レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -433ページ目

古き仲間へ

店のポストに1枚のハガキが放り込まれていた。

差出人を確かめてみると、

新刊屋時代の取次担当者Tさんからだった。

(取次というのは問屋の事で、
他の業界ではあまり使わない言葉かも知れない)


こんな中途半端な季節になんだろう?と思い、書面を見ると、

「この度、○○を無事勤めあげ、退職しました・・・」と、書かれていた。

勤めあげたと言ったって、

定年退職までにはまだまだあるじゃないかと、僕は呟いた。

暫く、その書面を眺めていて、

そういう事だったのかと、思った。

今年の正月4日、突然Tさんが店を訪ねて来られて、僕は随分驚いた。

Tさんとは偶然にも学生時代、同じ書店でアルバイトをしていた。

大型書店であり、勤務時間帯も違ったので顔を合わせたことはなかったのだが、

時を同じくして2年間も隣の部署にいらした。

いや、何度かはすれ違っているはずだ。

また、Tさんは僕がやがて独立するきっかけとなった書店立ち上時から、

何やかやとお手伝いをして下さっていた。

新刊屋時代、Tさんとは仕事だけの関わりだけにとどまらず、

ごく親しい仲間といえる人物だった。



小一時間ほど懐かしい話に花が咲いた。

そして帰る間際に、ポツンと言った。

「KENさん、町の本屋がどんどん閉鎖するというのは

私たち取次にも深刻な問題をもたらしているのですよ。

取次を生かす為には、思い切った人事が必要かも知れない」


どうしてその時に、その意味に気が付かなかったのだろう?

分かった所でどうにもならないが・・・


京都には古本屋が増えているという。

そんな話を聞いた所に、

新刊屋で1冊の本を見つけ、衝動的に買ってしまった。

それぞれ個性的な本屋さんが載っている。

京都本屋さん紀行
$疾走する古本屋!成穂堂〔なるほどう〕店主の苦悩と爆笑の日々-京都古本屋



数年前、大阪天神橋筋にも個性的な古本屋が増えていると聞いた事がある。

新刊屋が新刊だけで成り立たないのなら、

そんな古本も扱えば良いだろうし

通販もすればいい。

或いは、適当な売り場を古本屋に貸すというのはどうなのか?

1連分の棚でも1段分でもいいからレンタルを行い、

いくつもの古本屋に出入りしてもらう。


そうまでして町に本屋が必要なのかと言われれば、

「必要なのです」。

Tさん、そんな若くして引退せずに、今一度立ち上がらないか!