こんにちは、おっさんです。

今日は早く起きたけど

ベッドで1時間ほどゴロゴロして

さっきようやく重い腰を動かして

机に向かいました。

今日も勉強頑張ります。

 

セレクト過去問集-民法2

の結果は、11問中、2問正解でした。

 

 

 不動産と登記に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし妥当なものはどれか。

 

1 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Bが甲土地をCに売却したが、いまだに登記がAにある場合に、Bは、甲土地に対する所有権を喪失しているので、Aに対して移転登記を請求することはできない。

2 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Aが重ねて甲土地を背信的悪意者Cに売却し、さらにCが甲土地を悪意者Dに売却した場合に、第一買主Bは、背信的悪意者Cからの転得者であるDに対して登記をしていなくても所有権の取得を対抗できる。

3 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却し、Bは、その後10年以上にわたり占有を継続して現在に至っているが、Bが占有を開始してから5年が経過したときにAが甲土地をCに売却した場合に、Bは、Cに対して登記をしなくては時効による所有権の取得を対抗することはできない。

4 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却したが、同売買契約が解除され、その後に、甲土地がBからCに売却された場合に、Aは、Cに対して、Cの善意悪意を問わず、登記をしなくては所有権の復帰を対抗することはできない。

5 Aの所有する甲土地につきAがBに対して遺贈する旨の遺言をして死亡した後、Aの唯一の相続人Cの債権者DがCを代位してC名義の所有権取得登記を行い、甲土地を差し押さえた場合に、Bは、Dに対して登記をしていなくても遺贈による所有権の取得を対抗できる。

 

正解4

1 妥当でない。不動産がAからBへ、BからCへと譲渡された場合、Aに登記が残っていれば、Bは、Aに対して自己へ登記を移転するように請求することができます(大判大5・4・1)。

2 妥当でない。不動産の二重譲渡において、第一の買主は背信的悪意者である第二の買主に登記なくして対抗できますが、当該第二の買主から転得者に転売されて登記が完了した場合、転得者自身が第一の買主に対する関係で背信的悪意者と評価されない限り第一の買主は登記なくして転得者に対抗することができません(最判平8・10・29)。

3 妥当でない。Cは時効完成時の所有者であり、CとBは物権変動について当事者と同様の関係にあるため、Bは、Cに対して登記をしていなくても時効による所有権の取得を対抗することができます(最判昭41・11・22)。

4 妥当である。不動産売買契約が解除され、不動産の所有権が売主に復帰した場合、売主は登記をしなければ、解除に買主から不動産を取得した第三者に対して、所有権の復帰を対抗することができません(最判昭35・11・29)。この場合、第三者の善意悪意を問いません。

5 妥当でない。不動産の遺贈を受けた者はその旨の所有権移転登記をしなければ第三者に対抗することができません(最判昭39・3・6)。

 

 

 A・Bが不動産取引を行ったところ、その後に、Cがこの不動産についてBと新たな取引関係に入った。この場合のCの立場に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合に、Cは善意・無過失であれば登記を備えなくても保護される。

2 AからBに不動産の売却が行われた後に、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消したにもかかわらず、Bがこの不動産をCに転売してしまった場合に、Cは善意・無過失であっても登記を備えなければ保護されない。

3 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される。

4 AからBに不動産の売却が行われたが、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Bから解除後にその不動産を買い受けたCは、善意であっても登記を備えなければ保護されない。

5 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、A・Bの取引がA・Bにより合意解除された場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない。

 

正解3

1 妥当である。詐欺による意思表示の取消しは、取消し前の善意・無過失の第三者に対抗することができません(96条3項)。この場合、判例は、善意・無過失の第三者について対抗要件(登記)を備えることまでは要求していません(最判昭49・9・26)。したがって、Cは善意・無過失であれば登記を備えなくても保護されます。

2 妥当である。取り消した者と取消し後に利害関係を有するに至った第三者との関係は、「対抗関係」となり、登記を先に備えた方が優先します(大判昭17・9・30)。したがって、Cは善意・無過失であっても登記を備えなければ保護されません。

3 妥当でない。解除前の第三者は、善意・悪意にかかわらず民法545条1項ただし書によって保護されますが、判例は、第三者が保護されるには登記を備える必要があるとしています(最判昭33・6・14)。したがって、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されません。

4 妥当である。判例は、解除権者と解除後の第三者の関係は対抗関係に立つとしています(最判昭35・11・29)。したがって、Cは、善意であっても登記を備えなければ保護されません。

5 妥当である。不動産の売買契約が合意解除された場合も、判例は、民法545条1項の趣旨により、合意解除前の第三者は、所有権の登記がなければ保護されないとしています(最判昭33・6・14)。したがって、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されません。

 

 

 不動産の取得時効と登記に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 不動産の取得時効の完成後、占有者が登記をしないうちに、その不動産につき第三者のために抵当権設定登記がなされた場合であっても、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したときは、特段の事情がない限り、占有者はその不動産を時効により取得し、その結果、抵当権は消滅する。

2 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成する前に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができない。

3 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができず、このことは、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したとしても、特段の事情がない限り、異ならない。

4 不動産の取得時効の完成後、占有者が、その時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して時効を主張するにあたり、起算点を自由に選択して取得時効を援用することは妨げられない。

5 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後にその不動産を譲り受けて登記をした者に対して、その譲受人が背信的悪意者であるときには、登記がなくても時効取得をもって対抗することができるが、その譲受人が背信的悪意者であると認められるためには、同人が当該不動産を譲り受けた時点において、少なくとも、その占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していたことを要する。

 

正解1

1 妥当である。不動産を時効取得しても、時効取得者は、登記をしなければ時効完成後に旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対抗することができません(最判昭33・8・28)が、その時効取得者である占有者がさらに占有を継続して時効が完成したときは、登記がなくてもその第三者に時効取得を対抗することができます(最判昭36・7・20)。本肢のケースにおいて、判例は、抵当権設定登記を受けた第三者に対しても、同じことがいえるとして時効取得を認め、その結果、抵当権は消滅するとしています(最判平24・3・16)。

2 妥当でない。時効完成の不動産の譲受人と時効取得者は、物権変動について当事者の関係に立つため、時効取得者は、登記なくして、取得時効を対抗することができます(最判昭41・11・22)。

3 妥当でない。時効完成の不動産の譲受人と時効取得者は、対抗関係に立ち、先に登記を受けた者が当該不動産の所有権を取得することができます(最判昭33・8・28)。しかし、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続した場合には、登記を経由しなくとも時効取得を対抗することができます(肢1参照。最判昭36・7・20)。

4 妥当でない。取得時効を援用する者は、占有開始時を任意に選択することはできません(最判昭35・7・27)。

5 妥当でない。判例は、「甲が取得時効の成立要件を充足していることをすべて具体的に認識していなくても、背信的悪意者と認められる場合があるというべきであるが、その場合であっても、少なくとも、乙が甲による多年にわたる占有継続の事実を認識している必要がある」としています(最判平18・1・17)。したがって、「少なくとも、その占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していたことを要する」というわけではありません。

 

 

 次のア~オのうち、Aの所有するそれぞれの物について、Bが即時取得(民法192条)によりその所有権を取得できる可能性がある場合は、いくつあるか。

 

ア Aがその所有する建物をCに賃貸していたところ、Cがその建物を自己の所有する建物としてBに売却した場合

イ Aの所有する山林に生育する立木について、Bがその山林および立木を自己の所有するものであると誤信して、その立木を伐採した場合

ウ 成年被後見人Aは、その所有するパソコンをBに売却したが、Bは、Aが成年被後見人である事実について善意・無過失であった場合

エ Aの所有する自転車をCが借りた後に駅前駐輪場に停めていたところ、Bがその自転車を自己の自転車と誤信して、その自転車の使用を継続した場合

オ Aの所有する宝石をCが盗み出し、CがこれをBに売却したが、Bは、その宝石が盗品である事実について善意・無過失であった場合

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解1

ア 可能性なし。即時取得の目的物は、動産に限られます(192条)。

イ 可能性なし。即時取得が成立するためには、動産の占有を「取引行為」によって取得したことが必要です。自己の所有するものであると誤信して、その立木を伐採しても取引行為によるものではないため即時取得は認められません(大判昭7・5・18)。

ウ 可能性なし。制限行為能力者から取得した場合には即時取得は適用されません。

エ 可能性なし。即時取得が成立するためには、「取引行為」によって占有を取得したことが必要です(イ参照)。自分の自転車と誤信して占有することは、「取引行為」によるものではないため即時取得は認められません。

オ 可能性あり。無権利者から「取引行為」によって占有を取得しているため、即時取得が成立します。ただし、Aは盗難の時から2年間であればその返還を請求することができます(193条)。

 

 

 占有権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 土地の所有者が自己所有地を他人に賃貸して土地を引き渡した場合、土地の占有権は賃借人に移転するから、所有者は土地の占有権を失う。

2 動産の質権者が占有を奪われた場合、占有回収の訴えによって質物を取り戻すことができるほか、質権に基づく物権的請求権によっても質物を取り戻すことができる。

3 だまされて任意に自己所有の動産を他人に引き渡した者は、占有回収の訴えを提起してその動産を取り戻すことができる。

4 土地賃借人である被相続人が死亡した場合、その相続人は、賃借地を現実に支配しなくても賃借人の死亡により当然に賃借地の占有権を取得する。

5 Aが横浜のB倉庫に置いてある商品をCに売却し、B倉庫の経営会社に対して以後はCのために商品を保管するように通知した場合、B倉庫会社がこれを承諾したときに占有権はAからCに移転する。

 

正解4

1 妥当でない。土地の所有者は、土地を賃貸して引き渡した場合でも、賃借人を通して引き続きその土地を代理占有(間接占有)することになります(181条)。したがって、土地を賃貸して引き渡しても占有権を失うわけではありません。

2 妥当でない。動産の質権者が占有を奪われた場合には、質権者は占有回収の訴えによってのみ質物を回復することができます(353条)。質権に基づく物権的請求権による取戻請求は認められていません。

3 妥当でない。占有回収の訴は、占有を奪われた場合にその侵害の排除を求める権利です(200条1項)。だまされて任意に引き渡したときは、占有を奪われたとはいえないため、占有回収の訴えは提起することはできません。

4 妥当である。土地を占有していた被相続人が死亡し相続が開始した場合には、特別の事情のないかぎり、被相続人の占有は相続人によって相続されます(最判昭44・10・30)。

5 妥当でない。指図による占有移転は、占有代理人によって占有をする場合に、本人が占有代理人に対して後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者が承諾することによって、その第三者に占有権が移転するというものです(184条)。したがって、承諾をするのは、Cであって、B倉庫会社ではありません。

 

 

 A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。この場合に関する次のア~エの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものをすべて挙げた組合せはどれか。

 

ア CがAのカメラを即時取得するのは、Bの占有に公信力が認められるからであり、その結果、Bがカメラの所有者であったとして扱われるので、Cの所有権はBから承継取得したものである。

イ Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は推定されるのに対して、無過失は推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。

ウ Bは、Cにカメラを売却し、以後Cのために占有する旨の意思表示をし、引き続きカメラを所持していた場合、Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得するが、現実の引渡しを受けるまでは、その所有権の取得は確定的ではなく、後に現実の引渡しを受けることによって確定的に所有権を取得する。

エ Bは、Cにカメラを売却する前にカメラをDに寄託していたが、その後、BがCにカメラを売却するに際し、Dに対して以後Cのためにカメラを占有することを命じ、Cがこれを承諾したときは、たとえDがこれを承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得する。

 

1 ア・イ

2 ア・イ・ウ

3 ア・ウ・エ

4 イ・ウ・エ

5 ウ・エ

 

ア 妥当でない。即時取得が成立するには、所有権その他の処分の権限を有しない者から取引行為によって動産の占有を取得することが必要です。したがって、即時取得は、承継取得(他人の権利に基づいて権利を取得すること)ではなく、「原始取得」です。

イ 妥当でない。占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定されるため(188条)、占有取得者は自己に過失のないことを立証する必要はありません(最判昭41・6・9)。したがって、Cは無過失の占有であることを立証する必要はありません。

ウ 妥当でない。判例は、即時取得が成立するためには、一般外観上従来の占有状態に変更が生じるような占有の取得が必要であり、一般外観上変更がない占有改定の方法による取得では足りないとしています(最判昭35・2・11)。Cは、占有改定により占有を取得しただけでは、「一応即時取得によりカメラの所有権を取得する」ことにはなりません。

エ 妥当である。判例は、指図による占有移転によっても即時取得が認められるとしています(最判昭57・9・7)。指図による占有移転においては、譲受人である第三者の承諾があれば足り、占有代理人の承諾は不要です(184条)。したがって、譲受人である第三者Cが承諾したときは、占有代理人であるDが承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得します。

 以上により、妥当でないものは、ア・イ・ウとなり、2が正解となります。

 

 

 美術商Aは、画廊に保管しておいた自己所有の絵画が盗難に遭い、悔しい思いをしていたが、ある日、Bが運営する個人美術館を訪ねた際、そこに盗まれた絵画が掲げられているのを発見した。Aは、その絵画を回収するため次のような行動をとることを考えている。Bに即時取得が成立しているとして、Aの行動に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、Cは商人ではないものとする。

 

1 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画は、ある日それまで面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであることがわかった。Aは、買取りの日から2年以内であれば、Bに対して、その絵画の買取請求権を行使することができる。

2 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画は、ある日それまで面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであることがわかった。Aは、買取りの日から2年以内であれば、Bに対して、保管に要した費用を支払って、その絵画の引渡しを求めることができる。

3 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画は、ある日それまで面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであることがわかった。Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対してまったく無償で、その絵画の引渡しを求めることができる。

4 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画はBがオークションで落札したものであることがわかった。Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対して保管に要した費用を支払って、その絵画の引渡しを求めることができる。

5 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画はBがオークションで落札したものであることがわかった。Aは、オークションの日から2年を超えても、Bに対してオークションで落札した金額と保管に要した費用を支払えば、その絵画の引渡しを求めることができる。

 

1 誤り。占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができます(193条)。「買取りの日」から2年以内ではありません。

2 誤り。被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、回復請求することができます(193条)。回復請求する場合には、無償で請求することができます

3 正しい。盗品又は遺失物の回復請求は、占有者が競売(オークション)若しくは公の市場等において善意で買い受けている場合を除き、無償ですることができます(193条、194条)。

4 誤り。占有者が、盗品又は遺失物を競売(オークション)若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けたときは、回復者は、その「代価」を弁償しなければ、回復請求することができません(194条)。

5 誤り。占有者が盗品又は遺失物の回復請求をできるのは、「盗難又は遺失の時から2年間」とされています(193条)。

 

正解3

1 誤り。占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができます(193条)。「買取りの日」から2年以内ではありません。

2 誤り。被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、回復請求することができます(193条)。回復請求する場合には、無償で請求することができます

3 正しい。盗品又は遺失物の回復請求は、占有者が競売(オークション)若しくは公の市場等において善意で買い受けている場合を除き、無償ですることができます(193条、194条)。

4 誤り。占有者が、盗品又は遺失物を競売(オークション)若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けたときは、回復者は、その「代価」を弁償しなければ、回復請求することができません(194条)。

5 誤り。占有者が盗品又は遺失物の回復請求をできるのは、「盗難又は遺失の時から2年間」とされています(193条)。

 

 

 所有権の原始取得に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 Aは、B所有の土地をBの所有であると知りつつ所有の意思をもって平穏かつ公然に10年間占有した場合に、その土地の所有権を取得する。

2 Aの所有する動産とBの所有する動産が付合して分離することが不可能になった場合において、両動産について主従の区別をすることができないときには、AとBは、当然に相等しい割合でその合成物を共有するものとみなす。

3 BがAの所持する材料に工作を加えて椅子を完成させた場合に、その椅子の所有権は、AとBとの取決めに関係なく、Aに帰属する。

4 Bの所有する動産がAの所有する不動産に従として付合した場合に、AとBは、AとBとの取決めに関係なく、Aの不動産の価格とBの動産の価格の割合に応じてその合成物を共有する。

5 Aは、所有者のいない動産を所有の意思をもって占有を始めた場合に、その動産の所有権を取得する。

 

正解5

1 妥当でない。「20年間」、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、所有権を時効取得することができます(162条1項)。悪意の場合には、「20年間」占有する必要があります。

2 妥当でない。付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における「価格の割合に応じて」その合成物を共有します(244条)。「相等しい割合」ではありません。

3 妥当でない。加工物の所有権は、原則として、材料の所有者に帰属しますが、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得します(246条1項)。しかし、付合、混和、加工に関する規定は任意規定であり(大判大6・6・13)、当事者の取決めがあればその取決めが優先します。

4 妥当でない。不動産の所有者は、原則として、その不動産に従として付合した物(動産)の所有権を取得しますが、他人が権原によって動産を附属させたときは、その動産の所有権は他人に帰属します(242条)。付合、混和、加工に関する規定は任意規定であり(大判大6・6・13)、当事者の取決めがあればその取決めが優先します。

5 妥当である。所有者のいない動産(無主の動産)は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得します(無主物先占、239条1項)。

 

 

 A・B・Cの3人が、甲土地、乙土地、丙土地のすべてについて、どれも3分の1ずつの持分権をもって共有している場合の共有物分割に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

 

ア 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

イ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

ウ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

エ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

オ 甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

 

1 ア・イ

2 ア・オ

3 イ・ウ

4 ウ・エ

5 エ・オ

 

正解3

ア 妥当でない。各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができますが、5年を超えない期間内で分割禁止の契約をすることもできます(256条1項ただし書)。

イ 妥当。判例は、分割の対象となる共有物が多数の不動産である場合には、一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの部分を各共有者の単独所有とすることも、現物分割の方法として許されるとしています(最大判昭62・4・22)。したがって、Aが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることもできます。

ウ 妥当。判例は、共有者が多数である場合、その中のただ一人でも分割請求をするときは、直ちにその全部の共有関係が解消されるものと解すべきではなく、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残すことも許されるとしています(最大判昭62・4・22)。したがって、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることもできます。

エ 妥当でない。判例は、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(いわゆる全面的価格賠償の方法)によることも許されるとしています(最判平8・10・31)。「持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない」わけではありません。

オ 妥当でない。判例は、共有者間に持分の譲渡があっても、その登記がないため、譲受人が持分の取得を他の共有者に対抗できないときは、共有者全員に対する関係においては、その持分はなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割を命ずべきであるとしています(最判昭46・6・18)。したがって、Aは、B及びCに対して分割請求ができます。

 

 

 甲土地を所有するAとその隣地の乙土地を所有するBとの間の相隣関係に関する記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、次の各場合において、別段の慣習は存在しないものとする。

 

1 Aは、境界線から1メートル未満の距離*において乙土地を見通すことができる窓または縁側(ベランダも含む)を設けることができるが、その場合には、目隠しを付さなければならない。

2 甲土地に所在するAの竹木の枝が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、原則として、自らその枝を切除することができる。

3 甲土地に所在するAの竹木の根が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、その根を切除することはできず、Aにその根を切除させなければならない。

4 AおよびBが甲土地および乙土地を所有する前から甲土地と乙土地の境界に設けられていた障壁は、AとBの共有に属するものと推定されるが、その保存の費用は、A・B間に別段の約定がない限り、AとBが、甲土地と乙土地の面積の割合に応じて負担する。

5 甲土地内のAの建物の屋根から雨水が直接に乙土地に注がれる場合に、Bは、その雨水が注がれることを受忍しなければならない。

 (注)*その距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

 

正解1

1 正しい。境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければなりません(235条1項)。

2 誤り。土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、原則として、その竹木の「所有者」に、その枝を切除させることができます(233条1項)。急迫の事情があるときなどの場合でなければ、自ら切除することはできません(233条3項)。

3 誤り。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、自らその根を切除することができます(233条4項)。

4 誤り。土地の境界に設けられた障壁は、相隣者の共有に属するものと推定されます(民法229条)が、面積の割合に応じて負担する旨の規定はありません。

5 誤り。土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはなりません(218条)。したがって、Bは、雨水が注がれることを受忍する必要はありません。

 

 

 A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に築造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

 

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消された。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を築造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

1 ア・イ 

2 ア・エ 

3 ア・オ 

4 イ・ウ 

5 ウ・エ

 

正解4

ア 妥当である。各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います(253条1項)。この場合において、共有者が1年以内に当該義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(253条2項)。したがって、A及びBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができます。

イ 妥当でない。本肢の場合、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消されていますが、D名義の登記がなされています。この場合、当該登記は不実の登記でありその抹消請求は、保存行為としてA及びBが単独で行うことができるとするのが判例です(最判昭31・5・10、最判平15・7・11)。

ウ 妥当でない。土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができません(282条1項)。したがって、本肢の場合、Aは自分の持分について単独で地役権を消滅させることはできません。

エ 妥当である。共有者の一人であるCが、死亡して相続人がないときは、その共有持分は内縁の妻(特別縁故者)への分与の対象となります(958条の2)。そして、Eに分与されないときにはじめてその持分は、他の共有者A及びBに帰属するとするのが判例です(255条。最判平成元・11・24)。したがって、本肢は妥当です。

オ 妥当である。甲土地上に乙建物が存在し、いずれもA、B及びCの共有であり共有者が同意の上で、そのうちの甲土地について共同抵当権を設定し、その後甲土地の抵当権が実行され、甲土地と乙建物の所有者が別々になっています。このことは、乙建物のために法定地上権が成立するための要件を満たしています(388条)。

 

 

4月16日現在

終了レッスン数:506

総学習時間:108時間4545

こんにちは、おっさんです。

昨日は暑くてTシャツになったおっさんは

暑いので布団もしまい込み、何も掛けずに寝ると

夜中、めっちゃ寒くてそれでもかけるものがなく

はげしく後悔しました。

今日は薄手の掛け布団を奥さんに出してもらおうと思います。

 

セレクト過去問集-民法1

の結果は、19問中、12問正解でした。

 

 権利能力、制限行為能力および意思能力に関する次の記述のうち、民法および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 胎児に対する不法行為に基づく当該胎児の損害賠償請求権については、胎児は既に生まれたものとみなされるので、胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができる。

2 失踪の宣告を受けた者は、死亡したものとみなされ、権利能力を喪失するため、生存することの証明がなされ失踪の宣告が取り消された場合でも、失踪の宣告後その取消し前になされた行為はすべて効力を生じない。

3 成年後見人は、正当な事由があるときは、成年被後見人の許諾を得て、その任務を辞することができるが、正当な事由がないときでも、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

4 成年被後見人の法律行為について、成年後見人は、これを取り消し、または追認することができるが、成年被後見人は、事理弁識能力を欠く常況にあるため、後見開始の審判が取り消されない限り、これを取り消し、または追認することはできない。

5 後見開始の審判を受ける前の法律行為については、制限行為能力を理由として当該法律行為を取り消すことはできないが、その者が当該法律行為の時に意思能力を有しないときは、意思能力の不存在を立証して当該法律行為の無効を主張することができる。

 

正解5

1 妥当でない。胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなされます(721条)。ただし、判例は、胎児が生きて生まれることを停止条件として、権利能力があるものとみなされるとの見解(停止条件説)をとり、胎児の母は、胎児を代理して不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができないとしています(阪神電鉄事件。大判昭7・10・6)。

2 妥当でない。失踪宣告を受けると、不在者は、死亡したものとみなされます(31条)。これは、失踪宣告を受けた者の従来の住所を中心とする法律関係について死亡した場合と同様の扱いをするということであり、失踪宣告によって不在者が権利能力を喪失するわけではありません。また、失踪宣告が取り消された場合、失踪の宣告後その取消し前に「行為の当事者とともに善意でした行為」の効力に影響を及ぼしません(32条1項、大判昭13・2・7)。

3 妥当でない。後見人は、正当な事由があるときは、「家庭裁判所の許可」を得て、その任務を辞することができます(844条)。成年被後見人の許諾を得ても、その任務を辞することはできません

4 妥当でない。成年被後見人の法律行為の取消しは、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、成年後見人も成年被後見人もすることができます(9条、120条1項)。後見開始の審判が取り消される必要はありません。

5 妥当である。後見開始の審判を受けるまでは、成年被後見人ではないので、制限行為能力を理由として法律行為を取り消すことはできません。意思能力のない者のした行為は無効ですが(3条の2)、その無効を主張する者が、意思能力の不存在を立証しなければならないと解されています

 

 

 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

 

1 未成年者について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。

2 保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。

3 家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。

4 被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合において、相手方が被保佐人に対して、一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたが、その期間内に回答がなかったときは、当該行為を追認したものと擬制される。

5 制限行為能力者が、相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたる。

 

正解4

1 正しい。未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないときに、後見が開始します(838条1号)。

2 正しい。被保佐人が一定の行為をするには、その保佐人の同意を得なければなりません(13条1項)。そして、家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができます(876条の4第1項)。

3 正しい。家庭裁判所は、第15条1項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができます(17条1項)。そして、家庭裁判所は、第15条1項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができます(876条の9第1項本文)。

4 誤り。制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は被補助人に対して、一定の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができます。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなされます(20条4項)。したがって、「追認したものと擬制される」とする本肢は誤りです。

5 正しい。制限行為能力者が、制限行為能力者であることを黙秘していた場合でも、他の言動とあいまって、相手方を誤信させ、又は誤信を強めたときは、詐術に当たりますが、単に制限行為能力者であることを黙秘しただけでは詐術に当たりません(21条、最判昭44・2・13)。

 

 

 制限行為能力者と取引をした相手方の保護に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

1 制限行為能力者が自己の行為を取り消したときには、相手方は受け取っていた物を返還しなければならないが、相手方は、制限行為能力を理由とする取消しであることを理由に、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。

2 制限行為能力者が未成年者の場合、相手方は、未成年者本人に対して、1か月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することができ、その期間内に確答がなければその行為を追認したものとみなされる。

3 制限行為能力者が成年被後見人であり、相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合であっても、成年被後見人は制限行為能力を理由として自己の行為を取り消すことができる。

4 制限行為能力者が被保佐人であり、保佐人の同意を得なければならない行為を被保佐人が保佐人の同意またはそれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにした場合において、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行為を取り消すことはできない。

5 制限行為能力者が被補助人であり、補助人の同意を得なければならない行為を被補助人が補助人の同意を得てした場合であっても、相手方は、制限行為能力を理由として被補助人の行為を取り消すことができる。

 

正解4

1 誤り。「制限行為能力者」が制限行為能力を理由に自己の行為を取り消した場合、その行為によって現に利益を受ける限度(現存利益の限度)で返還すればよいですが(121条の2第3項)、相手方が制限行為能力を理由とした取消しをする際に現存利益の限度で返還すればよいわけではありません。

2 誤り。相手方は、未成年者が未成年である間は法定代理人に対して催告する必要があります(20条2項)。未成年者は意思表示の受領能力がないからです(98条の2)。

3 誤り。成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができますが、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取り消すことができません(9条)。身の回りの最低限の行為については、本人の自主性を尊重しようという趣旨です。

4 正しい。制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません(21条)。このような場合、制限行為能力者より相手方を保護する必要があるからです。

5 誤り。被補助人が補助人の同意を得なければならない行為を補助人の同意を得てした場合には、その行為は取り消すことはできません(17条4項)。また、制限行為能力を理由とする取消しは、制限行為能力者を保護するためのものであり、相手方は、制限行為能力を理由として取り消すことはできません(120条1項)。

 

 

 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

 

ア 家庭裁判所が後見開始の審判をするときには、成年被後見人に成年後見人を付するとともに、成年後見人の事務を監督する成年後見監督人を選任しなければならない。

イ 被保佐人がその保佐人の同意を得なければならない行為は、法に定められている行為に限られ、家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求があったときでも、被保佐人が法に定められている行為以外の行為をする場合にその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることはできない。

ウ 家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によってその審判をするには、本人の同意がなければならない。

エ 家庭裁判所は、本人や配偶者等の請求により、補助開始の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によって補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

オ 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消す必要はないが、保佐開始の審判をする場合において、本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならない。

 

1 ア・イ 

2 ア・オ 

3 イ・ウ 

4 ウ・エ 

5 エ・オ

 

正解4

ア 誤り。家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任します(843条1項)。一方、成年後見監督人については、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により又は職権で、後見監督人を「選任することができる」にすぎません(849条)。したがって、「成年後見監督人を選任しなければならない」とする本肢は誤りです。

イ 誤り。家庭裁判所は、本人・配偶者・保佐人などの請求により、被保佐人が民法13条1項に定められている行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができます(13条2項本文)。

ウ 正しい。家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができます(876条の4第1項)。ただし、本人以外の者の請求によってその審判をするには、本人の同意がなければなりません(876条の4第2項)。

エ 正しい。家庭裁判所は、本人や配偶者等の請求により、補助開始の審判をすることができますが、本人以外の者の請求によって補助開始の審判をするには、本人の同意がなければなりません(15条1項、2項)。

オ 誤り。後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならないため(19条1項)、本肢前段は誤りです。一方、本肢後段は正しい記述です(19条2項)。

 以上により、正しいものの組合せはウ・エとなり、4が正解となります。

 

 

 民法上の住所に関する次のア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 

ア 住所が知れない場合において、居所を住所とみなすことはできない。

イ 日本に住所を有しない外国人は、日本における居所をその者の住所とみなすことはできない。

ウ ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。

エ 住所が複数ある場合には、本籍地を住所とみなす。

オ 住民票に記載されている住所と本籍地が異なる場合には、住民票に記載されている住所を民法上の住所とみなす。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解1

ア 誤り。住所が知れない場合には、居所が住所とみなされます(23条1項)。

イ 誤り。日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所がその者の住所とみなされます(23条2項本文)。

ウ 正しい。ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所が住所とみなされます(24条)。

エ 誤り。「住所」とは、その人の生活の本拠をいいます(22条)、本籍は戸籍の所在場所のことであり、住所とは別の概念です。住所が複数ある場合に、本籍地が住所とみなされることはありません。

オ 誤り。このような規定はありません。また、住所と本籍は関係がありません。

 以上により、正しいものはウのみであり、1が正解となります。

 

 

 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

 

ア Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCは、A・B間の売買の無効を主張して、B・C間の売買を解消することができる。

イ Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCに対して、AはA・B間の売買の無効を対抗することはできないが、Bはこれを対抗することができる。

ウ Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。

エ Bが甲土地につきAに無断でEのために抵当権を設定した場合に、Aは、善意のEに対して、A・B間の売買の無効を対抗することができない。

オ Bの一般債権者FがA・B間の仮装売買について善意のときは、Aは、Fに対して、Fの甲土地に対する差押えの前であっても、A・B間の売買の無効を対抗することができない。

 

1 ア・イ

2 ア・ウ

3 ア・オ

4 イ・エ

5 イ・オ

 

正解5

ア 妥当である。虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗(主張)することができません(94条2項)。しかし、善意の第三者が無効を主張することは可能です

イ 妥当でない。虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗(主張)することができません(94条2項)。この場合、仮装譲渡人Aも仮装譲受人Bも、A・B間の売買の無効を善意のCに対抗することができません

ウ 妥当である。無効は誰でも主張できるのが原則です。したがって、一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができます。

エ 妥当である。虚偽表示による仮装譲受人が譲り受けた不動産に抵当権を設定した場合、抵当権者は94条2項の第三者にあたります(大判大4・12・17)。したがって、Aは、善意のEに対して、A・B間の売買の無効を対抗することができません。

オ 妥当でない。仮装譲受人Bの一般債権者Fは、94条2項の第三者に該当しないため、Aは、虚偽表示の無効をFに対抗できます。なお、Fが甲土地を差し押さえた場合には、Fは94条2項の第三者に該当するため、Aは、虚偽表示の無効を善意のFに対抗できません(最判昭48・6・28)。

 以上より、妥当でないものの組合せはイ・オとなり、5が正解となります。

 

 

 AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 Aが、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合、Aは当然に成年被後見人であるから、制限行為能力者であることを理由として当該意思表示に基づく譲渡契約を取り消すことができる。

2 Aが、被保佐人であり、当該意思表示に基づく譲渡契約の締結につき保佐人の同意を得ていない場合、Aおよび保佐人は常に譲渡契約を取り消すことができる。

3 この動産が骨董品であり、Aが、鑑定人の故意に行った虚偽の鑑定結果に騙された結果、Bに対して時価よりも相当程度安価で当該動産を譲渡するという意思表示をした場合、Bがこの事情を知っているか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない。

4 Aが、高額な動産を妻に内緒で購入したことをとがめられたため、その場を取り繕うために、その場にたまたま居合わせたBを引き合いに出し、世話になっているBに贈与するつもりで購入したものだと言って、贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡した場合、当該意思表示は原則として有効である。

5 Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。

 

正解4

1 妥当でない。精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者でも、後見開始の審判を受けていなければ成年被後見人ではありません(7条、8条)。したがって、Aは「当然に成年被後見人」となるわけではなく、制限行為能力者であることを理由として譲渡契約を取り消すことはできません。

2 妥当でない。被保佐人は、民法13条1項各号に掲げられている行為については、保佐人の同意が必要であり、同意を得ていない場合には取り消すことができます。しかし、それ以外の行為については、原則として、被保佐人が単独ですることができます。したがって、保佐人の同意を得ていない場合に常に譲渡契約を取り消すことができるわけではありません

3 妥当でない。第三者(鑑定人)の詐欺によってAが動産を譲渡する意思表示をした場合、相手方Bがその事実を知り、又は知ることができたとき(悪意又は有過失)に限り、Aは、その意思表示を取り消すことができます(96条2項)。

4 妥当。心裡留保による意思表示は、原則として有効です(93条1項本文)。表意者は、真意ではないことを知って意思表示をしているので保護する必要がないのに対し、表意者の真意を知らない相手方を保護すべきであるからです。

5 妥当でない。虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗することができません(民法94条2項)。この場合の第三者は、善意であれば保護され、無過失である必要はありません(大判昭12・8・10)。

 

 

 意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 意思表示の相手方が、正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなされ、相手方が通知の受領を拒絶した場合には意思表示の到達が擬制される。これに対して、意思表示を通知する内容証明郵便が不在配達されたが、受取人が不在配達通知に対応しないまま留置期間が経過して差出人に還付され、通知が受領されなかった場合には、意思表示が到達したものと認められることはない。

2 契約の取消しの意思表示をしようとする者が、相手方の所在を知ることができない場合、公示の方法によって行うことができる。この場合、当該取消しの意思表示は、最後に官報に掲載した日またはその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に相手方に到達したものとみなされるが、表意者に相手方の所在を知らないことについて過失があった場合には到達の効力は生じない。

3 契約の申込みの意思表示に対して承諾の意思表示が郵送でなされた場合、当該意思表示が相手方に到達しなければ意思表示が完成せず契約が成立しないとすると取引の迅速性が損なわれることになるから、当該承諾の意思表示が発信された時点で契約が成立する。

4 意思表示は、表意者が通知を発した後に制限行為能力者となった場合でもその影響を受けないが、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したときには、当該制限行為能力者は契約を取り消すことができる。

5 意思表示の相手方が、その意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき、または制限行為能力者であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。

 

正解2

1 妥当でない。相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(97条2項)。この「到達」に関して、意思表示を通知する内容証明郵便が不在配達されましたが、受取人が不在配達通知に対応しないまま留置期間が経過して差出人に還付された場合、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく内容証明郵便を受領することができたなどの事情の下においては、当該意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められます(最判平10・6・11)。したがって、「意思表示が到達したものと認められることはない」とする本肢は妥当ではありません。

2 妥当である。意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができます(98条1項)。公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされます。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じません(98条3項)。

3 妥当でない。意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生じます(到達主義。97条1項)。したがって、「承諾の意思表示が発信された時点で契約が成立する」とする本肢は妥当ではありません。

4 妥当でない。意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられません(97条3項)。ただし、契約の申込みの場合は、申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない、こととされています(526条)。したがって、「その申込みは、その効力を有しない」であり、「契約を取り消すことができる」わけではありません。

5 妥当でない。意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったとき(被保佐人及び被補助人は該当しません。)は、その意思表示をもってその相手方に対抗することができません。ただし、①相手方の法定代理人又は②意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方がその意思表示を知った後は、その相手方に対抗することができます(98条の2)。したがって、被保佐人や被補助人を含んだ「制限行為能力者であったとき」とする本肢は妥当ではありません

 

 

 虚偽表示の無効を対抗できない善意の第三者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bは当該土地上に建物を建築し、これを善意のCに賃貸した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できない。

2 AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bが当該土地を悪意のCに譲渡し、さらにCが善意のDに譲渡した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をDに対抗できない。

3 AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bは善意の債権者Cのために当該土地に抵当権を設定した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できない。

4 AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bの債権者である善意のCが、当該土地に対して差押えを行った。この場合、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できない。

5 AはBと通謀してAのCに対する指名債権をBに仮装譲渡したところ、Bは当該債権を善意のDに譲渡した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をDに対抗できない。

 

正解1

1 妥当でない。虚偽表示による意思表示は無効とされ(94条1項)、その無効は、善意の第三者に対抗することができません(94条2項)。「第三者」とは、虚偽表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者をいいます(最判昭45・7・24)。本肢における土地の仮装譲受人が土地上に建築した建物を賃借したCは、仮装譲渡された土地について法律上利害関係を有する者とは認められません(最判昭57・6・8)。したがって、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できます。

2 妥当である。善意の転得者Dは、民法94条2項の善意の第三者に該当します(最判昭45・7・24)。したがって、Aは、虚偽表示の無効を善意のDに対抗できません。

3 妥当である。仮装譲受人から抵当権設定を受けた善意のCは、民法94条2項の善意の第三者に該当します(大判大4・12・17)。したがって、Aは、虚偽表示の無効を善意のCに対抗できません。

4  妥当である。仮装譲受人名義となった不動産を差し押さえた仮装譲受人の善意の一般債権者Cは、民法94条2項の善意の第三者に該当します(最判昭48・6・28)。したがって、Aは、虚偽表示の無効を善意のCに対抗できません。

5 妥当である。仮装債権の善意の譲受人Dは、民法94条2項の善意の第三者に該当します(大判昭13・12・17)。Aは、虚偽表示の無効を善意のDに対抗できません。

 

 

 無効または取消しに関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはいくつあるか。

 

ア BがAに騙されてAから金銭を借り入れ、CがBの保証人となった場合、CはAの詐欺を理由としてAB間の金銭消費貸借契約を取り消すことができる。

イ BがAに騙されてAから絵画を購入し、これをCに転売した場合、その後になってBがAの詐欺に気がついたとしても、当該絵画を第三者に譲渡してしまった以上は、もはやBはAとの売買契約を取り消すことはできない。

ウ BがAから絵画を購入するに際して、Bに錯誤が認められる場合、その取消しは誰からでも主張することができるから、Bから当該絵画を譲り受けたCも当然に、AB間の売買契約につき錯誤による取消しができる。

エ BがAに強迫されて絵画を購入した場合、Bが追認をすることができる時から取消権を5年間行使しないときは、追認があったものと推定される。

オ 未成年者であるBが親権者の同意を得ずにAから金銭を借り入れたが、後に当該金銭消費貸借契約が取り消された場合、BはAに対し、受領した金銭につき現存利益のみを返還すれば足りる。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ 

 

正解4

ア 妥当でない。錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができます(120条2項)。保証人は、いずれにも該当しないので、主たる債務者の行為を取り消すことができません。

イ 妥当でない。Bは、詐欺による意思表示の取消しを、善意・無過失の第三者Cに対抗することはできませんが(96条3項)、詐欺を行ったAとの契約を取り消すことはできます(96条1項、3項)。

 なお、「取り消すことができる行為によって取得した権利の全部の譲渡」については、追認をしたものとみなされますが(法定追認。125条5号)、本肢のBはAの詐欺に気づく前にCに転売しているため、法定追認には該当しません。

ウ 妥当でない。錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができます(120条2項)。したがって、「取消しは誰からでも主張することができるから」とする本肢は妥当ではありません。また、Bから当該絵画を譲り受けたCが錯誤による取消しを主張することが可能だとしても、本肢の場合、Bには「錯誤」が認められるだけであり「重要な錯誤」とはされていないため、「当然に」取消しができるわけではありません。

エ 妥当でない。追認をすることができる時から取消権を5年間行使しないときは、取消権は、時効によって消滅します(126条前段)。追認があったものと推定されるわけではありません。

オ 妥当である。制限行為能力を理由に契約が取り消された場合、制限行為能力者は、原状回復義務を負いますが、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負います(121条の2第3項)。

 

 

 Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件売買契約」という。)が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 AはBの強迫によって本件売買契約を締結し、Aは強迫を理由とする当該契約の取消しができることを知っていたが、その後もBに対する畏怖の状態が続いたので取消しの意思表示をしないまま10年が経過した。このような場合であっても、AはBの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができる。

2 AがBの詐欺を理由として本件売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた。この場合において、CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなく、また、対抗要件を備えていなければならない。

3 AがDの強迫によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、AはDの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができない。

4 AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、知らなかったことにつき過失がなかった場合でも、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができる。

5 Aは未成年者であったが、その旨をBに告げずに本件売買契約を締結した場合、制限行為能力者であることの黙秘は詐術にあたるため、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことはできない。 

 

正解1

1 妥当である。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅します(126条前段)。この「追認をすることができる時」とは、取消し原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った時を意味します(124条1項)。本肢において、畏怖の状態が続いている間は、取消しの原因となっていた状況が消滅しているとはいえないため、Aの取消権は消滅せず、AはBの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができます。

2 妥当でない。詐欺による意思表示の取消しは、善意・無過失の第三者に対抗することができません(96条3項)。この場合、第三者は善意・無過失であれば保護され、登記を備えている必要はありません(最判昭49・9・26)。

3 妥当でない。強迫による意思表示は、第三者が強迫した場合には、常にこれを取り消すことができます(96条2項反対解釈)。

4 妥当でない。第三者の詐欺により意思表示をした場合、表意者は、相手方がその事実を知り、又は知ることができたとき(悪意又は有過失)に限り、その意思表示を取り消すことができます(96条2項)。したがって、相手方Bが善意・無過失の場合には取り消すことができません。

5 妥当でない。制限行為能力者が単に制限行為能力者であることを黙秘しただけでは詐術に当たりません(最判昭44・2・13)。本肢において、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことができます。

 

 

 Aが所有する甲土地につき、Aの長男BがAに無断で同人の代理人と称してCに売却した(以下「本件売買契約」という。)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 Aが死亡してBが単独相続した場合、Bは本人の資格に基づいて本件売買契約につき追認を拒絶することができない。

2 Bが死亡してAの妻DがAと共に共同相続した後、Aも死亡してDが相続するに至った場合、Dは本人の資格で無権代理行為の追認を拒絶する余地はない。

3 Aが本件売買契約につき追認を拒絶した後に死亡してBが単独相続した場合、Bは本件売買契約の追認を拒絶することができないため、本件売買契約は有効となる。

4 Bが死亡してAが相続した場合、Aは本人の資格において本件売買契約の追認を拒絶することができるが、無権代理人の責任を免れることはできない。

5 Aが死亡してBがAの妻Dと共に共同相続した場合、Dの追認がなければ本件売買契約は有効とならず、Bの相続分に相当する部分においても当然に有効となるものではない。

 

正解3

1 妥当である。本人Aが死亡し、無権代理人Bが単独相続した場合、本人Aが自ら法律行為をしたのと同様な法律上の地位がBに生じること、あるいは本人Aの地位に就いた無権代理人が追認を拒絶することは信義則に反することなどを理由に、本人Aを単独相続した無権代理人Bは、追認を拒絶することはできないとしています(最判昭40・6・18、大判昭17・2・25)。

2 妥当である。無権代理人Bを本人Aが妻Dと共同相続した後、本人Aも死亡してDが相続した場合、いったん無権代理人Bを相続しているため、相続人Dは、本人Aの資格で無権代理行為の追認を拒絶する余地はなく、本人Aが自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位ないし効果を生ずるとしています(最判昭63・3・1)。したがって、Dは無権代理行為の追認を拒絶することができません。

3 妥当でない。本人Aが生前に無権代理行為の追認を拒絶した後に死亡し、無権代理人Bが本人Aを相続した場合、判例は、本人Aの追認拒絶によって無権代理行為の効力が本人Aに及ばないことが確定するため、無権代理行為は有効とはならないとしています(最判平10・7・17)。

4 妥当である。判例は、本人Aが無権代理行為の追認を拒絶しても何ら信義則に反しないので、Bの無権代理行為はAの相続により当然に有効となるものではないとしています(最判昭37・4・20)。ただし、無権代理人が民法117条により相手方に債務を負担していた場合には、本人は、追認を拒絶できる地位にあったことを理由として、その債務を免れることができません(最判昭48・7・3)。

5 妥当である。無権代理人Bが本人Aを相続したが、他にも共同相続人Dがいる場合において、判例は、共同相続人全員が共同して追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効とはならないとしています(最判平5・1・21)。

 

 

 Aの子Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 CはAが追認した後であっても、この売買契約を取り消すことができる。

2 Bが未成年者である場合、Aがこの売買契約の追認を拒絶したならば、CはBに対して履行の請求をすることはできるが、損害賠償の請求をすることはできない。

3 Aがこの売買契約の追認を拒絶した後に死亡した場合、BがAを単独相続したとしても無権代理行為は有効にはならない。

4 Aが追認または追認拒絶をしないまま死亡してBがAを相続した場合、共同相続人の有無にかかわらず、この売買契約は当然に有効となる。

5 Cが相当の期間を定めてこの売買契約を追認するかどうかをAに対して回答するよう催告したが、Aからは期間中に回答がなかった場合、Aは追認を拒絶したものと推定される。

 

正解3

1 妥当でない。無権代理の相手方は、本人が追認をしない間は、無権代理人との契約を取り消すことができます(115条本文)。しかし、本人が追認したときは、相手方は取消権を行使することはできなくなります。

2 妥当でない。無権代理人が制限行為能力者であるときは、相手方は、履行の請求も損害賠償の請求もすることができません(117条2項3号)。

3 妥当である。本人が生前に無権代理行為の追認を拒絶した後に死亡し、無権代理人が本人を相続した場合、本人の追認拒絶によって無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定するため、無権代理行為は有効とはなりません(最判平10・7・17)。

4 妥当でない。本人が無権代理行為を追認または追認拒絶をしないまま死亡し、無権代理人が本人を単独相続した場合には、無権代理行為は当然に有効となりますが(最判昭40・6・18)、共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して追認しない限り、無権代理行為は有効となりません(最判平5・1・21)。

5 妥当でない。本人が、相手方が相当の期間を定めてした催告に対して確答をしないときは、追認を拒絶したものと「みなされます」(114条後段)。「推定される」ではありません

 

 

 代理に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 Aは留守中の財産の管理につき単に妻Bに任せるといって海外へ単身赴任したところ、BがAの現金をA名義の定期預金としたときは、代理権の範囲外の行為に当たり、その効果はAに帰属しない。

2 未成年者Aが相続により建物を取得した後に、Aの法定代理人である母Bが、自分が金融業者Cから金銭を借りる際に、Aを代理して行ったCとの間の当該建物への抵当権設定契約は、自己契約に該当しないので、その効果はAに帰属する。

3 A所有の建物を売却する代理権をAから与えられたBが、自らその買主となった場合に、そのままBが移転登記を済ませてしまったときには、AB間の売買契約について、Aに効果が帰属する。

4 建物を購入する代理権をAから与えられたBが、Cから建物を買った場合に、Bが未成年者であったときでも、Aは、Bの未成年であることを理由にした売買契約の取消しをCに主張することはできない。

5 Aの代理人Bが、Cを騙してC所有の建物を安い値で買った場合、AがBの欺罔行為につき善意無過失であったときには、B自身の欺罔行為なので、CはBの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAに主張することはできない。

 

1 妥当でない。権限の定めのない代理人は、①保存行為、②代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為に限り、することができます(103条)。Bの行為は、②の利用行為であり、代理権の範囲内の行為であるため、その効果はAに帰属します。

2 妥当でない。母Bが自己の債務のため、未成年者である子Aの建物に抵当権を設定する行為は「利益相反行為」となり、親権者の利益相反行為については、特別の規定があり、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません(826条1項、最判昭37・10・2)。本条に違反して、親権者が代理行為を行った場合、当該行為は無権代理となります(最判昭46・4・20)。

3 妥当でない。代理人Bが自ら買主となることは、「自己契約」に該当し、債務の履行又は本人があらかじめ許諾した場合以外は無権代理行為とみなされ、その効果は本人Aに帰属しません(108条1項)。

4 妥当である。代理人は行為能力者である必要はありません(102条本文)。代理人Bが未成年者であっても、Aは、Bが未成年であることを理由に売買契約の取消しをCに主張することはできません。

5 妥当でない。代理人が詐欺を行った場合には、本人がそのことについて善意・無過失であっても、相手方は、代理人との契約を取り消すことができます(96条1項)。

 

 

 代理人と使者の違いに関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 代理人は本人のために法律行為を行う者であるから、代理人としての地位は、法律に基づくもののほかは必ず委任契約によらなければならないが、使者は本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、使者の地位は、雇用契約、請負契約など多様な契約に基づく。

2 代理人は、本人のために法律行為を行う者であるから、代理権の授与のときに意思能力および行為能力を有することが必要であるのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、その選任のときに意思能力および行為能力を有することは必要ではない。

3 代理人は本人のために自ら法律行為を行うのであるから、代理人の相手方に対してした意思表示の瑕疵は、代理人について決するが、使者は本人の行う法律行為を完成させるために本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、当該意思表示の瑕疵は、本人について決する。

4 代理人は、与えられた権限の範囲で本人のために法律行為を行うのであるから、権限を逸脱して法律行為を行った場合には、それが有効となる余地はないのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達するのであるから、本人の真意と異なる意思を伝達した場合であってもその意思表示が取り消される可能性がある。

5 代理人は、法律または本人の意思に基づいて本人のために法律行為を行う者であるから、本人に無断で復代理人を選任することは認められないのに対し、使者は、単に本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、本人に無断で別の者を使者に選任することも認められる。

 

正解3

1 妥当でない。代理には直接法律の規定によって代理権が生ずる「法定代理」と本人の意思に基づいて代理権が生ずる「任意代理」があります。「任意代理」は、委任契約に限らず、組合契約、雇用契約などによっても発生します。

2 妥当でない。代理人は代理権授与のときに意思能力は必要ですが、行為能力は不要です(102条本文)。一方、使者は、その選任のときに、意思能力も行為能力も不要です。

3 妥当である。代理人は本人のために自ら法律行為を行うため、代理人が相手方に対してした意思表示の瑕疵は、代理人について決します(101条1項)。一方、使者は本人の意思決定を伝達するにすぎないため、意思表示の瑕疵は、本人について決します

4 妥当でない。代理人が与えられた権限の範囲を逸脱して法律行為を行った場合、本人が追認すると契約の時にさかのぼって本人に対して効力を生じます(116条)。また、追認がない場合でも表見代理が成立することによって本人に対して効力が生ずる場合があります(110条)。これに対し、使者が本人の真意と異なる意思を伝達した場合、錯誤の問題として、その意思表示が取り消される可能性があります。

5 妥当でない。法定代理では、代理人は本人に無断で復代理人を選任することができますが(105条前段)、任意代理では、代理人は本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができません(104条)。これに対し、使者は、単に本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないため、原則として本人に無断で別の使者を選任することができると解されています。

 

 

 代理に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 代理人が代理行為につき、相手方に対して詐欺を行った場合、本人がその事実を知らなかったときであっても、相手方はその代理行為を取り消すことができる。

2 無権代理行為につき、相手方が本人に対し、相当の期間を定めてその期間内に追認するかどうかを確答すべき旨の催告を行った場合において、本人が確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。

3 代理人が本人になりすまして、直接本人の名において権限外の行為を行った場合に、相手方においてその代理人が本人自身であると信じ、かつ、そのように信じたことにつき正当な理由がある場合でも、権限外の行為の表見代理の規定が類推される余地はない。

4 代理人が本人の許諾を得て復代理人を選任した場合において、復代理人が代理行為の履行として相手方から目的物を受領したときは、同人はこれを特別の事情がないかぎり、本人に対して受領物を引渡す義務を負うほか、代理人に対してもこれを引渡す義務を負う。

5 無権代理行為につき、善意の相手方はこれを取り消すことができるが、この取消しは本人が追認しない間に行わなければならない。

 

正解3

1 妥当である。代理人による詐欺は、本人による詐欺と同視できるので、相手方は詐欺による意思表示を取り消すことができます(96条1項)。なお、本肢については、民法101条の適用はありません。

2 妥当である。無権代理行為につき相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなします(114条)。

3 妥当でない。判例は、「代理人が本人の名において権限外の行為をした場合において、相手方がその行為を本人自身の行為と信じたときは、代理人の代理権を信じたものではないが、その信頼が取引上保護に値する点においては、代理人の代理権限を信頼した場合と異なるところはないから、本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由がある場合にかぎり、民法110条の規定を類推適用して、本人がその責に任ずるものと解するのが相当である。」と判示する(最判昭44・12・19)。したがって「表見代理の規定が類推される余地はない」とする本肢は、妥当ではありません。

4 妥当である。判例は、「復代理人は、特別の事情がないかぎり、本人に対して受領物を引渡す義務を負うほか、代理人に対してもこれを引渡す義務を負い、もし復代理人において代理人にこれを引渡したときは、代理人に対する受領物引渡義務は消滅し、それとともに、本人に対する受領物引渡義務もまた消滅するものと解するのが相当である。」と判示します(最判昭51・4・9)。

5 妥当である。代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、善意の相手方が取り消すことができます(115条)。相手方の取消しは本人が追認しない間に行わなければなりません。

 

 

 時効の完成猶予・更新の効力に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

 

1 債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効の更新があった場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効の更新の効力を否定することはできない。

2 物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに送達した場合には、被担保債権について消滅時効の完成が猶予される。

3 要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新したときは、時効の更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。

4 甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の更新をすれば、時効の更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。

5 A所有の甲地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、Bについてのみ時効の完成の猶予があったときは、Bの取得時効のみ完成が猶予され、Cの取得時効の完成は猶予されない。 

 

正解4

1 正しい。判例は、物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効の更新の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、許されないとしています(最判平7・3・10)。

2 正しい。担保権の実行としての競売は、「強制執行等」に該当し、時効の完成猶予事由にあたります(148条1項3号)。この手続については、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の完成は猶予されません(154条)。物上保証人に対して債権者が競売申立てをして、その後競売開始決定がされ、債務者にその決定正本が送達された場合、この「送達」が通知に当たり、被担保債権についての消滅時効の完成は猶予されます(最判昭50・11・21)。

3 正しい。要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生じます(292条)。Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新しても、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及びます。

4 誤り。共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、効力を生じません(284条2項)。したがって、Dは、A・B・Cの全員に対して時効の更新をしなければその効力は、A・B・Cの3人に及びません。

5 正しい。時効の完成猶予は、当事者及びその承継人の間においてのみ効力を有します(相対的効力。153条)。したがって、Bについてのみ時効の完成猶予があったときは、Bの取得時効のみ完成が猶予され、Cの取得時効の完成は猶予されません。

 

 

 AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合における時効の援用権者に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

 

ア Aが甲債権の担保としてC所有の不動産に抵当権を有している場合、物上保証人Cは、Aに対して債務を負っていないが、甲債権が消滅すれば同不動産の処分を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。

イ 甲債権のために保証人となったDは、甲債権が消滅すればAに対して負っている債務を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。

ウ Bの詐害行為によってB所有の不動産を取得したEは、甲債権が消滅すればAによる詐害行為取消権の行使を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。

エ Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、Aの後順位抵当権者Fは、Aの抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当しないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。

オ Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、同不動産をBから取得したGは、甲債権が消滅すれば抵当権の負担を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。

 

1 ア・イ 

2 ア・エ 

3 イ・オ 

4 ウ・エ 

5 ウ・オ

 

ア 正しい。物上保証人Cは、被担保債権の消滅時効の援用をすることができます(145条カッコ書)。

イ 正しい。保証人Dは、主たる債務の消滅時効の援用をすることができます(145条カッコ書)。

ウ 誤り。被保全債権における詐害行為の受益者Eは、消滅時効の援用をすることができます(最判平10・6・22)。

エ 正しい。後順位抵当権者Fは、先順位抵当権者Aの被担保債権の消滅時効を援用できません(最判平11・10・21)。

オ 誤り。抵当不動産の第三取得者Gは、甲債権につき消滅時効の援用をすることができます(145条カッコ書)。

 以上により、誤っているのはウ及びオとなり、5が正解となります。

 

 

 Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間に関する次の場合のうち、民法の規定および判例に照らし、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できないものはどれか。

 

1 Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で10年間

2 Bが悪意で18年間、Aが善意無過失で2年間

3 Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で5年間

4 Bが善意無過失で7年間、Aが悪意で3年間

5 Bが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間、Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間

 

正解3

1 時効取得できる。Aが善意無過失で10年間占有しているので、Aの占有のみを主張し、甲不動産を時効取得できます。

2 時効取得できる。AがBの18年間の占有と自己の2年間の占有を併せて主張すれば、Aは甲不動産を時効取得できます。

3 時効取得できない。AがBの占有期間を併せても、悪意で10年間にしかならないため、Aは甲不動産を時効取得できません。

4 時効取得できる。AがBの占有期間を併せると、善意無過失の10年間になり、Aは甲不動産を時効取得できます。

5 時効取得できる。AがBの占有期間を併せると、善意無過失の10年間になり、Aは甲不動産を時効取得できます。なお、善意無過失の判断は、占有開始時点で判断すればよいこととされています(最判昭53・3・6)。

 

4月15日現在

終了レッスン数:504

総学習時間:107時間5400

こんにちは、おっさんです。

競馬の騎手さんが、35歳という若さでお亡くなりになりました。

彼には奥さんも子供さんもいて

さぞ無念でしたでしょうね。

おっさんもやり残すことが無い様に

毎日。精いっぱい生きていこうとあらためて思いました。

 

セレクト過去問集-憲法4

の結果は24問中、9問正解でした。

 

憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 これと同様の定式は近代憲法に広く見られ、大日本帝国憲法でも採用されている。

2 この定式は、近代の国民代表議会の成立に伴い、国民とその代表者との政治的意思の一致を法的に確保する目的で、命令委任の制度とともに導入されたものである。

3 政党は国民の中の一党派であり、全国民を代表するものではないため、議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。

4 議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない、との原則は、自由委任の原則と呼ばれる。

5 選挙は現代では政党間の選択としての意味を持つため、現行法上、議員は所属政党から離脱した時は自動的に議員としての資格を失うものとされている。

 

正解4

1 妥当でない。大日本帝国憲法下における帝国議会は貴族院衆議院に分かれていました。貴族院は、非公選の皇族などから構成されており、衆議院立法権については天皇の大権に属していたため、いずれも、「全国民の代表」に関する定式は採用されていません

2 妥当でない。命令委任の制度とは、議員が当選後も有権者の命令に拘束されるという中世の考え方です。憲法43条1項の「全国民の代表」の考え方として「政治学的代表」とそれを補う「社会学的代表」がありますが、「社会学的代表」であっても、有権者が議員を拘束することはできませんので、「自由委任の原則」が妥当します。以上により、全国民の代表が「命令委任の制度とともに導入された」わけではないので、本肢は妥当ではありません。

3 妥当でない。現代の政党は国家意思の形成に主導的な役割を果たします。その政党に所属する議員は政党の決定に従って行動することによって国民の代表者としての任務を果たすことができます。そのため、議員が党議拘束に服するとしても、自由委任の枠外であると解されています。

4 妥当である。議員は、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されず、議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきという考えは自由委任の原則の説明として妥当です。

5 妥当でない。衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員が当選後、選挙時の所属政党以外の政党に移動したときは、議員としての資格を失います(公職選挙法99条の2)。これは比例代表選出議員に限定された規定であり、現行法上、議員全般が所属政党から離脱した時は自動的に資格を失うとの規定はありません。

 

 

内閣に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。

2 憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。

3 内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。

4 法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

5 内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。

 

正解4

1 妥当でない。国務大臣は、内閣総理大臣が任命し、その過半数は国会議員の中から選ばなければならない旨の規定はありますが(68条1項)、任命の際に国会の同意を得る旨の規定はありません

2 妥当でない。憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことについては定めていません。

3 妥当でない。憲法は明文で、「国務大臣はその在任中逮捕されず」とは定めていません。

4 妥当である。法律及び政令には、すべて主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣の連署が必要とされています(74条)。

5 妥当でない。憲法66条3項は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。」と規定しています。したがって、内閣は、参議院に対しても連帯責任を負います。

 

 

 内閣の「責任」について書かれた次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

1 日本国憲法における内閣は、衆議院に対してのみ「責任」を負うのであり、参議院に対しては「責任」を負っていない。

2 日本国憲法は内閣の「連帯責任」を強調しており、特定の国務大臣に対して単独の「責任」を負わせることは認めていない。

3 明治憲法では、君主に対する内閣の「連帯責任」のみが規定されており、衆議院に対する「責任」は想定されていなかった。

4 内閣の「責任」のとり方は任意かつ多様であるべきなので、日本国憲法の下で総辞職が必要的に要求されることはない。

5 大臣に対する弾劾制度を認めない日本国憲法においては、内閣に対して問われる「責任」は、政治責任であって狭義の法的責任ではない。

 

正解5

1 適切でない。内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負います(66条3項)。国会は衆議院と参議院で構成されていますので、「衆議院に対してのみ「責任」を負う」わけではありません

2 適切でない。憲法66条3項の内閣の「連帯責任」は、特定の国務大臣が所管事項に関して単独で責任(個人責任)を負うことを否定されるわけではないと解されています。したがって、個々の国務大臣に対して、不信任議決をすることより、責任を負わせることは可能とされています。なお、当該不信任議決により、直接辞職をさせるような法的効力はありません。

3 適切でない。明治憲法では、国務大臣が単独で天皇に対して責任を負うこととされていました(明治憲法55条)。「君主に対する内閣の「連帯責任」のみが規定されて」いたわけではありません

4 適切でない。憲法69条及び70条では、一定の事由が生じた場合には、内閣は総辞職をすることが必要的に要求されています。

5 適切である。日本国憲法は、大臣に対する弾劾制度についての規定をしていません。また、内閣に対して問われる憲法66条3項の責任は、「法的責任」ではなく、「政治責任」と解されています。

 

 

 衆議院と参議院の議決に一致がみられない状況において、クローズアップされてくるのが両院協議会の存在である。日本国憲法の定めによると、両院協議会を必ずしも開かなくてもよいとされている場合は、次のうちどれか。

 

1 衆議院が先議した予算について参議院が異なった議決を行った場合

2 内閣総理大臣の指名について衆参両院が異なった議決を行った場合

3 衆議院で可決された法律案を参議院が否決した場合

4 衆議院が承認した条約を参議院が承認しない場合

5 参議院が承認した条約を衆議院が承認しない場合

 

正解3

1 必ず開かなければならない。「予算」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(60条2項)。

2 必ず開かなければならない。「内閣総理大臣の指名」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(67条2項)。

3 必ずしも開かなくてもよい。「法律案」に関しては、両院協議会を開くことを「求めることができる」にすぎません(59条3項)。

4 必ず開かなければならない。「条約」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(憲法61条、60条2項)。

5 必ず開かなければならない。「条約」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(憲法61条、60条2項、国会法85条2項)。

 

 

 議事手続は、最終的には各議院の自律権にゆだねられる問題だとしても、憲法が定める定足数のハードルの低さを考慮に入れると、ごく少数の議員のみによって議決が成立することのないように配慮しつつ、多数決による議決の成立可能性を確保するよう慎重な考慮が求められる。次に掲げるのは、かつて衆議院における議事手続について争われた事例である。そこで採られるべき妥当な解決として、先例および通説の立場を示すのは、次の1~5の記述のうちどれか。

 

 1948年10月14日、衆議院における内閣総理大臣指名の手続において、以下のような投票が行われた。

 

議員定数   466

吉田茂    184票

片山哲     87票

その他     43票

白票      86票

1 総議員の過半数に達したものがいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

2 白票を投じたものも出席議員数に算入した上で、出席議員の過半数に達したものがいないため、上位2名による決選投票になる。

3 出席議員の3分の2以上の票を集めた候補がいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

4 白票には賛否いずれの意思表示も含まれていないから、白票を除いて計算すると、出席議員の過半数に達した吉田茂が直ちに指名される。

5 衆議院ではいずれの候補も過半数に達しないため、参議院の指名を国会の指名とする。

 

正解2

1 誤り。両議院における議事は、憲法に特別の定めがある場合を除き、出席議員の過半数で決します(56条2項)。本肢は「総議員の過半数に達したものがいない」としているため誤りです。

2 正しい。衆議院規則では、白票も出席議員数に算入され、出席議員の過半数に達したものがいない場合には、上位2名による決選投票になると定められています。

3 誤り。両議院における議事は、憲法に特別の定めがある場合を除き、出席議員の過半数としており、「出席議員の3分の2以上」ではありません(56条2項)。

4 誤り。衆議院規則では、白票も出席議員数に算入されます。したがって、184票しか獲得していない吉田茂は、出席議員(184+87+43+86=400)の過半数を獲得していないため、直ちに指名されることはありません。

5 誤り。衆議院規則では、過半数を獲得した者がいない場合には、上位2名によって決選投票を行うこととされています。したがって、「参議院の指名を国会の指名とする」のではありません。

 

 

 次のア~オのうち、議院の権能として正しいものはいくつあるか。

 

ア 会期の決定

イ 議員の資格争訟

ウ 裁判官の弾劾

エ 議院規則の制定

オ 国政に関する調査

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解3

ア 議院の権能ではない。国会の会期には、常会、臨時会及び特別会があります。常会はその会期が150日間と定められています(国会法10条)。臨時会と特別会は、両議院一致の議決で定めることとされているため(国会法11条)、国会の権能といえます。


イ 議院の権能である。議員の資格争訟の裁判権議院の権能です(55条)。


ウ 議院の権能ではない。弾劾裁判所の設置国会の権能です(64条)。そして、設置された弾劾裁判所は裁判官の弾劾を行う権能を有します。したがって、議院の権能ではありません。


エ 議院の権能である。議院規則制定権は、議院の権能です(58条2項)。


オ 議院の権能である。国政調査権は、議院の権能です(62条)。


 以上により、議院の権能は、イ・エ・オの三つとなり、3が正解となります。

 

 内閣に関する憲法の規定の説明として正しいものはどれか。

 

1 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から、国会の議決で指名する。

2 国務大臣は、内閣総理大臣の指名に基づき、天皇が任命する。

3 内閣は、衆議院で不信任の決議案が可決されたとき、直ちに総辞職しなければならない。

4 内閣は、総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない。

5 内閣は、総辞職の後、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行う。

 

正解5

1 誤り。内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、指名されます(67条1項)。「衆議院議員」だけを対象としているわけではありません。

2 誤り。国務大臣は、内閣総理大臣が任命します(68条1項本文)。天皇は認証するだけです(7条5号)。

3 誤り。内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければなりません(69条)。「直ちに総辞職しなければならない」わけではありません

4 誤り。内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければなりません(70条)。「総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない」わけではありません。

5 正しい。内閣が総辞職した場合でも、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行うものとされています(71条)。

 

 

 次の記述のうち、憲法の規定に照らし、正しいものはどれか。

 

1 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。

2 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、開会後直ちにこれを釈放しなければならない。

3 両議院の議員は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

4 国務大臣は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。

5 国務大臣は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、問責決議によらなければ罷免されない。

 

正解1

1 正しい。国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されません(75条本文)。

2 誤り。会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければなりません(50条)。したがって、「開会後直ちにこれを釈放しなければならない」わけではありません。

3 誤り。憲法上、両議院の議員は、裁判官と異なり報酬を減額されないことまでは保障されていません(49条、79条6項、80条2項)。

4 誤り。両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われません(51条)。しかし、国務大臣にはこのような免責特権に関する規定はありません。

5 誤り。内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができます(68条2項)。裁判や問責決議によって罷免されるのではありません。

 

 

次のア~オの記述のうち、日本国憲法に規定されているものは、いくつあるか。

 

ア 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

イ 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

ウ 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

エ 何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

オ 刑事事件について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解4

ア 48条に規定されています。

イ 20条2項に規定されています。

ウ 14条2項に規定されています。

エ 34条に規定されています。

オ 本条文は、裁判所法3条3項に関するものであり、日本国憲法には規定されていません

 以上により、日本国憲法に規定されているものはア・イ・ウ・エの4つであり、4が正解となります。

 

 

 司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 具体的な権利義務ないしは法律関係に関する紛争であっても、信仰対象の価値または教義に関する判断が前提問題となる場合には、法令の適用による解決には適さず、裁判所の審査は及ばない。

2 大学による単位授与行為(認定)は、純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断にゆだねられるべきものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有すると認めるにたる特段の事情がない限り、裁判所の審査は及ばない。

3 衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埒外にあり、裁判所の審査は及ばない。

4 政党の結社としての自律性からすると、政党の党員に対する処分は原則として自律的運営にゆだねるべきであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限りは、裁判所の審査は及ばない。

5 地方議会議員の出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができる。

 

正解3

1 妥当である。最高裁判所は、「訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関する判断が訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものであり、紛争の核心となっている場合には、当該訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであって、裁判所法3条にいう法律上の争訟にあたらない。」と判示しています(板まんだら事件。最判昭56・4・7)。

2 妥当である。最高裁判所は、「一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成しているのであるから、単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならない。」と判示しています(富山大学事件。最判昭52・3・15)。

3 妥当でない。最高裁判所は、「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、法律上の争訟となり、有効無効の判断が法律上可能である場合であっても、裁判所の審査権の外にあり、」と判示しています(苫米地事件。最大判昭35・6・8)。本肢の「その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埒外にあり」とする記述は妥当ではありません。

4 妥当である。最高裁判所は、「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。」と判示しています(共産党除名処分。最判昭63・12・20)。

5 妥当である。最高裁判所は、「地方議会議員の出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができる。」と判示しています(地方議会議員懲罰事件。最大判令2・11・25)。

 

 

 日本国憲法第7章の財政に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

1 内閣は、災害救助等緊急の必要があるときは、当該年度の予算や国会が議決した予備費によることなく、閣議の決定によって財政上必要な支出をすることができる。

2 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

3 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

4 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

5 すべて皇室の費用は、予算に計上することを要し、かつ、国会の議決を経なければならない。

 

正解1

1 誤り。国費の支出は「国会の議決」に基くことが必要です(85条)。また、予見し難い予算の不足に充てるため、「国会の議決」に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができます(87条1項)。本肢のように予備費によることなく、「閣議の決定」だけで支出をすることはできません

 

2 正しい。内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければなりません(86条)。

3 正しい。国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければなりません(90条1項)。

4 正しい。予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができます(87条1項)。

5 正しい。すべて皇室財産は、国に属し、すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければなりません(88条後段)。

 

 

 司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でないものはどれか。

 

1 大学は、国公立であると私立であるとを問わず、自律的な法規範を有する特殊な部分社会を形成しているから、大学における法律上の紛争は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、その自主的・自律的な解決にゆだねられる。

2 法律が、国会の両議院によって議決を経たものとされ、適法な手続によって公布されている場合、裁判所は両院の自主性を尊重して、法律制定の際の議事手続の瑕疵について審理しその有効無効を判断するべきではない。

3 政党の結社としての自主性にかんがみれば、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであり、政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判は及ばない。

4 衆議院の解散がいかなる場合に許されるかは、裁判所の判断すべき法的問題であるのに対して、これを行うために憲法上必要とされる助言と承認の手続に瑕疵があったか否かは、国家統治の基本に関する政治的な問題であるため、裁判所の審査権は及ばない。

5 具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、宗教上の教義に関する判断などが必要で、事柄の性質上法令の適用により解決するのに適しないものは、裁判所の審判の対象となりえない。

 

正解4

1 妥当である。最高裁判所の判例では、大学は、「一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成しているから、単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならない。」と判示しています(富山大学事件。最判昭52・3・15)。

2 妥当である。最高裁判所の判例では、「法律が両院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべく制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきでない。」と判示しています(警察法改正無効事件。最大判昭37・3・7)。

3 妥当である。最高裁判所の判例では、「政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限り、裁判所の審判は及ばない」と判示しています(共産党除名処分事件。最判昭63・12・20)。

4 妥当でない。最高裁判所の判例では、衆議院の解散は、裁判所の審査権の外にあるとされています(苫米地事件判決。最大判昭35・6・8)。したがって、「衆議院の解散がいかなる場合に許されるかは、裁判所の判断すべき法的問題である」とする本肢は妥当ではありません。

5 妥当である。最高裁判所の判例では、訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断が必要であり、それが訴訟の帰すうを左右するものであるときには、その訴訟は法律上の争訟に当たらないとされています(板まんだら事件。最判昭56・4・7)。

 

 

 国家機関の権限についての次のア~エの記述のうち、妥当なものをすべて挙げた組合せはどれか。

 

ア 内閣は、実質的にみて、立法権を行使することがある。

イ 最高裁判所は、実質的にみて、行政権を行使することがある。

ウ 衆議院は、実質的にみて、司法権を行使することがある。

エ 国会は、実質的にみて、司法権を行使することがある。

 

1 ア・ウ

2 ア・イ・エ

3 ア・ウ・エ

4 イ・ウ・エ

5 ア・イ・ウ・エ

 

正解5

ア 妥当である。内閣は、政令を制定することができます(73条6号)。このことから実質的にみて、立法権を行使することがあるといえます。

イ 妥当である。憲法上明文の規定はありませんが、76条以下の解釈によって、司法権の独立を強化するために、最高裁判所は司法行政に関する最高の権限を有するものとされています。したがって、最高裁判所は、実質的にみて、行政権を行使することがあるといえます。

ウ 妥当である。両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判することがあります(55条本文)。このことから、衆議院は、実質的にみて、司法権を行使することがあるといえます。

エ 妥当である。罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するための弾劾裁判所は、国会が設置し(64条1項)、実際の弾劾裁判は裁判員として選ばれた国会議員が行います。以上により、国会は、実質的にみて、司法権を行使することがあると言い切るのは難しいことになります。

 しかし、肢エを妥当でないとすると、正解とすべき「ア・イ・ウ」という選択肢がないため、本肢も妥当とせざるをえません。

 以上より、妥当なものをすべて挙げた組合せはア・イ・ウ・エとなり、5が正解となります。

 

 

 次のア~エの記述のうち、租税法律主義を定める憲法84条についての最高裁判所の判例の考え方を示すものとして、正しいものの組合せはどれか。

 

ア 国または地方公共団体が、特別の給付に対する反対給付として徴収する金銭は、その形式を問わず、憲法84条に規定する租税に当たる。

イ 市町村が行う国民健康保険の保険料は、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるから、憲法84条は直接適用される。

ウ 国民健康保険税は、目的税であって、反対給付として徴収されるものではあるが形式が税である以上は、憲法84条の規定が適用される。

エ 市町村が行う国民健康保険の保険料は、租税以外の公課ではあるが、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するので、憲法84条の趣旨が及ぶ。

 

1 ア・イ

2 ア・ウ

3 イ・ウ

4 イ・エ

5 ウ・エ

 

正解5

ア 誤り。判例は、「租税」とは、特別の給付に対する「反対給付でない」こととしています(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

イ 誤り。判例は、国民健康保険の保険料は、「反対給付として」徴収されるものであるので、憲法84条の規定が「直接に適用されることはない」としています(84条の趣旨は及びます)(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

ウ 正しい。判例は、国民健康保険税は、目的税であって、反対給付として徴収されるものであるが、形式が税である以上は、憲法84条の規定が「適用される」としています(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

エ 正しい。国民健康保険は、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、憲法84条の「趣旨が及ぶ」としています(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

 以上により、正しいものはウ・エとなり5が正解となります。

 

 

 財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。

2 予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。

3 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。

4 予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。

5 国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。

 

1 妥当でない。国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とします(85条)。「必ずしも国会の議決に基づく必要はない」とする本肢は妥当ではありません

2 妥当でない。国会の予算の修正権について、特に減額修正は、財政民主主義の原則が確立していること(83条)から限界がないとされています。したがって、「国会は予算を修正することができず」とする本肢は妥当ではありません。3 妥当である。予見し難い予算の不足にあてるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができ(87条1項)、すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければなりません(87条2項)。

4 妥当でない。予算の公布は、天皇の国事行為として規定されていません(憲法7条1号参照)。

5 妥当でない。国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査するため(90条1項)、歳入の決算についても、会計検査院の検査を受ける必要があります。

 

 

 参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強めるために、次の記述のような改革が提案されたとする。この中で、最高裁判所の判例を前提とした場合、憲法改正が必要ではないと考えられるものはどれか。

 

1 各都道府県の知事・副知事その他知事の任命する職員が参議院議員となる。

2 都道府県議会議員が参議院議員を選挙する。

3 参議院の議員定数を削減し、各都道府県から2名ずつ議員を選挙する。

4 中立的な委員会が学識経験に優れた者を参議院議員に選出する。

5 政党による立候補者名簿の届出が不可能な選挙制度にする。

 

正解5

1 憲法改正が必要である。本肢のように、公選をされずに職員が参議院議員となることは、憲法43条1項に違反するため、この43条1項を改正する必要が出てきます。

2 憲法改正が必要である。本肢のような「複選制」を採用する場合には、憲法43条1項に違反するため、この43条1項を改正する必要が出てきます。

3 憲法改正が必要である。両議院の議員の定数は、法律事項とされています(43条2項、公職選挙法4条)。本肢のように各都道府県から一律2名ずつ議員を選挙することとすると、憲法14条1項が保障する投票価値の平等に反することになります。したがって、本肢のような改革をするためには、憲法改正が必要となります。

4 憲法改正が必要である。中立的な委員会が参議院議員を選出するということは、公選によることにはならないため、憲法43条1項に違反することになり、この43条1項を改正する必要が出てきます。

5 憲法改正は必要でない。「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」(47条)と規定されています。このためどのような選挙制度にするかについては、国会の立法裁量が認められることになります。したがって、「政党による立候補者名簿の届出不可能な選挙制度」にするとしても、憲法違反となるわけではないと解されます。

 

 

 次のア~オの記述のうち、憲法上、天皇の国事行為として認められていないものはいくつあるか。

 

ア 内閣総理大臣の指名

イ 憲法改正、法律、政令及び条約の裁可

ウ 国務大臣の任免

エ 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の決定

オ 衆議院の解散

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解4

ア 国事行為でない。内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名し、この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行います(67条1項)。

イ 国事行為でない。明治憲法下では天皇の行為として「裁可」の制度が規定されていましたが、日本国憲法では規定されていません

ウ 国事行為でない。内閣総理大臣は、国務大臣を任免します(68条)。天皇は国務大臣の任免について認証します(7条5号)。

エ 国事行為でない。天皇は、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を「認証」します(7条6号)。「決定」をするのは、内閣です(73条7号)。

オ 国事行為である。衆議院を解散することは、天皇の国事行為です(7条3号)。

 以上により、国事行為として認められていないものは、ア・イ・ウ・エの四つとなり、4が正解となります。

 

 

 次の条文の下線部①~⑤についての記述として、妥当なものはどれか。

 

第11条 ①国民は、すべての②基本的人権の享有を妨げられない。③この憲法が国民に④保障する基本的人権は、侵すことのできない⑤永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 

1 憲法13条以下で保障される諸権利のなかで、明示的に「国民」を主語としている権利については、日本に在留する外国人に対して保障が及ばないとするのが、判例である。

2 国家権力の統制下にある在監者(現.被収容者)に対しては、新聞、書籍を閲読する自由は、憲法上保障されるべきではないとするのが、判例である。

3 「この憲法」のなかには、日本国憲法のほかに、世界人権宣言や国際人権規約も当然に含まれるとするのが、判例である。

4 「学問の自由は、これを保障する」と規定する憲法23条は、大学に対して、固有権としての自治権を保障したものであるとするのが、通説である。

5 憲法改正には限界があり、この憲法が保障する基本的人権を憲法改正手続によって削除することは、論理的に許されないとするのが、通説である。

 

正解5

1 妥当でない。判例は、「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、」と判示しています(マクリーン事件。最大判昭53・10・4)。

2 妥当でない。判例は、「新聞、図書等の閲読の自由は、監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められ、かつ、障害発生の防止のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限りで、一定の制限を受ける」ことを前提として、閲読の自由が憲法上保障されるとしています(よど号記事抹消事件。最大判昭58・6・22)。

3 妥当でない。本肢の「この憲法」とは、日本国憲法を意味します。世界人権宣言や国際人権規約も当然に含まれるという判例はありません。

4 妥当でない。憲法23条は、固有権としての自治権を保障したものでなく、大学における研究教育の自由を十分に保障するために認められたものという「制度的保障」であるとするのが通説です。

5 妥当である。憲法が保障する基本的人権は、改正手続によっても改正できないという「限界説が通説です。

 

 

 法令相互の関係に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。

2 国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され、法律の議決の方がより厳格な手続を要するので、条約の国内法的効力は、法律に劣る。

3 法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできないが、緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。

4 最高裁判所は、裁判所の内部規律・司法事務処理に関し規則を制定することができるが、訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない。

5 憲法は両議院に対し自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を付与しているが、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。

 

正解5

1 妥当でない。判例は、「条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。」と判示しています(最大判昭37・5・30)。「その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。」とする本肢は妥当ではありません。

2 妥当でない。条約の承認については衆議院に先議権が認められているわけではないので、予算と同様の優越が適用されるわけではありません(61条)。また、法律と条約の優劣関係については、憲法98条2項が条約の誠実な遵守を求めていることなどを理由として、条約が法律に優位するとするのが通説です。したがって、後段の「条約の国内法的効力は、法律に劣る。」とする部分も妥当ではありません

3 妥当でない。憲法73条6号ただし書は、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と規定していますが、緊急の必要がある場合、国民に義務を課すなどを政令で行うことができる旨の規定は存在しないため、本肢は違憲となります。本肢のような例外規定が設けられていないため、「必ずしも違憲とはいえない」とは判断することができません

4 妥当でない。最高裁判所は、「訴訟に関する手続、弁護士」、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有します(77条1項)。したがって、「訴訟手続や弁護士に関する定め」を規則で定めることができます。

5 妥当である。憲法は議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を規定しています(58条2項本文)。また、国会法は、両議院と政府等の関係(同法第7章)や議院相互の関係(同法第10章)にとどまらず、議院内部の事項をも規定しています(第6章会議、第15章懲罰)。

 

 

憲法81条の定める違憲審査制の性格に関する次の文章の空欄 ア ~ エに当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 

 違憲審査制の性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、1952年のいわゆる ア 違憲訴訟判決である。ここで最高裁は次のように判示し、 ア の憲法違反を主張する原告の訴えを却下した。「わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには イ な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は イ な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し ウ な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。けだし最高裁判所は法律命令等に関し違憲審査権を有するが、この権限は司法権の範囲内において行使されるものであり、この点においては最高裁判所と下級裁判所との間に異るところはないのである(憲法76条1項参照)。……要するにわが現行の制度の下においては、特定の者の イ な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような イ 事件を離れて ウ に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」。かような性格の違憲審査制を通例は付随的違憲審査制と呼び、これを採用している最も代表的な国としては エ を挙げることができる。

[語群]

  • 1 治安維持法
  • 2 独立的
  • 3 直接的
  • 4 ドイツ
  • 5 抽象的
  • 6 一時的
  • 7 客観的
  • 8 フランス
  • 9 付随的
  • 10 オーストリア
  • 11 間接的
  • 12 アメリカ
  • 13 政治的
  • 14 不敬罪
  • 15 警察予備隊
  • 16 具体的
  • 17 終局的
  • 18 主観的
  • 19 農地改革
  • 20 イギリス
正解 ア 15 警察予備隊 イ 16 具体的 ウ 5 抽象的 エ 12 アメリカ

ア 「15 警察予備隊」が入る。最初の ア の前後には、「違憲審査制の性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、1952年のいわゆる ア 違憲訴訟判決である。」とあります。我が国において違憲審査制の性格に関して「抽象的違憲審査制」を否定し、「付随的違憲審査制」を採用したのは、警察予備隊違憲訴訟判決です。

イ 「16 具体的」が入る。判例は、違憲審査性の性格として「付随的違憲審査制」を採用しています。したがって、「司法権が発動するためには イ な争訟事件が提起されることを必要とする」の イ には「具体的」が入ります。

ウ 「5 抽象的」が入る。「 イ 事件を離れて ウ に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」とされているため、 イ に「具体的」が入り、ウ には「抽象的」が入ります。

エ 「12 アメリカ」が入る。付随的違憲審査制を採用している代表的な国は「アメリカ」です。語群にはドイツ・フランスなどの大陸法系のヨーロッパ諸国がありますが、これらの国は「抽象的違憲審査制」を採用しているといわれています。

 

 

 立法に関する次の記述のうち、必ずしも憲法上明文では規定されていないものはどれか。

 

1 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

2 内閣は、法律案を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

3 両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない。

4 両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

5 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

 

正解2

1 規定されている。「出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない」と憲法57条3項に規定されています。

2 規定されていない。「内閣は、「毎会計年度の予算」を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」(憲法86条)という規定はありますが、本肢のような憲法上の明文の規定はありません。なお、内閣法5条は、内閣の法律案提出権を認めていますが、これが国会単独立法の原則に反しないか問題となっています。これに関しては、合憲と解するのが多数説です。

3 規定されている。「両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない」と法51条に規定されています。

4 規定されている。「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と憲法56条1項に規定されています。

5 規定されている。「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と憲法59条2項に規定されています。

 

 

 憲法の概念に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 通常の法律より改正手続が困難な憲法を硬性憲法、法律と同等の手続で改正できる憲法を軟性憲法という。ドイツやフランスの場合のように頻繁に改正される憲法は、法律より改正が困難であっても軟性憲法に分類される。

2 憲法の定義をめぐっては、成文の憲法典という法形式だけでなく、国家統治の基本形態など規定内容に着目する場合があり、後者は実質的意味の憲法と呼ばれる。実質的意味の憲法は、成文の憲法典以外の形式をとって存在することもある。

3 憲法は、公権力担当者を拘束する規範であると同時に、主権者が自らを拘束する規範でもある。日本国憲法においても、公務員のみならず国民もまた、憲法を尊重し擁護する義務を負うと明文で規定されている。

4 憲法には最高法規として、国内の法秩序において最上位の強い効力が認められることも多い。日本国憲法も最高法規としての性格を備えるが、判例によれば、国際協調主義がとられているため、条約は国内法として憲法より強い効力を有する。

5 憲法には通常前文が付されるが、その内容・性格は憲法によって様々に異なっている。日本国憲法の前文の場合は、政治的宣言にすぎず、法規範性を有しないと一般に解されている。

 

正解2

1 妥当でない。「通常の法律より改正手続が困難な憲法を硬性憲法、法律と同等の手続で改正できる憲法を軟性憲法という。」という本肢前半部分は妥当です。一方、頻繁に改正される憲法だから、法律より改正が困難であったとしても軟性憲法に分類されるわけではないので、本肢後半部分は妥当ではありません。

2 妥当である。実質的意味の憲法とは、成文憲法や不文憲法といった存在形式を問わず、憲法の内容による概念です

3 妥当でない。憲法99条の憲法尊重擁護の義務の規定には、「国民」は含まれていません。

4 妥当でない。判例は、条約について、「一見極めて明白に違憲無効」であると認められない限り、司法審査は及ばないものとしています(砂川事件。最大判昭34・12・16)。このことは、条約が例外的に憲法違反の判断の対象となり得ることを前提としています。したがって、「条約は国内法として憲法より強い効力を有する」とする本肢は妥当ではありません。

5 妥当でない。前文は、憲法典の一部を構成するものであり、憲法本文の各条項と同様に法規範性を有し、憲法改正手続によらなければ改正することができないと一般に解されています。

 

 

 議員の地位に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。

2 両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、憲法が定めるところにより、院外における現行犯の場合でも逮捕されない。

3 両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については司法審査が及ばないが、除名処分については、一般市民法秩序と関連するため、裁判所は審査を行うことができる。

4 地方議会の自律権は、法律上認められたものであるため、裁判所は、地方議会による議員への懲罰について審査を行うことができない。

5 地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない。

 

正解1

1 妥当である。衆議院名簿登載者又は参議院名簿登載者で、当選人とならなかったものにつき除名、離党その他の事由により当該衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出が、文書で、選挙長にされているときは、これを当選人と定めることができないとされています(公職選挙法98条3項)。以上により、上記の届出がされているものは、繰上補充の対象となりません

2 妥当でない。両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければなりません(憲法50条)。この法律の定める場合とは、各議院の議員は、①院外における現行犯罪の場合、②院の許諾がある場合です(国会法33条)。したがって、両議院の議員は、院外における現行犯の場合には逮捕されます。

3 妥当でない。憲法58条2項は、「両議院は、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする」と規定し、各議院に、議員の懲罰権を認めています。懲罰権は、各議院の権能であり、各議院の判断が最終的なものであって、議員の除名について裁判所の審査は及びません

4 妥当でない。最高裁判所は、「地方議会議員の出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができる。」と判示しています(地方議会議員懲罰事件。最大判令2・11・25)。したがって、「地方議会による議員への懲罰について審査を行うことができない。」とする本肢は妥当ではありません。

5 妥当でない。最高裁判所は、「憲法上、国権の最高機関たる国会について、広範な議院自律権を認め、ことに、議員の発言について、憲法51条に、いわゆる免責特権を与えているからといって、その理をそのまま直ちに地方議会にあてはめ、地方議会についても、国会と同様の議会自治・議会自律の原則を認め、さらに、地方議会議員の発言についても、いわゆる免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はない。」と判示しています(最大判昭42・5・24)。

 

 

次の文章の空欄 ア ・ イ に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

 憲法で、国会が国の「唯一の」立法機関であるとされるのは、憲法自身が定める例外を除き、 ア 、かつ、 イ を意味すると解されている。

           ア           イ
内閣の法案提出権を否定し
(国会中心立法の原則) 
議員立法の活性化を求めること
(国会単独立法の原則)
国権の最高機関は国会であり
 (国会中心立法の原則)
内閣の独立命令は禁止されること
(国会単独立法の原則)
法律は国会の議決のみで成立し
(国会単独立法の原則) 
天皇による公布を要しないこと
(国会中心立法の原則)
国会が立法権を独占し
(国会中心立法の原則)
法律は国会の議決のみで成立すること
(国会単独立法の原則)
国権の最高機関は国会であり
(国会中心立法の原則)
立法権の委任は禁止されること
(国会単独立法の原則)

正解4

 国会は、国権の最高機関であって、国の「唯一」の立法機関です(憲法41条)。国会が「唯一」の立法機関であるとは、国会が立法権を独占し、国会以外の機関による立法を認めないこと国会中心立法の原則)及び立法の手続は国会においてのみ行われ、国会以外の機関が立法手続に関与することはできないこと国会単独立法の原則)を意味します。以上から空欄に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものは4となります

 

4月12日現在

終了レッスン数:502

総学習時間:106時間3120