胃もたれするほどステーキをがっつり食った感じ 「ザ・ロック」を観て | パンクフロイドのブログ

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こうのすシネマ

午前十時の映画祭11 より

 

製作:アメリカ

監督:マイケル・ベイ

脚本:デヴィッド・ワイズバーグ ダグラス・S・クック マーク・ロスナー

撮影:ジョン・シュワルツマン

美術:マイケル・ホワイト

音楽:ニック・グレニー=スミス ハンス・ジマー

出演:ニコラス・ケイジ ショーン・コネリー エド・ハリス マイケル・ビーン ウィリアム・フォーサイス

         デヴィッド・モース ジョン・スペンサー ジョン・C・マッギンレー トニー・トッド

         ボキーム・ウッドバイン クレア・フォーラニ

1996年9月14日公開

 

米海軍のハメル准将(エド・ハリス)は、部下と共に海軍兵器庫から致死性の神経ガス・ロケット弾を奪い、観光客を人質に取ってアルカトラズ島に立て籠ります。ハメルは1億ドルを要求した上で、ロケットの照準をサンフランシスコに向けます。ハメルたちの奪った兵器の効力を失わせることができるのはプラズマ兵器だけですが、まだ開発中の段階でハメルが設定してきた期限までに間に合うかは覚束きません。

 

その結果、国防省とFBIは島に潜入してロケットの目標装置を除去する方法で一致し、FBIの化学部に属するスタンリー・グッドスピード(ニコラス・ケイジ)がその任務に選ばれます。しかし、アルカトラズ島は脱獄不可能な刑務所として知られ、もともと複雑な設計に加えて増改築を繰り返したため、内部を知る者は誰もいません。

 

そこで、33年前にここから脱獄した囚人ジョン・パトリック・メイソン(ショーン・コネリー)に白羽の矢が立ちます。彼は英国の元諜報部員でしたが、その存在は抹消され、幽閉され続けていました。メイソンはFBI長官のウォマック(ジョン・スペンサー)と確執があり、恩赦を条件に協力を要請するFBIの言葉を信じないまま、アンダーソン中佐(マイケル・ビーン)率いる海軍特殊部隊と共に島に潜入します。

 

しかし、潜入中にハメルの部隊が仕掛けたセンサーに引っ掛かり、銃撃戦となりアンダーソン中佐の特殊部隊は全滅し、生き残ったのはグッドスピードとメイソンの2人だけとなります。それでも彼らは、ハメルの部下の追撃を振り切りながらロケットを解体していきますが、ついに敵の手に落ちます。二人は独房に閉じ込められるものの、メイソンの手によって二人は脱獄に成功し、残る2基のロケットを探し始めるのですが・・・。

 

今期の“午前十時の映画祭”を鑑賞するのは本作が初めてですが、料金体系が変更されていて面食らいました。以前は一律1100円でしたが、今期から劇場ごとに料金設定されていて、私の地元のシネコンでは一般:1500円、シニア:1200円、学生:1000円となっています。私の場合、今年の2月で還暦を迎えたため1200円で観られるものの、実質100円の値上げ。それでも、徒歩で行ける距離にシネコンがあり、そこで午前十時の映画祭の作品が鑑賞できるのですから、あまり贅沢は言えないでしょう。

 

「ザ・ロック」は封切り時に観たきりで、大まかなストーリーしか憶えていません。大味なアクション映画は如何にもマイケル・ベイらしく、初見時は荒さばかりが目につきました。当時の日記を読み返してみると、ショーン・コネリーの貫禄たっぷりな芝居とアクションシーンは褒めていても、水増しして無駄のある脚本には苦言を呈していましたね。今回の鑑賞も初見時の印象と然程変わらないものの、結構楽しめましたよ。

 

グッドスピードとメイソンがアルカトラズ島に潜入する前の話が無駄に長いのもご愛嬌。メイソンが成人した娘ジェイドに一目会うというだけのために、大掛かりなアクションを持ち込むのは如何かと思いつつ、そのアクションシーンがこの映画の一番の見せ場になっているから困ります(笑)。サンフランシスコの坂道を車で追っかけっこをするアクションは、さすがハリウッド映画と唸るほどド派手でド迫力。市電まで巻き込む辺りも、土地柄を巧く活かしています。

 

それと、製作者の趣味かもしれませんが、ロックネタも随分散見されます。ビートルズの「ウィズ・ザ・ビートルズ」をCDではなく高い金を出してアナログレコードを購入する主人公のこだわり、メイソンの髪型をグランジロックに例えるいじり、エルトン・ジョンの「ロケット・マン」に引っ掛けた笑っちゃう程はっちゃけた演出など、タイトルの「ザ・ロック」は岩だけでなくロックンロールの意味も持たせているように思われます。

 

話の根底には、政府に見捨てられた軍人に対して、正当な名誉と報酬が与えられないことへの苛立ちがあり、その意味では今年公開された「フル・ラスト・メジャー」と相通ずるテーマがあります。両作品にエド・ハリスが出演しているのも何かの因縁を感じさせます。実戦経験のないグッドスピードが銃撃戦で敵を倒したり、アルカトラズ島の重要な場所に見張りをつけなかったりと、相変わらずご都合主義的なものが目につくものの、その一方で目を瞠るアクションもお目にかかれるので、マイケル・ベイの映画はなるべく寛大な気持ちで鑑賞したいです(笑)。