歌がご機嫌な「グリース」を観て | パンクフロイドのブログ

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こうのすシネマ

午前十時の映画祭 より

 

 

製作:アメリカ

監督:ランダル・クレイザー

脚本:ブロンテ・ウッダード アラン・カー

撮影:ビル・バトラー

音楽:アンディ・ギブ

出演:ジョン・トラヴォルタ オリヴィア・ニュートン・ジョン ストッカード・チャニング ジェフ・コナウェイ

1978年12月26日公開

 

ダニー(ジョン・トラヴォルタ)とサンディ(オリヴィア・ニュートン・ジョン)は夏休みに避暑地の海岸で知り合い、夏が終わる頃別れを告げました。ひと夏で終わるはずの恋は、サンディが父親の転勤でライデル高校に転校したことによって、二人は思いがけず再会を果たします。ダニーはライデル高校の”T・バーズ”と呼ばれるグループのリーダーで、仲間の手前、サンディにつれない振りをしなければならず、その振る舞いがサンディを怒らせます。彼女は転校早々にリッゾ(ストッカード・チャニング)が率いるピンク・レディースの仲間たちと仲良くなり、行動を共にするようになります。

 

そんな折、ライデル高校が、TV局の主催する全米高校ダンス・コンテストの会場に指名されます。一度は仲違いしたダニーとサンディでしたが、仲直りをしてダンス・コンテストではペアを組むことになります。ところが、アクシデントによって、ダニーはT・バーズの宿敵である”スコーピオンズ”のリーダーのガールフレンドとペアを組んで優勝してしまいます・・・。

 

午前十時の映画祭のラインナップを見ると、どうしてこの映画が選ばれたの?と疑問に思うことは結構あります。本作もそのうちのひとつで、確かにヒット作ではありますが、名作と呼ぶには些か憚れます。ただし、意外とこの手の映画をスクリーンで観られる機会は少なく、私のようにまだ観ていない者にとってはありがたい選択でもあります。

 

本作は、出演者のファッション、ダンス・コンテストで演奏される曲がオールディーズ、白黒のテレビ、ドライヴインシアターでの上映作品が「マックイーンの絶対の危機」などから、おそらく50年代後半のアメリカを舞台にしていると思われます。学園生活を描きながら、黒人の生徒どころか、黒人自体が映画ではほとんど目にすることがなく(ラスト近くにチラホラ姿が見える程度)、当時の高校の事情が知りたくなります。また、卒業後のレセプションに移動式の遊園地が校庭に設置され、こうした卒業生を送り出す趣向は一般的だったのかと興味もそそられます。

 

ヒロイン役のオリヴィア・ニュートン・ジョンは高校生にしては薹が立っていて(日本の公開時には30歳を過ぎていましたね)、むしろ彼女より年上のストッカード・チャニングのほうが、(容姿はともかく)役に馴染んでいたのが面白かったです。サンディのキャラクターにしても、ダニーに対して感情の起伏が激しく、狭量な女と思わせてしまうのは、オリヴィアにとっては損な役回り。それでも彼女には歌という強い武器があります。ミュージカルの場合、歌の場面で本人が歌うのは、昔も今も意味が大きいですよ。歌も踊りも吹替を使わずに本人が演じるのを、ミュージカルの本道とすれば、この映画ではオリヴィアが歌うし、トラヴォルタも踊りを満遍なく披露するので、王道を行っていると言えますね。

 

本作は初見ながら、公開当時劇中で流れる曲はよく耳にしていたので、初めてという気はあまりしません。フランキー・ヴァリの「グリース」、オリヴィアの「愛すれど悲し」、トラヴォルタとオリヴィアのデュエット「想い出のサマーナイツ」「愛のデュエット」の4曲は、今でも耳に馴染んでいます。ダニーは仲間の手前、サンディの前では粋がっために、それが誤解を生んで二人の仲がギクシャクしますが、根は好人物。そんなダニーに対して、サンディがそれまでのネガティブな面を帳消しにするほどの行為を最後に見せます。それは彼女が一皮剥け、成長した証でもあります。

 

グリース フランキー・ヴァリ

 

想い出のサマーナイツ ジョン・トラヴォルタ&オリヴィア・ニュートン・ジョン

 

愛すれど悲し オリヴィア・ニュートン・ジョン

 

愛のデュエット ジョン・トラヴォルタ&オリヴィア・ニュートン・ジョン