レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -478ページ目

不思議な世界の本たち

通販の受注票を確認していて、思わず動作が止まった。

店で休憩の合間合間に読みはじめている本にオーダーが入っている。

目をはっきり開けてみても、しかめてみても、片目でみても

やはり今、読んでいる本だ。

試しに、魔法使いジニー(知らんか)のように腕組みをしてウインクをしても

奥様は魔女(これも古すぎるか)のように鼻をくちゅくちゅしてみても

受注票の文字が変わる訳ではない。

間違って出品してしまっていたのだ。

まったくもって自分のする事が信じられない。

勿論、大切に読んでいたので傷みはない。

僕はその本に「また会おうぜ」と言った。


疾走する古本屋!成穂堂〔なるほどう〕店主の苦悩と爆笑の日々-マンダラ



「個性化とマンダラ」ユング著。

内容はユング心理学の中でも最高の秘儀とも言うべきものである。

版元の言葉を借りると、一見、円の中に花のようなものが描かれているだけの絵が、

ユングの手にかかると、深い意味が付与され、生き生きと立ち現われてくる。




家内が「柄にもないものを読もうとしてたんでしゅねぇ、ボクちゃんは」

と、若干ほくそ笑みながら言った。

「大体僕は小説より、人文系の本をよく読むのだ」と、もごもごと言った。


んっ?もう1冊取っておいた本は何処へ?


店にはないようなので、自宅を探ってみたが、やはりない。

これも売っちまったか?と思い、ふと長男の机をみたら、その本がある。

長男に尋ねると、「今読んでいる所だから、もう少し待っておくれ」という。

「読めるのか?」と、聞くと

ゆっくりだけど、理解できるという。

こちらの本は「パラケルススとその周辺」


$疾走する古本屋!成穂堂〔なるほどう〕店主の苦悩と爆笑の日々-パラケ


科学思想史家として名を残すA・コイレの若き日の神秘学研究の代表作である。

ついでに版元の解説をかりると、

『宗教改革期の混乱の中、ともに異端的思想として、

宗教史と思想史の余白に追いやられた思想家たち。

本書はこれら4人の16世紀ドイツの神秘家、霊性主義者、錬金術師たちに光をあて、

広く同時代のヨーロッパ思想全体との関わりにおいて語った』とある。

長男は、時折予想もしないようなものに興味を持つ。

本当に読めるのか?というものを選ぶかと思えば、

ガンダムに必死になっていたり、有栖川作品を読んでいたり。

以前は「三国志」野郎だった。

入試問題が「三国志」についてなら、どこにでも入れたと豪語している。

次は「ビブリア」らしい。

本は好きなようだが、勉強の方はその高低差が恐ろしくある。

僕は、長男の学力に問題があるのか、

実はもの凄い思考力があるのか、とんと見当がつかない。

しかも、乱読そのもので遅読。

これからどうなっていくのだろうと、一抹の不安がある。


ところで、ここにもう1冊「心霊学」についての本がある。

これについては、また機会があれば書こうと思う。

書名を見ると「えっ?」と思うが、興味本位の面白おかしい本ではない。

講談社選書メチエの1冊である。

ざっくり読むと、日本海外を問わず名だたる作家がその世界に興味を持ち、

小説にその一端を記している。

夏目漱石、森鴎外、コナンドイルなど・・・

こういった目には見えない世界が科学とどう対峙してきたのか?

ちょこっとだけ知りたいと思った。

(失礼ながら世の中、面白い連中もいるものだと思う程度だが)


どうやら僕はあまり何かに傾倒するという性格は持ち合わせていないようだ。

色々と思索するのが好きなだけである。

結局、何を信じようがそれはたいした事ではなく、

自分の利益を引っ込めてもモノの大事を考え、

一所懸命生きている人々を敬愛しているという所に行き着く。

そして、僕もそういった潔い人間になりたくて、

あちらの壁こちらの壁にぶつかりならが歩いている。


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