ラピュタ阿佐ヶ谷
製作:東映
監督:山下耕作
脚本:村尾昭
撮影:山岸長樹
美術:富田治郎
音楽:斎藤一郎
出演:鶴田浩二 高倉健 小山明子 安部徹 金子信雄
山本麟一 名和宏 沼田曜一 八代万智子
1969年4月19日公開
昭和37年、任侠団体が大同団結して「大日本同志会」を結成することになりました。そんな折、関西地区代表の神戸流山組会長が急死します。葬儀は組の二代目を継いだ本庄(高倉健)を喪主に、葬儀委員長には関西丸和会会長の岩佐(安部徹)が当って無事に終えました。
間もなくして、関西地区の親分衆が集って「大日本同志会」の理事選出が行なわれ、本庄が理事に推されます。ところが、岩佐が本庄の選出に不服を唱えたため、流会となりました。関西丸和会五木組組長五木(鶴田浩二)は、親分筋に当たる岩佐の野望に危惧を抱きます。
そんなある日、五木は義兄弟の本庄から由起(八代万智子)との結婚話を聞かされ、五木の実弟で流山組幹部の常男(山本麟一)とともに喜びます。しかし、それも束の間、本庄は丸和会の吉岡組に襲われ、常男は重傷を負わされます。五木は事態を収拾するため、小指をつめて本庄に詫びを入れます。本庄は自分と岩佐の板挟みになる五木の心中を察し心を痛めます。
一方、本庄と理事選で争うことになった岩佐は、本庄と義兄弟の間柄の五木に、本庄を理事選から辞退するよう説得することを依頼します。本庄は五木の立場を慮って、自分から身を引こうとします。ところが、常男は理不尽な行為を繰り返す岩佐に立ち向かった末に、無残な最後を遂げます。この一件をきっかけに、本庄は五木に義兄弟の盃を返し、理事選に出馬するのですが・・・。
本作は主人公の人間関係のしがらみから生じる悲劇が描かれています。五木と本庄は義兄弟である一方、岩佐は五木にとって親筋にあたります。その岩佐と本庄は「大日本同志会」の理事の座を争っています。しかも、「大日本同志会」の理事長である菊池(金子信雄)は、五木の女房早苗(小山明子)の父親であり、岩佐は菊池にとって娘婿である五木を利用して理事の座を勝ち取ろうとしています。
また、五木の実弟の常男は本庄が二代目を継いだ流山組の幹部であり、言わば兄と敵対する組織に身を置いています。五木はこちらを立てればあちらが立たずと言った、板挟みの状態に常に置かれていて、主人公を演じる鶴田浩二の“我慢芝居”を最大限に発揮するにはうってつけの役柄になっています。
そして、この映画は同じ山下耕作監督の手掛けた「博奕打ち 総長賭博」を応用した任侠映画にもなっています。組長の跡目争いと後任理事の選出の違いはあれども、人事に関する揉め事は共通しており、裁定を不服とするはねっかえりが事態をより搔き乱す点も「総長賭博」の若山富三郎を本作の山本麟一に置き換えれば、納得してもらえると思います。
ドロドロとした人間模様だからこそ、対立した組織に身を置く五木と本庄の静かな絆の美しさが光ります。本庄が理事選の辞退を覆すのは難しいと察した五木は、義兄弟の盃を交わす場に立ち会った先代の墓前に、盃を残して本庄の前から立ち去ります。本庄は五木の苦悩を知り、盃を預かったまま理事選を辞退しようとします。それでも、最終的に盃を叩き割って義兄弟を解消してしまうのですから、岩佐や菊池は罪深いことをします。
互いのことを思いつつも、すれ違いから誤解を生み、歯車が狂いだした末に、運命のいたずらによって引き裂かれていく様を見ると、任侠映画が男同士のメロドラマのように思えてきました。











