チラシより
1789年――自由、平等を求めた市民によって始まったフランス革命。マリー・アントワネットは斬首刑に処され、国内の混乱が続く中、天才的な軍事戦略で諸外国から国を守り皇帝にまで上り詰めた英雄ナポレオン。最愛の妻ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、フランスの最高権力を手に何十万人の命を奪う幾多の戦争を次々と仕掛けていく。冷酷非道かつ怪物的カリスマ性をもって、ヨーロッパ大陸を勢力下に収めていくが――。フランスを<守る>ための戦いが、いつしか侵略、そして<征服>へと向かっていく。彼を駆り立てたものは、一体何だったのか?
製作:アメリカ
監督:リドリー・スコット
脚本:デヴィッド・スカルパ
撮影:ダリウス・ウォルスキー
美術:アーサー・マックス
音楽:マーティン・フィップス
出演:ホアキン・フェニックス ヴァネッサ・カービー ベン・マイルズ タハール・ラヒム
リュディヴィ-ヌ・サニエ ジョン・ホリングワース マシュー・ニーダム
ポール・リース イアン・マクニース
2023年12月1日公開
ナポレオンに関しては詳しくはないのですが、ダイジェスト版を見せられたような味気なさを感じました。Apple TVで配信される拡張版は4時間以上あるらしいので、歴史に興味がある方は、そちらを観たほうが良いかもしれません。
ただし、戦闘場面はさすがにスクリーンで鑑賞するだけの迫力と価値があり、戦闘機や戦車のない時代の古風な戦いはスペクタクルな見ものでした。できれば、予告編にあるような工夫を凝らした戦闘をもう少し観たかったですが、史実に倣ったので仕方ないとは言え、やや単調になったきらいがあります。
個人的にはナポレオンによる戦闘やジョセーフィーヌとの屈折した関係以外に、政治面をもっと掘り下げて欲しかったですね。せっかく、ロベスピエール、ジョセフ・フーシェ、タレイランが登場しても、顔見世程度に終わっているのが何とも残念。尤も、その部分に大きく時間を割くと、ナポレオンの伝記映画としては尺がとても足りなくなるのですが・・・。
そして、ラストは戦死者数が淡々と示されて終わります。ナポレオンの業績よりも、案外、戦争の犠牲者の数こそが映画の肝だったようにも思います。