老芸人が自ら身を引く美学 「ライムライト」を観て | パンクフロイドのブログ

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私たちは何度でも立ち上がってきた。
ともに苦難を乗り越えよう!

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

 

ブログを始めてから、13年目に突入しました。当初は、半年続くかどうかも分からなかったのに、ここまで持続するとは思ってもみませんでした。これも、皆様からいただいたコメントやいいねによって、励まされたおかげと思います。改めてお礼を申し上げます。今でこそ、ほぼ映画に特化したブログになっていますが、開始当初は気ままに様々な事を書いておりました。今年は原点に戻って、映画以外のことも記事にしたいと思いつつ、実際はどうなることやら・・・。

 

角川シネマ有楽町

没後45周年 フォーエバー・チャップリン より

 

製作:アメリカ

監督・脚本・原作:チャールズ・チャップリン

撮影:カール・ストラス

美術:ウジェーヌ・ルーリエ

音楽:レイ・ラッシュ チャールズ・チャップリン

出演:チャールズ・チャップリン クレア・ブルーム バスター・キートン

         シドニー・チャップリン ナイジェル・ブルース ノーマン・ロイド

         マージョリー・ベネット ウィーラー・ドライデン

1953年2月18日公開

 

第一次世界大戦前の英国。老コメディアンのカルヴェロ(チャールズ・チャップリン)は、かつて英国屈指の芸人と謳われましたが、今では落ちぶれて酒を呑む日々を送っていました。そんなある日、彼が酔ってアパートに帰ってみると、美しい女がガス自殺を企てて意識不明になって倒れているのを発見します。カルヴェロは大急ぎで医者を呼び、彼女を手当てしたため一命を取り留めます。

 

女はテリー(クレア・ブルーム)というバレエの踊り子で、姉が娼婦となって自分のレッスン代を払ってくれていたことを知ってから足が麻痺してしまい、絶望のあまり命を絶とうとしたのでした。カルヴェロは生きる気力を失った彼女が全快するまで自室で面倒を見ることにします。カルヴェロは彼女を励まし、生きるために闘わなければいけないと力説します。しかし、カルヴェロが舞台にカムバックしようとして失敗した時、皮肉な事にテリーは再び歩けるようになります。

 

再び踊りはじめたテリーは、有名なエンパイア劇場にバレエ・ダンサーの職を得ます。そして半年もたたぬうちに小屋主や作曲家のネヴィル(シドニー・チャップリン)にも気に入られ、新作バレエの第一ダンサーに抜擢されます。テリーに惚れ込んだネヴィルは彼女に愛を告白します。しかし彼女の想いは常にカルヴェロにありました。その結果、テリーはカルヴェロに結婚しようと言い出す始末。カルヴェロは彼女の前から消え去り、辻音楽師へと落ちぶれてゆきます。

 

テリーはヨーロッパ各地での興業でも絶賛されます。やがて、第一次世界大戦が始まりネヴィルは出征していきます。ロンドンに戻ったネヴィルはテリーを口説きますが、彼女はまだカルヴェロのことが忘れられずにいました。そんなある日、テリーは街角で偶然カルヴェロに再会します。彼女は、もう一度彼を舞台に立たせるように手筈を調えるのですが・・・。 

 

戦前の体技で笑わせるチャップリンが好きな者にとっては、やや苦手な部類の映画に入ります。いい話ではあるのですけれど、全体的に笑いが抑え気味なのも居心地が悪く感じられます。社会批評や風刺は影を潜め、没落した老コメディアンの個人的な悲哀が胸に迫ってくる一方で、自殺を図ろうとしたテリーに対して人生訓を垂れるのが説教臭く感じられます。

 

ただし、チャップリンらしい哀感は常に保たれており、自殺しかけた踊り子を再起させ、自分は身を引いて若い作曲家と添い遂げさせようとし、最後の舞台で静かに退場していく流れは日本人好みと言えます。2時間超の映画はやや長く感じられましたが、バスター・キートンとの舞台での共演、相手役のクレア・ブルームの清楚さは深く印象に残りました。