が全然異なってくるものであり、面倒といえば面倒ですが、こういった細かい配慮もまだ今の過渡期の社会においては必要となります。

他にも細かい理由を言ったらたくさんありますが、農業生産法人を立ち上げる理由としては上記3つが主な理由であり、そして最終的に行き着く先は「日本版キブツ(農業コミュニティ)」の構想があります。

Kibbutz

コミュニティ作りの天才であるユダヤ人。

彼らの生み出した小さな農業共同体のキブツは、それぞれが自給率100%を超えており、小さな村社会の中でそれぞれが助け合って誰か特定の人にもお金にも依存しない、もちろん外部にも依存しないで循環する仕組みを作り上げています。それも砂漠を緑に変えながら・・・。

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※イスラエル北部のハイファにあるkibbutz(キブツ)はドームヴィレッジ?

彼らが仲間を家族と思い、協力し合えるのは民族としての「絆」を強く持っているからであり、その核心にあるのは「ユダヤ教(旧約聖書)」の信仰があるからです。

では基本的には無宗教というか、多宗教や多神教でもある日本において、人々の「絆」をつなぐものはなんでしょうか。

これは民族や宗教を超えた大自然や宇宙への畏敬の想いしかなく、地球人として本当の役割を共に従事することを皆が理念とするのが一番であります。

自然の循環の中で人も生きているようで生かされており、なぜ生命体として最後に地球で「作られた」のか。

“ある”ものは誰かが“生産した”ものであり、人間もまた必要だから作られた大切な仕組み(プログラム)

その中でも自然の音を美しいと聴き、縄文をはじめ江戸時代までも自然の循環を大切にしてきた民族だからこそ、より大きな視点を持って次世代の地球人リーダーとして新しい価値観や人類のあり方を世界へ発信することができると思います。

そして、コミュニティや村社会に所属するメンバーは皆家族という概念は、日本では非常にデリケートな問題となってきます。

まだまだ資本主義社会の影響が根深く、先進国としての文化や価値観が染み付いている日本と日本人の世界の中では、表向きの活動組織がどういったものであるかが重要です。

潜在的な理念として地球人としての役割をまっとうすることを目的としても、結局のところ組織になるとすぐに「宗教」として誤解されてしまったり、また集まってくる人々もどこか誰かや神にすがりたい、依存したい人々ばかりとなってしまいます。

これからの時代、物質的なことや非物質的なことの両方のバランスを取ることが大事であり、スピリチュアルな意識も大事ですが、何よりも地球にいる限りは根を下ろして地に足をつくことが必要です。

そういった意味からも、法人組織であることは現代日本人にとっては、大きな安心となり入り込みやすく、また組織としても日本社会へ順応しやすいものです。

かつて、古代日本においては村が家族であり、自分のものや誰かのものという概念も薄くワンネスの精神に満ち溢れていました。

それが分離の時代が長い間続く中、家族という形態も血にこだわるようになり、民族同士の争いから地球人同士の争いにまで発展し、また家族も村全体の家族意識から、近所の地域家族、やがて血族家族も拡大家族から核家族、現代はもはや血のつながりのある親子が殺し合い、共働きによって子供との分離、絆も最たるものとなりました。

そして、この資本主義社会の中における“所属”は、大昔のように地域の村ではなく、ほとんどの人がどこかの会社が自分の“所属”となっています。

会社が現代のお金の社会における、人々の生きて行くためのコミュニティの代わりの機能の一部を果たしています。

そういった背景からも、日本でのキブツ構想には、やはり法人組織、企業コミュニティが今の段階では理想的であると思っています。

その中の核となるのが、食べること=生きることの原点を作り出すことのできる農業生産法人。

これから先、大企業から中小零細企業に至るまで、様々な形で法人が農業や食の生産、そこで働く(生きる)人々の命を守る活動が進んでいけばと思います。

グループ企業や子会社に農業生産法人を作る、農業事業部を作る、農業担当者を作る、規模や形態は様々でも、やがてお金で給料が払えない事態が起こった場合でも、食料を提供できる会社が日本中にあれば、日本国民が総飢餓という事態は避けられると思います。

そんな雛形づくりを八ヶ岳では進めていけたらと思いますし、多くの方々にも是非とも様々な場面においてピースファームの活動にも参加して頂けたらと思います。

特に将来的に麻の栽培が始まったら、関心のある方々には是非お手伝いを頂きたいと思っています。

今日の満月では、日本の麻開きとキブツ構想が全国で広まることを祈りたいと思います。