ラピュタ阿佐ヶ谷
製作:にっかつ ISMいずみプロダクション
監督:瀬川昌治
脚本:田坂啓
原作:広岡敬一
撮影:米田実
美術:徳田博
出演:奈美悦子 沢井孝子 朝比奈順子 山口小枝 鈴木ヒロミツ
鈴木ヤスシ 小林稔侍 勝部演之 上野淳 芝三郎 乱孝寿
1984年1月13日公開
トルコ風呂のメッカ、ちろりん村こと“雄琴”で働き出して三年になる風俗嬢のアリス(奈美悦子)は、客として知り会ったトラック運転手の本庄(小林稔侍)と結婚して、第二の人生を歩もうとしていました。彼女は仲間の風俗嬢からお姉さんと慕われ、中でも、マヤ(朝比奈順子)とは同じマンションに住んでいることから姉妹の様な交流がありました。
ある夜、帰路についたアリスとマヤはひったくりに遭います。ところが犯人の女を掴まえると、それはアリスの妹たまえ(山口小枝)でした。たまえは家出をし、男とも別れて雄琴に流れて来たのでした。アリスはたまえに一万円を渡し、実家に帰るよう追い返します。
一方、マヤには自称経営コンサルタントの徳川(鈴木ヒロミツ)というヒモが居ましたが、徳川はマヤとも親しいトルコ嬢のデラ(沢井孝子)を始め、何人もの風俗嬢のヒモになっていました。ところが、デラがマヤたちのマンションに引っ越した際に、徳川が二人のヒモであることが判明します。
その頃、風俗街を生野(鈴木ヤスシ)という男がアリスと縁りを戻そうとして、彼女の居場所を尋ね歩いていました。また、実家に戻らずにいたたまえは別れた男と遭遇し、男はたまえと別れる代わりにアリスに金を要求してきます。アリスは妹も男と同じヤク漬けにされていることに気づき、見捨てておけなくなるのですが・・・。
本作は広岡敬一の風俗ルポルタージュ「ちろりん村顚末記」をもとに描いたドラマです。雄琴のトルコ嬢を描いた映画では、橋本忍が監督した迷作「幻の湖」がありましたが、風俗嬢の生活感はあまり感じられませんでした。
それに比べると、店でのサーヴィスは具体的に描かれ、所々時刻を表示することで、風俗嬢がどんな時間にどんなことをしているかも理解できました。また、かよわい少女が義父に犯されたことをきっかけに、風俗で働くうちにしたたかで逞しく変化を遂げた女を、奈美悦子は説得力を持った芝居で演じていました。
この映画に登場する男たちはいずれもロクデナシばかり。未成年の娘を犯す義父、アリスの昔のヒモの生野、たまえを離さないヤクに溺れている男、デラとマヤの二股をかけている徳川と言った具合。その中では鈴木ヒロミツ演じる徳川は、コメディリリーフな役どころもあって可愛げがありました。風俗嬢の周囲にいる男がロクデナシばかりなため、男気のあるトルコ風呂の店長のいい人振りが際立っていました。
この映画に一番期待したのは、奈美悦子と小林稔侍の濡れ場の場面でした。ただし、本来前半に見せる筈のシーンを、敢えて観客を焦らすように終盤に持ってきています。濡れ場を終り近くにしたため、その影響でラストに到るまでがやや冗長な感じを与えているのは否めません。おそらく瀬川昌治監督も話がズムーズに進まない弊害は分かっていたでしょう。
それでも二人の濡れ場を敢えて回想形式にしたのは、ヒロインの結末をより劇的にしたかったものと思われます。しかも、作り手がアリスの昔のヒモだった男を思わぬ形で巧みに排除した演出だっただけに、ハッピーエンドの流れを断ち切る展開の後味の悪さは絶大。一応、ヒロインが恨みを買う伏線を張ってあるので、後出しジャンケンではないけれど・・・。アリスが来るのを待つ間、琵琶湖に向って水切りをする本庄とその息子の姿が何とも切なかったです。











