レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -288ページ目

富士山に登れ!

店のレイアウト変更から一年が過ぎた。

人というのは欲深いもので、それに飽きたらず

またしてもレイアウトを大きく変える準備をしている。

何度か書いているが、成穂堂は昭和レトロという雰囲気の木造倉庫の店。

広さは50坪強ある。

個人の店としては広くもなく狭くもなくといった感じだ。


成穂堂1

成穂堂2


当時、大工さんが知恵を絞って、内部に柱を突かずに建築したとの事。

しかし、実際の所、木造のこの倉庫を柱なしでもたすには、少々不安がある。

といって、柱を入れるとなるとそこそこ費用が掛かる。

大家さんは現状貸しということで、家賃を勉強して下さっているが、

話を切り出したのは大家さんの方だった。

今さら手を入れるより、いっそ取り壊して

マンションなど他の物件に変えるほうが断然儲かるはずだ。

ところが、何を思ったか大家さんが

「大きな地震がきたら怖いですわね。

専門家に見てもらって、柱を突きましょか」と。

「えっ?」と、言うと

「勿論、費用はうちでもちますさかい。

そのかわり、ながいこと借りて下さいな」

それは願ったり叶ったりだ。

「心得ておりますがな」と、僕は即答した。


成穂堂3

成穂堂4


柱が立つと、売り場としては使い辛くなるが、

安全性には代えられない。

大家さんは見積りをみながら、業者さんに言った。

「こんなにかかりますの。ん~、そうでっか。

もうついでに、他にも補強した方が良い所もやっっちゃいますか。

補強材はええやつ使っといてくださいな」と。

そして僕をみて、ニッと笑った。

ハイハイ、頑張ってここにいまっせ、と僕は呟いた。

結局、柱は7本入れて貰うことになった。

先日は、屋根のやり替えを行った所だ。

それも超軽量、耐用年数20年という、倉庫にしては贅沢な材料を使って下さった。

大家さんは、「やるときはやりまっせ」という気質の方だ。


成穂堂5

成穂堂6


ついこの間、僕はお得意さんに

「僕はここで頑張りますねん。わざわざお客が訪ねてきてくれはる店にしますねん」

と豪語したばかりだ。

こういった流れこそ目に見えぬ大きな力が働いているのかも知れない。

散歩ついでに富士山に登った人はいない。

富士山に登ろうと決心した人だけが富士山に登れるんだ。


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