恋は異なもの 「女性自身」を観て | パンクフロイドのブログ

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2019年11月に観た映画です。記事にし損ねた映画は結構あって、折に触れて取り上げたいと思っています。

 

ラピュタ阿佐ヶ谷

ラブコメ大好き! より

 

製作:東宝

監督:福田純

脚本:堀江史朗 樫村三平 福田純

原作:源氏鶏太

撮影:遠藤精一

美術:浜上兵衛

音楽:沢田駿吾

出演:藤山陽子 浜美枝 水野久美 佐原健二 太刀川寛 藤木悠 原知佐子 中谷一郎

1962年5月22日公開

 

東京化工に勤務する矢代真理子(藤山陽子)は、営業課にいる多久孝平(佐原健二)と同僚の悠美子(浜美枝)がキスしている現場を目撃します。その後、真理子は悠美子から孝平と深い仲になっていることを聞かされた上に、二人の仲を取り持つよう頼まれます。また、同じ課の石本(藤木悠)からも一方的な求婚をされ大弱りの状態。更に、真理子は孝平から好意を持たれたことで、二股かけるつもりなのかと彼にも反発を覚えます。

 

周りにロクな男しかいないと感じた真理子は、姉の真喜子(原知佐子)が断った相手と見合いをする気になります。見合の当日、両親と共に出向いた真理子は、相手の青年社長の柴北駿太郎(太刀川寛)の親代りとして連れてきた二人を見て驚かされます。そこにはバー「ホワイト」のマダム(中北千枝子)と孝平が同席していたからです。柴北と孝平は学生時代からの親友で、柴北に頼まれて二人が出席していたのでした。

 

孝平も、真理子が柴北の見合の相手と知って複雑な思いに駆られます。柴北が一目見て真理子を気に入ったのを認めると、孝平は彼に恋のライバルであることを宣言し、恋愛合戦が展開されます。一方、悠美子は石本と協力して、真理子を孝平から引きはがそうとするものの、孝平に脈がないと見るや、自棄を起こして睡眠薬五十錠を飲んでしまうのですが・・・。

 

他愛ないラブコメと言ってしまえばそれまでですが、それなりに面白さは見出せます。終業時間になり、OLたちが化粧室でスポンサーのカネボウの名前を、あからさまに宣伝目的で口に出すのがまず笑えます。

 

真理子は姉の付き合っている彼氏(伊藤久哉)が女にだらしないため、男に対してはやや不信感を抱いています。給湯室で友人の悠美子と孝平がキスしている現場を目にしたことも手伝って、いくら孝平が真理子に好意を寄せても警戒心を露わにします。おまけに、悠美子から孝平に関してあることないこと吹き込まれているため、余計に彼に対して反発を覚えるのです。

 

ヒロイン役の藤山陽子は、この映画が本格的な主演作品。正統派の美人女優ではありますが、コメディエンヌとしては決め手に欠けます。むしろ、孝平にご執心の悠美子役の浜美枝のほうが、ヒロイン以上に目立っていました。かなり図々しい女なのですが、これ位徹底すると却って清々しさすら感じさせます。

 

真理子に孝平を喫茶店に連れて来るよう頼んだにも関わらず、勝手に一人で帰ってしまうし、孝平が真理子に気があると勘づくと、真理子に孝平に近づかないよう釘をさしておく一方で、真理子と結婚したがっている石本と共同戦線を張り、二人の恋路を邪魔しようとします。悠美子はちょっとしたことで泣く癖があり、そのたびに真理子からハンカチを借りて鼻を噛み、そのままハンカチを自分のものにしてしまう描写がギャグになっています。

 

相手の気持ちを考えずに猪突猛進する点では石本も同様で、藤木悠にはピッタリの道化役。こちらも悠美子のように強引なやり方が、却って狙った相手を辟易させ、逆効果になっています。誤解が更に誤解を呼び、結ばれないかと思わせながらも、最後には二人がくっつくのは、このジャンルのお約束。でも冷静に考えると、真理子も悠美子と同じくらい、孝平には酷い扱いをしていますけどね(笑)。