レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -265ページ目

長男のえええ~!

「おとーさん、明日店の手伝い、行かれへんわ」

と、長男が座っていた椅子を回転させながら言った。

「学校か?」と聞くと、就職セミナーがあるという。

長男もこの春、四回生になる。

就職セミナーなんてしゃれたもの、僕の時代にはなかったと思う。

しかし、大層な時代だ。

「そのセミナーとやらは、何か為になるのか?」と、聞くと

「さあ、少しは就職事情がわかるんじゃない」と。

「つまらなさそうなら、脱け出しや」

「それが、あかんねん」

「なんで?ほなさいならでええがな」

「僕、運営スタッフやねん」

「えっ?おかしな事を言いないな。

青年よ、あなたはセミナーを受ける側やろがな」

僕は、また長男がお門違いな事を言っているのだと思った。

長男は頭をかきかき、

「先生から運営の方、手伝ってほしいと頼まれてん」と。

「人手が足らんのかいな。青年よ、いつもおかしな事に巻き込まれるよなあ」

長男は困ったように笑った。

そう言えば、長男は一回生の頃から、大学のイベントごとによく駆り出されていた。

どんくささが服を着て歩いているような子なのに、大丈夫なのだろうか?

ところで、長男は情報メディアという得体の知れないものを勉強している。

で、日々パソコンに振り回されているらしい。

帰って来るのも遅い。

その上、バイトもある。

自宅に戻ってからも、深夜までパソコンに向かって課題をしている。

見かねた僕が「取り敢えず、学校には残らず、自宅で課題をしたら?」と、言うと

「自宅のパソコンは全部Windowsやろ」と、長男。頷く僕。

「Macでないと、出来ない事もあんねんな」

「えっ? いつからMac使ってるの?」と、聞くと「1年の時から」と。

「えっ?えっ?えっ?ずっと帰宅が遅かったのはそのせい?」

「まあ、そう言うことかな」と、長男。

自宅にはパソコンが3台ある。しかも、この数年ですべて買い替えている。

一言そう言えば、一台はMacにしたのに。

今更な~、ん~、Mac~、買うか~・・・いやいや、厳しいやろ。

つい先日、店のパソコンを買い替えたばかりだし、

ついでにプリンターもレーザーにしてやった。

勢いで店内照明もLEDにしてしもた。

よせばよいのに、看板投光器も何台かつけた。

やっと支払いが終わってホッとした所だ。

更に目の前には、あれやこれやと納税窓口が口を開けて待っている。

これ以上の出費は避けねばなるまい。

と言う以前に、逆さまにしても鼻血もでない。

長男よ、すまぬ。課題は学校でやってくれ。

食費程度は負担する。

しかし、もう少し商売をうまくやらないといけないよなあ。

飴でも買うように、パソコンを買ってやりたいものだと思う成穂堂であった。