バテバテの日々
去年の秋口から自転車通勤をするようになった。
行きは緩やかな下り坂なのだが、向い風の事が多く、ハアハアと言いながら自転車をこぐ。
ビル風ほど酷くないが、通勤路は何故かよく風が通る。
下り坂なのに、ハアハアとペダルを回すのは、何だか理屈に合わない。
行きが下り坂なのだから帰りは上り坂。
やはり、ハアハアと言いながら自転車をこぐ。
そんな事で最初の二ヶ月は息切れと筋肉痛で、これはアカンと思った。
それがいつの間にやら、息切れもせず自転車を走らせるようになった。
自分乍らにえらいものだと感心している。
しかし、夏場の暑さが待っていた。
基本的に出勤は昼。
穏やかな気温であれというささやかな願いは虚しく打ち砕かれ、
焼けつく日差しが蟻のように走る僕を容赦なく照り付ける。
予想はしていたのだが、この日中の暑さは堪える。
改めて分かった事は、通勤路に日差しを遮ってくれる建物があまりないという事。
店に着くと汗が噴き出ている。
日々、店に着くなり炭酸水をグビグビ飲む。
何か飲んだ分、また汗が噴き出てくるような気もする・・・
そう言えば、近所のお爺さんが、畑仕事の時は麦藁帽を被り長袖を着るのが良いと言っていた。
なるほど、と思う。
まずは仕事の時間帯を変えるべきなのだが、長年身に染みた習慣は、そうそう変える事が出来ない。
今日のこと。
遅い朝食をとりながら、「あのさぁ、夏期の3ヶ月は休業と言うのはどうだろう?」と、家内に言ってみた。
家内は「店を閉じて通販と出張買取りだけにするという事?」と。
「いや、え〜と、自由に過ごすと言うか・・・」
「暑いから休みたい、寒いから休みたい。よい季節だから、店休にして何処かに行こう。年中、そんな事ばかり言ってるよね」
「ほんまに休んでるわけやないがな」
「いいよ、と言ったらほんとに休むでしょ。しっかり働きなさいよ」と、家内。
「だけど、◯◯さんとの所は7、8月は休むって」
「あそこは店を休むだけで、ちゃんと仕事してはるよ」
「えーと、ほら、牡蠣◯さん、営業は冬場だけやで」
「他の季節は、広島に戻って仕事をしてはるでしょ」
「えーと、あのね、焙煎珈琲◯◯さんね、7月~9月中旬まで店休を倍にするんだって。盆休みは10日間」
「ようそれだけ、楽な方へ楽な方へと流れようとするね」
「理容◯◯さん。暑い間は営業時間を短縮するって言ってたよ」
「サッサと食べて仕事に行きなさい」
「せめて、営業時間と店休日を・・・」
「はやく行きなさい」
と、取り合ってもらえない。
仕方なく「さき行っとくわ。家の片づけが終わったらきてや」と言い残し、目深にキャップを被り自転車に跨る僕。
よくよく考えたら、自転車で走っているのは家内も同じだ。
しかし、彼女がゼイゼイハアハアというのを見たことがない。
一体どんな体力をしているのだか・・・