レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -410ページ目

校舎に響く悲鳴

時は少し遡り、8月中旬。

「ただいま~」という声が遠くでした。

夢をみたかと思い、僕は再び目を閉じた。

今度は廊下をドタドタと歩く音が近づき、そして遠ざかって行った。

やけに現実味を帯びた音だ。

僕は片目を開け、掛け時計を見た。

10時20分・・・寝ていたか・・・

昨夜からキャンプに行っていた、三男が帰って来たようだ。

キャンプと言っても、場所は小学校の校庭。

学校とPTAが面倒を見てくれて、

校庭にテントを張って、キャンプファイヤーを行う。

キャンプと言えば、カレーが定番。

子ども達で薪を割り、火を起こし、

大騒ぎして作るのだが、

見ている役員の方々はハラハラし通しのようだ。

そして、すっかり日が落ちると、校舎内で肝試し。

夜の校舎と言うのは案外怖いらしい。


帰省先のない子ども達の為にと、

6、7年前から始まった在校生向けのイベントなのだが、

今は、みんなこのイベントに参加する事を前提に

夏休みの予定を組むみたいだ。

普段、泊まれない学校に泊まり、校庭にテントを張る。

考えただけで楽しい。



自宅と学校は目と鼻の先なので、

子ども達の元気な騒ぎ声が聞こえてくる。

夜になり「キャァ~~」という、声が聞こえてくると、

何だか僕までそわそわしてくる。

家内に「小学校に様子を見に行こう」と言うと、

門は閉まっていて立ち入り禁止だと言う。

では、金網越しにのぞきに行こうと言うと

「不審者として通報されるわよ」と。

確かに、それはあり得る。ここはぐっとガマン。

毎年、こうして楽しい思い出を子ども達に残してやれるのも、

地域に住まう人々の温かさだと思う。

長閑すぎて商売には向かない町だが、住むにはいい町だ。


リビングに出ると三男が、興奮冷めやらぬ様子で、

キャンプの様子をしゃべり倒している。

兎に角、シャワーを浴びせると、少し落ち着いたようだ。

気持ち良さそうに床に寝転びながらあくびを一つすると

次の瞬間には小さな寝息をたてていた。

来年は遊びに連れていくから、もっと夏休みを楽しめ。