フィルム・ノワールの世界⑪「脅迫者」を観て | パンクフロイドのブログ

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私たちは何度でも立ち上がってきた。
ともに苦難を乗り越えよう!

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

正月三が日は音楽DVDの鑑賞三昧。

その合間にCSで放映されていた香港映画を観るという具合に

ぐうたらな毎日を送りました。

今年は、せっかく購入したにも関わらず

手をつけずにいたDVDを、観るようにしたいと思っています。

手元にあると、いつでも観られるという安心感から

封を切らずにいるDVDが溜まっており

正月の3日間は、少しでもそれが解消できました。

ちなみに正月に観たのは下記の通りです。

 

音楽DVD

 

中森明菜

ビター&スウィート 1985サマー・ツアー

Live in ’87 A HUNDRED days

Live in ’88 Femme Fatale

イースト・ライヴ インデックス23

~夢~ ’91 AKINA NAKAMORI Special Live

 

谷村有美

FEEL MIE SPECIAL 1993 ~A MON COEUR~

 

じゃがたら

HISTORY OF じゃがたら ナンのこっちゃⅠ1980-1986

 

岡林信康&はっぴいえんど、五つの赤い風船、浅川マキ 遠藤賢司他

だからここに来た!1970年全日本フォーク・ジャンボリーの記録

 

吉田拓郎、かぐや姫、ウィークエンド他

吉田拓郎・かぐや姫 コンサート・イン・つま恋 1975

 

清水ミチコ

LIVE 清水ミチコのお楽しみ会

ミッちゃんは音楽に入れていいのかなぁ。どちらかと言うとお笑い寄りなのだが・・・。

 

テレビ視聴 CS ムービープラスHD

男たちの挽歌

男たちの挽歌Ⅱ

ドランクモンキー 酔拳

 

シネマヴェーラ渋谷

フィルム・ノワールの世界Ⅱ より

 

脅迫者

 

製作年:1951年

製作:アメリカ

監督:ブレステイン・ウィンダスト

脚本:マーティン・ラッキン

撮影:ロバート・バークス

美術:チャールズ・H・クラーク

音楽:デヴィッド・バトルフ

出演:ハンフリー・ボガート ゼロ・モステル テッド・デ・コルシア エヴェレット・スローン

1954年8月公開

 

地方検事補マーティン・ファーガスン(ハンフリー・ボガート)は、殺人請負業の首領アルバート・メンドサ(エヴェレット・スローン)を裁判の場で有罪にさせようとしていましたが、有力な証言者であるジョゼフ・リコ(テッド・デ・コルシア)が報復を怖れて逃亡した挙句、墜死してしまったため、振り出しに戻らなければなりません。開廷時間が迫る中、ファーガスンは調書を読み直し、見落とした箇所がないか必死に調べてゆきます。

 

彼は組織の一味のデューク(マイケル・トーラン)が、命令によって自分の恋人を殺さざるを得なかったことを告白した発端から、事件の経緯を追います。デュークが殺した相手は、ニーナ・ロンバートという娘で、ニーナと相部屋の娘テレサ・デイヴィス(パトリシア・ジョイナー)から、ニーナが未解決となっているメンドサの犯行の目撃者であったことも判明します。更に関係者を当たっていくうちに、ラージック(ゼロ・モステル)という男が捜査線上に浮かび、彼を捕まえると、ニーナ殺しに一役買っていたことを白状させます。

 

彼の話によると、組織の一味の犯行後、葬儀屋が死体の処理を引き受けており、警察はその葬儀屋の名も聞き出すことに成功します。ネルスン警部(ロイ・ロバーツ)率いる一隊は直ちに葬儀屋を急襲して主人を捕まえ、後は芋づる式にメンドサまで辿り着きます。ただし、彼を有罪にする決め手は見つからず、唯一の証人も死亡・・・。八方ふさがりのファーガスンでしたが、リコの取り調べのテープを聴くうちに、もう一人メンドサを処刑台に送る証言のできる人物に思い当たります。

 

映画は、唯一の証人が死んでしまったために、事件を最初から再検討するという形で、回想形式の話術で話が進んでいきます。その結果、犯罪に関わった者たちが彼に支配されてきた過程を、ベールを一枚一枚剥がすように、ファーガスン側から語られてゆきます。観客もファーガスン同様に事情が分からないため、五里霧中の状態。そんな訳ですので、犯罪者たちがメンドサを異様に怖れる様を摩訶不思議な気持ちで眺めるほかありませんが、点が線となり、線が面となって、次第に事件の全貌が明らかになる醍醐味を味わえます。

 

また、ファーガスンが調書を再読するうちに引っ掛かりを覚え、リコの証言を録音したテープを聴き、その違和感を確信する一方で、リコも被害者の写真を見せられ一瞬にして自分の犯した過ちに気づくあたりの畳みかけるような演出は、映画ならではの見せ場と言えます。作り手の仕掛けたトリックは、カラーだと一瞬にして明らかになりますが、白黒映像であるためにトリックが利いてきます。警察に厳重に拘束されているはずのメンドサが、どのように外部と連絡を取れたのかは謎ですが(笑)、残された唯一の証言者を巡り、ファーガスンが殺し屋たちの手から守る攻防は、ハラハラドキドキさせます。そして事が一段落した後、すぐに切り上げる幕の引き方も鮮やかでした。