レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -533ページ目

見えざる世界

どうにかこうにか対向車とすれ違う事が出来る

といったような道路を走っていた。

道路の左右は田んぼと雑木林が続き、

とぎれとぎれながらも民家もある。

抜け道としては便利なのだが、急ぎの時以外は通らない。

この道を通ると、

自分がとんでもない山間に迷い混んだような、

奇妙な錯覚に陥る。

まるで巨人が、どこからか山を切り取ってきて、

無造作におき去ったような土地だ。

堺から大阪狭山にかけて、そんな場所が点在する。

真夏を彷彿させるような日照りだが、

少し車の窓を開けてみると涼やかな風がある。

車のエアコンを切り、窓を全開にしてみると、

勢いよく草の匂いが車中に飛び込んできた。

思わず、車を停めて、道路脇の石に腰をおろし、

ぽぅ~としたくなる。

しばらくすると、大きな木の陰から、

見たこともないような異形の生物が出てきそうな気がする。

そして、異形の生物は

「おいら、退屈していたんだ。ねえ、おいらと遊ぼうよ」

なんて、話しかけてくる。

確かにそこは、まわりとは違った時間が流れている。

ほんの数百メートル向こうには、

人や車が賑やかに往来する道路が通っているのに、

一度入り込むと二度と元の世界に戻れないような気がする。

懐かしさと不安が入り混じる不思議な場所。

そう思いながらも、いつかじっくりと歩いてみたいと思っている。

子供の頃、当たり前のように見ていた世界が、

そこにはあるような気がする。

あると信じる者にしか見えない世界があるのかも知れない。

いや、人にはそんな世界が必要なのではなかろうか?

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