恋人を失った兵士がAIの少女とクリエイターを探す旅に 「ザ・クリエイター 創造者」を観て | パンクフロイドのブログ

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ザ・クリエイター 創造者 公式サイト

 

チラシより

遠くない未来---核を爆発させたのは、AIだった。進化したAIとの激しい戦争がつづく世界で、元US特殊部隊の〈ジョシュア〉は、“クリエイター”と呼ばれる存在が人類を滅ぼす兵器を創り出したという情報をつかむ。その隠し場所は、AIと人が共生する国家“ニューアジア”。兵器の破壊に向かうジョシュアだったが、そこにいたのは、純粋無垢な超進化型AIの少女〈アルフィー〉だった。そして彼は“ある理由”から、アルフィーと共にクリエイターを探す旅に出る。兵器と呼ばれた少女は、なぜ創られたのか。クリエイターの正体とは。争いの果てに、ふたりが見つけた真実とは・・・?

 

製作:アメリカ

監督・原案:ギャレス・エドワーズ

脚本:クリス・ワイツ ギャレス・エドワーズ

撮影:グレイグ・フレイザー

美術:ジェームズ・クレイン

音楽:ハンス・ジマー

出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン マデリン・ユナ・ヴォイルズ

     渡辺謙 ジェンマ・チェン アリソン・ジャネイ

2023年10月20日公開

 

人類とAIの戦いの映画は、すぐに「ターミネーター」シリーズが思い浮かびますが、本作はそれほど単純な構図でもありません。AIロボットを全て排除しようとする大国に対し、AIと共生しながら暮らしていこうとする寛容な民族も居て、西洋と東洋の価値観を巡る闘いでもあると言えます。時折、ベトナム戦争やチベットへの弾圧を彷彿とさせる描写もあり、過去の大国の起こした戦争や、今も尚続く武力による現状変更への批判も含まれているかもしれません。

 

映画では、ギャレス・エドワーズの日本文化への愛と敬意を感じさせる箇所も散見されます。監督もインタビューで語っているように、ジョシュアとアルフィーは「子連れ狼」を参考にしていますし、日本語の台詞、エンドクレジットにおけるカタカナ表記を始め、近未来の渋谷としか思えない風景が挿入されたり、アルフィーの見ているテレビに宇津井健の「スーパージャイアンツ」らしき映像が流れていたりと、日本に所縁のある演出はちょっぴり嬉しくもあります。

 

また、“ノマド”を始めとする巨大なものが圧をかけてくる見せ方に長けていて、終盤にある事実が明らかになると、AIに感情移入したくなる演出の巧さも感じさせました。「ブレードランナー」のような未来都市の風景における煌びやかさといかがわしさがある一方で、タイ、インドネシア、カンボジア等で撮った素朴な風景が好対照を為し、そこで繰り広げられるアクションの数々も見どころのひとつとなっていました。