チラシより
1998年、ニューヨーク。メジャーリーグのドラフト候補になるほど将来有望だったものの、運命のいたずらによって夢破れた若者・ハンク(オースティン・バトラー)。バーテンダーとして働きながら、恋人のイヴォンヌ(ゾーイ・クラヴィッツ)と平和に暮らしていたある日、変わり者の隣人ラス(マット・スミス)から突然ネコの世話を頼まれる。親切心から引き受けたのもつかの間、街中のマフィアたちが次々と彼の家に殴り込んでは暴力に任せて脅迫してくる悪夢のような日々が始まった。やがてハンクは、自身が裏社会の大金絡みの事件に巻き込まれてしまったことを知る---。が、時すでに遅し!警察に助けを求めながら戦々恐々と逃げ続けていたある日、ついに大きな悲劇が起こる。理不尽な人生に堪忍袋の緒がブチキレたハンクは、一念発起して自分を巻き込んだ隣人やマフィアたちにリベンジすることを決意する---!
製作:アメリカ
監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本・原作:チャーリー・ヒューストン
撮影:マシュー・リバティック
美術:マーク・フリードバーグ
音楽:ロブ・シモンセン
出演:オースティン・バトラー レジーナ・キング ゾーイ・クラヴィッツ
マット・スミス ベニート・マルティネス・オカシオ
2026年1月9日公開
ハンクはメジャーリーグのドラフト候補に挙がるほど前途有望な野球選手でしたが、ドラフトの前日に牛をよけようとして自動車事故を起こしてしまいます。この交通事故の設定が物語の布石として後々まで効いていて、終盤には思わぬカタルシスを与えてくれます。この時の事故の怪我が元で、ハンクの選手生命が断たれたのみか、助手席に同乗していた友人の命まで奪ってしまい、ハンクは自責の念に駆られ立ち直れなくなります。
彼はニューヨークのバーでバーテンダーとして働いていましたが、隣人のラスが父親の容態の悪化によりロンドンに帰国しなければならなくなり、彼が留守の間に猫を預かる羽目になります。ラスが居なくなったことから、ハンクはマフィアの犯罪に巻き込まれ、ここから彼の受難劇が始まっていきます。
映画はハンクが危機的な状況を如何に乗り切っていくかが見どころのひとつになっています。彼からすればラスとマフィアの繋がりが皆目見当がつかず、おまけに自分が狙われる理由も分かりません。警察に通報しても、麻薬課の女性刑事ローマンが対応して、熱心に捜査する素振りが窺えません。そうこうするうちに事態は悪化の一途を辿り、ラスは日常を取り戻せない状況にまで追いつめられていきます。
ダーレン・アロノフスキーの映画では、「レスラー」と「ブラック・スワン」がお気に入りで、この犯罪映画も結構期待は高かったです。ただ、犯罪映画にしては全体的にグダグダな展開。犯罪者はなるべく目立たぬよう悪事を働くのが常なのに、本作では白昼堂々派手な犯行を繰り返します。犯罪者がバカに見えると、観るほうもシラけるのよね。
また、悪党とグルになる人物も、職業が隠れ蓑になっている筈なのに、おかしな言動が目立つため、然程意外性はありません。笑いを取るところもあって、意図的にユルい作りにしているのかもしれませんが、犯罪映画としてイマイチな感は拭えません。
その一方で、時折ダーレン・アロノフスキーの匠の技も垣間見えます。ユダヤ教の慣習を逆手にとって、ハンクが運転せざるを得ない状況に置いた上で、ユダヤ人のマフィアがピストル型のライターを取り出したことによって、ハンクが本来の持ち主のことを思い出し、打ちのめされていた彼の闘志に火が付きます。更に主人公のトラウマとなっている事故と結びつくことで負け犬の逆襲が叶えられ、観客にも快感を与えるこの一連の流れには唸らされました。
この映画はメジャーリーグネタが適度に出ていて、ニューヨークが舞台にも関わらず、主人公とバーに集う客はサンフランシスコ・ジャイアンツの熱狂的なファン。90年代終わりの時代なので、劇中ではバリー・ボンズやマイク・ピアザの名が出たりもします。ただ、主人公が元野球選手の設定にも関わらず、アクション描写に野球を活かした場面が見られなかったのは勿体なく思いました。











