四方八方敵だらけ?「カンダハル 突破せよ」を観て | パンクフロイドのブログ

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チラシより

イラン国内に潜入中のCIA工作員トム・ハリス(ジェラルド・バトラー)は、核開発施設の破壊工作に成功した直後、CIAの内部告発により機密情報が漏洩し全世界に正体が明かされてしまう。即刻ミッションを中止し中東からの脱出を図るトムが目指すのは、アフガニスタン南部のカンダハルにあるCIA基地。30時間後に離陸する英国SAS連隊の飛行機に乗らなければ、生き残るチャンスはない。イランの精鋭集団・コッズ部隊のほか、パキスタン軍統合情報局(ISI)も絶好の「金づる」になりうるトムの捕獲に乗り出し、さらに、タリバンの息がかかったゲリラ、金次第で敵にも味方にもなるウォーロード率いる武装集団など、トムの行く手にはさまざまな勢力が立ちはだかり、敵味方の入り乱れる壮絶な死闘へと追跡劇が繰り広げられる。はたして執拗に襲いかかる敵の追跡をかわし、無事カンダハルに辿り着くことができるのか?荒涼たる中東の大地を舞台に、三つ巴・四つ巴のはてしなき追跡劇が幕を開ける!

 

製作:イギリス

監督:リック・ローマン・ウォー

脚本:ミッチェル・ラフォーチュン

撮影:マクレガー

美術:ビンセント・レイノー

音楽:デイヴィッド・バックリー

出演:ジェラルド・バトラー ナヴィド・ネガーバン アリ・ファザール

         バハドール・フォラディ トラヴィス・フィメル

2023年10月20日公開

 

序盤のうちは登場人物の背景や関係性が理解しにくい上に、中東に関する予備知識をあまり持たないままの鑑賞だったので、そこはもう少し予習が必要だったと悔やみました。特にイラン革命防衛隊、パキスタン軍統合情報局(ISI)、タリバン、アフガニスタンの軍閥等がどのような関係にあるのかくらいは事前に把握しておきたかったです。ただし、敵中突破もののスパイアクション映画と割り切って観れば、それなりに楽しめると思います。

 

この映画は銃撃戦、カーチェイスのみでなく、観る者の琴線に触れる場面も用意されています。主人公のトムの家庭事情(妻から離婚を迫られる、10代の娘の卒業式に間に合うかヤキモキする)を始め、トムの相棒となる通訳のモハメドが、何も知らされず通訳を引き受けたばかりに、大変な思いをさせられる辺りは感情移入したくなります。殊にモハメドはウォーロード率いる組織に長男を殺されているだけに、ウォーロードに挑発された際の自制的な行動には胸が熱くなります。

 

また、トムを執拗に追うISIのカヒルが、トムたちを暗殺しようとした少年に対し、教え諭す言葉も胸に刺さります。「お前の行為は信念に基づいたものなのか?単に上の者から言われただけに過ぎないのではないか?」と。

 

この映画では我々日本人とは異なる宗教観、価値観、モラル等を見せられます。ウォーロードがトムと友好関係にあるにも関わらず、容易く寝返るのはほんの一例。暑苦しいジェラルド・バトラー主演のアクション映画と言ってしまえばそれまでですが、世界には日本人の尺度では測れない社会が存在することを知る意味では、観て損のない映画と思います。