silent2話~いろいろ、語る… | 好きで、好きで、好き!

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第2話。

 

 

佐倉サイドのお話から始まる。

 

 

「紙を42回折ると、月に届くんだって。」

どうでもいい話ばかりしていた。

あの時、あの場所でしなくていい、

くだらない話ばかりしていた。

ただ、好きな人と話している、

その時間に意味があった。

 

 

 

一緒にいて、同じ時間を過ごす。

自分が言うことへの、相手の反応を楽しむ。

「どうでもいい話」と佐倉は言ったけど、

ただ、好きな人と話している、

それが実は簡単なことではないことを、

担任の「失恋パンデミック」という言葉がよく表していた。

 

 

そして、屈託のない、この笑顔。

二人とも、これからもずっと続くと思っていたこの時間が

この笑顔のある瞬間は、永遠ではないこと。

ささやかなことが、実はとても得難い幸せであったこと。

失ってから気が付くことのなんと多いこと。

 

だから、余計に、胸に迫る。

 

 

ほんとに手を繋ぐんだ。

顧問の指示だから。

 

そうやって、しれっと校内で手を繋いでしまえる佐倉の潔さ。 

かっこいい。

 

 

そうやって、きっと何かにつけて佐倉は自分で決めて、

こうした方がいい、と思うことを

ためらわずにできる人だったんだろう。

それは、自分に対しての努力も。

 

紬が言う。

「佐倉君に向けられる悪意って、全部嫉妬だから、

 聞き流して大丈夫だよ。

 皆、佐倉君のこと、嫌いなんじゃないよ、好きすぎる。」

って励ます様子から、

こんなことが今までもあったことを思わせる。

 

嫉妬されるくらい、誰よりも輝いていた存在。

 

だからこそ、聞こえなくなる、という現実は、

きっと、より重くのしかかってしまうことも

この言葉の裏に隠されている。

 

紬の言葉に、

「大丈夫。」って答えちゃう佐倉の様子に 

「何かあったら電話して。」 

といつものように答えた紬に向ける

この時の佐倉の虚無的な表情がしんどい。

 

 

 

声が聞こえるから、電話が好き、という紬。

声はね、聴きたいよね。と答える佐倉。 

 

一見、紬の言葉に同意したかのような言葉だけど、

どんどん聞こえなくなる、

という事実をわかっている佐倉にとって、

これは、切実な、祈りのような言葉。

 

 

そこに続く、

「声が好き。」

という紬の言葉で、

もしかしたら佐倉は

黙って身を引くことを思ったのかもしれない、

 

と思わせる、この表情も、また、しんどい…。

 

 

「あのさぁ、名前、言ってもらっていい?」 

って、佐倉が頼んだのは、もう二度と聞けなくなるから。

 

呼んでもらって、じゃなく、

言ってもらって、

と言ったのは、

呼んでもらったら、応えなきゃいけないから。

 

最期に、好きな人が自分を呼ぶ音を

覚えているのは、哀しすぎるからじゃないのか、って

思った。

 

 

紬は笑って、

「想くん。」 

って答える。初めて呼んだ、って照れながら。

 

もう二度と聞くことはない、大好きな人の、

自分を名前を語る声。 

それを、

佐倉はどんな重さで受け止めたんだろう。 

 

 

またね、想くん、といつものように、佐倉を見送る紬の笑顔。 

 

紬はこれから何度も、想くん、って呼べると信じている。

 

でも、佐倉は、

そんな時間は二度とないことを知っている。

 

 

永遠の、さよなら、の時間。

 

だからこそ、この笑顔をとどめていたいし、

佐倉自身も、自分のこの笑顔を覚えていてほしいと

願ったことだろう。 

 

 

 

 

泣きながら帰っていく佐倉の姿。 

これも、絶対、紬には見せられなかった姿。

 

お兄ちゃんは、他人に甘えられないから。

そう妹が語ったように

いや、きっと、紬だけじゃない、誰にも見せられない姿。

 

 

そうやって、一人ですべてを抱えて、

紬の前からいなくなることを決めた瞬間。

 

それは、すべての同級生の前から

自分の存在をも消してしまう、

孤独の始まり。

 

 

 

 

 

それなのに、また出逢ってしまって…。

今度は見送る紬が泣きじゃくる。

 

突き放したはずの佐倉にも、

その刃が刺さってしまう・・・。

 

 

どうなるんだろうって思ったけど、

2人にはそれぞれの8年間があり、

それぞれしっかり歩んでいるからこそ

また新たに支えてくれる人もいる。

 

 

だから、再び向かい合った時に、

こんな穏やかな笑顔も見せることができたんだろう。 

 

 

紬の今彼。

高校の同級生、で、

佐倉がいたら絶対付き合ってなかった、

なんてことを言われる存在。

 

主成分、優しさ、って言ってたけど、

紬に手話教室を勧める、ってどういうこと??

 

自虐にもほどがある。

 

そして、この手話教室の春尾先生。

ただのいい人、ではない。

 

 

 

途中失聴の人のことを聞いた紬に、

すごく好きな人とうまくいかなかったら、

出逢わなきゃよかったって思わないかと聞く。

なかなか、シビアな人。

そんな、ある意味、悪意さえ感じられる、

ひとを試すかのような質問に

「好きになれてよかった。って思います。思いたいです。」

と、どこまでも前向きな紬。

 

この前向きさ、は清々しい、

けど・・・・。

 

きっと、うまくいく時ばかりじゃなかったことだろう。

でも、それをすべて乗り越えて、ここにいる。

そんな強さを感じさせる。

 

佐倉とのことも、

だから、今こそ、あの時いきなり断ち切られた思いも含めて、

放っておけない、って思ったんだろう。

もう、会っても意味がない、

と言われているかのような返事をもらってもひるまない。 

 

 

手話教室で、自己紹介を学んで、佐倉に披露する。

ふっと、笑顔を見せる、佐倉。

自分に寄り添ってもらったことを、素直に受け入れてる。

 

もう、紬の言葉が「うるさい」ものじゃなくなったんだ、

ってほっとした。

 

 

一生懸命、自己紹介する紬に、

「知ってる。」

って、ことごとく返す。

新しい情報がない、という関係。

 

でも、それは逆に

私には二人がまた新しい関係を始めたように思えた。

 

 

あの、最後の公園で声が好き、とか電話したい、

とか言ったことを紬は謝ったけど

嬉しかったと伝える佐倉。

とても穏やかな笑顔。

 

こうやって笑顔を浮かべて返事する姿は、

8年前のあの葛藤を乗り越えてきたことをうかがわせる。

 

でも、紬にはその気持ちは伝わってない。

 

「好きな人、できたって、line。送ったでしょ。別れようって。」

と聞く紬に、

笑顔で 画面を見せる。

 

「(好きな人が)いる?」

と聞き返す紬に、ゆっくり、紬を指さす佐倉。

微かにその指先が震えてる…。

 

 

「悲しませたくなかった。」

っていう佐倉に、あれだけ元気だった紬が

一瞬にして‥‥。

 

 

紬は言ってほしかったんだよね。

どんな姿だろうと、好きな人と居られれば

それでいいんだもの。

 

悲しませたくなかった、っていう言葉に、

紬自身の想いは入ってない。

それが余計に悲しいよね。

 

 

佐倉はこの判断が間違ってたことだって気が付いてない。

 

この涙は、あの時の自分を思い出した涙? 

 

泣かせたくなかった、

っていう佐倉に

 

「振られて泣いたし。もっと泣いたし。」 

 

そうだよ。大好きだって思ってた人に、

いきなり拒絶される苦しさ。

ほんと、自分勝手なんだから。

って毒を吐かない紬は立派だと思う。

 

 

 

優しい人がいるの?

って聞かれて、今度会ってよ、っていう紬。

無邪気なの??www

 

そして、ここに、現れる、主成分優しさの‥‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

修羅場…にはならないだろうなあ・・・・・