レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -462ページ目

夕日に向かって走れ!暗闇の眼マンよ

家内が、「ひえぇぇ~~」と

指先ごとミシンを掛けてまで修理してくれたジーンズ。

ついに違う所も破れ出した。

ニッと笑って家内をみたが、本から目を離さない。

絶対、目の端っこに、爽やかに微笑む僕の姿が映っているはずだ。

僕が「あのですね」と、言いかけた時、

家内が「絶対いや。新しいの買いなさいよ。付き合ってあげるから、今から行こう」と、言う。

その決意は固く、どうもこのジーンズは、引退を迎えたようだ。

ジーンズに関しては、中古のほうが断然はきやすい。

貧乏臭いと言われようがどうしようが、

少々くたびれたものが、僕は好きなのだ。

と言う事で、車で15分の所にあるリサイクルショップに向かった。

途中、コンビニにより、サンドイッチやスナック菓子、

チョコレートなどを買ったりして、まるで子どもの遠足だ。

夕日に向かい、年代物のサングラスをかけ、往年の若夫婦が走る。

そんなこんなで、意気揚々とリサイクルショップに行ったが、

どうも気に入ったものがない。

思案するまでもなく、目と鼻の先には大手衣料チェーン店がある。

日も暮れて時間もないので、一応そちらに移動。

その一応が悪かった。

手に取ると何かペラペラでゴワゴワ。

僕は「ジーンズショップに行くというのは、どうでしょう?」

と、提案してみたが、

家内は、履ければそれでいいのよ、みたいな目をしている。

結局、そのジーンズを購入して帰路につく事になった。

そこはかとなく一抹の寂しさが・・・


いつもの如くエンジンを掛け、

ヘッドライトを点灯すると、やけに暗い。

車内のタコメーターなども、かなり暗い。

きっと愛車も物憂げな気持ちなのだろう。

家内にそう言うと、いつもと変わらないと言う。

いや、絶対に暗い。

正味、バッテリーか?

取り合えず、エンジンがかかっている内に、自宅に辿り着こう。


道路に出てからも照明は相当暗く感じる。

まるで、フォグランプだけで走っているような暗さだ。

いやいや、もっと暗いかも知れない。

家内は依然として「いつもと変わらないけどなあ」と、言う。


信号待ちで、ふと道路際の飲食店を見ると

ここの照明も相当暗い。

店舗が、ぼんやり浮かび上がる程度の照明というのはおかしいだろうよ。

家内に「何かおかしくない?

パラレルワールドにでも入り込んでしまったのでは?」と言うと、

「いつもとおんなじ。

おかしいのはあなた。村上春樹の読み過ぎ」と、一蹴された。

僕はそこでハタと気がついた。

「ねえねえ、僕、サングラス掛けてない?」

家内は「いや~、ほんと!ダークグリーンの濃いやつ、掛けてる」

「さっきから僕をみて話しているのに気づかなかった?」

「全然、分からなかった」

僕もボケているが、家内も相当なものだ。

手に鍵を硬く握りしめて、

家の鍵がないと大騒ぎしているの、

うちの家内くらいだものな。





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