チラシより
人気上昇中のアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」でセンターを務める山岡真衣は、中学時代の同級生・間山敬と偶然再会し、恋に落ちる。アイドルとして背負う「恋愛禁止ルール」と、抑えきれない自身の感情との間で葛藤する真衣。しかし、ある事件をきっかけに、彼女は衝動的に敬のもとへ駆け寄る。その8ヵ月後、事態は一変。所属事務所から「恋愛禁止条項違反」で訴えられた真衣は、事務所社長の吉田光一、チーフマネージャーの矢吹早耶らによって、法廷で厳しく追及されることとなる。
製作:東宝 ノックオンウッド agehasprings ローソン
監督:深田晃司
脚本:三谷伸太朗 深田晃司
撮影:四宮秀俊
美術:松崎宙人 長谷川功
音楽:agehasprings
出演:斎藤京子 倉悠貴 仲村悠菜 小川未祐 今村美月 桜ひなの 唐田えりか 津田健次郎
2026年1月23日公開
題名に“裁判”の文字が入っていますが、所属事務所とアイドルとの訴訟を巡る裁判劇を期待していると、肩透かしを食わせられます。どちらかと言えば、アイドルとファン及び恋人との距離に関して葛藤する物語となっています。したがって、序盤はアイドルグループの活動や彼女たちの日常亜生活が描かれ、メンバーの一人のやらかしによって、ヒロインがアイドルの恋愛に疑問を呈していく流れになります。
恋愛禁止と謳っているものの、清水菜々香はファンの一人と密かに交際しており、デートの際には同じメンバーの山岡真衣と大谷梨紗を同行させることでカムフラージュしています。そのデート中に、真衣はかつての同級生で現在は大道芸人をしている間山敬と再会します。後日、菜々香とファンの逢引きがカラオケルームで行われ、同席していた真衣、梨紗、敬たちは気を利かせて、二人だけにしてあげます。
ところが、菜々香が裏アカウントでカラオケルームでの親密な様子の写真をアップしたため、彼女はSNSで叩かれた上に、新曲におけるセンターの位置も剥奪されます。更に、交際していたファンとは別れ、握手会に暴走した別のファンが現れたことで、傷害沙汰の事件にまで発生します。それにしても、いくら親しい人間だけとは言え、裏垢に親しいファンとのツーショットを載せるのは脇が甘すぎ。
真衣は恋愛禁止のみならず、所属事務所に全て自分たちが管理されていることに鬱屈を抱えており、菜々香の引き起こした事件が引き金となって、衝動的に逃亡してしまいます。彼女が所属事務所にどのように反抗したのかは具体的に見せず、物語はいきなり8ヶ月後に飛び、所属事務所に裁判で訴えられる場面から始まります。
一応裁判の描写はあるものの、原告と被告との攻防もなく、極めて薄く描かれています。原告側の弁護士も優秀には見えず、深掘りしなかったのは正解だったかもしれません(笑)。一方、真衣は裁判費用を巡って敬との関係にもひびが入り始めます。そんな最中、所属事務所の事情が変化し、真衣と敬にある提案が持ちかけられます。その提案に対し、真衣がどのような決断を下すのかが、終盤の見どころとなってきます。
昔からアイドルは神聖化される傾向にあり、恋愛禁止も暗黙の了解とされていました。昔と違うのは、アイドルが手の届かぬ高嶺の花だったのが、握手会などでアイドルとの交流が身近になったことによって、ファンの意識が多少なりとも変化したことでしょう。
真衣が最終的に下した決断は、事務所からのお仕着せに唯々諾々と従うのではなく、自らの意思で道を開こうとすることを意味しており、それは自分のみならず、後に続く後輩たちのことを想っての選択の結果だったように思います。そのことを踏まえると、一番肝心の所属事務所の状況が変わった後の裁判の模様を一切見せることなく、結果だけを伝えるのは、一番見たいところをお預けされたようなモヤモヤ感だけが残りました。













