こんにちは、おっさんです。

今日は早く起きたけど

ベッドで1時間ほどゴロゴロして

さっきようやく重い腰を動かして

机に向かいました。

今日も勉強頑張ります。

 

セレクト過去問集-民法2

の結果は、11問中、2問正解でした。

 

 

 不動産と登記に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし妥当なものはどれか。

 

1 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Bが甲土地をCに売却したが、いまだに登記がAにある場合に、Bは、甲土地に対する所有権を喪失しているので、Aに対して移転登記を請求することはできない。

2 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Aが重ねて甲土地を背信的悪意者Cに売却し、さらにCが甲土地を悪意者Dに売却した場合に、第一買主Bは、背信的悪意者Cからの転得者であるDに対して登記をしていなくても所有権の取得を対抗できる。

3 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却し、Bは、その後10年以上にわたり占有を継続して現在に至っているが、Bが占有を開始してから5年が経過したときにAが甲土地をCに売却した場合に、Bは、Cに対して登記をしなくては時効による所有権の取得を対抗することはできない。

4 Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却したが、同売買契約が解除され、その後に、甲土地がBからCに売却された場合に、Aは、Cに対して、Cの善意悪意を問わず、登記をしなくては所有権の復帰を対抗することはできない。

5 Aの所有する甲土地につきAがBに対して遺贈する旨の遺言をして死亡した後、Aの唯一の相続人Cの債権者DがCを代位してC名義の所有権取得登記を行い、甲土地を差し押さえた場合に、Bは、Dに対して登記をしていなくても遺贈による所有権の取得を対抗できる。

 

正解4

1 妥当でない。不動産がAからBへ、BからCへと譲渡された場合、Aに登記が残っていれば、Bは、Aに対して自己へ登記を移転するように請求することができます(大判大5・4・1)。

2 妥当でない。不動産の二重譲渡において、第一の買主は背信的悪意者である第二の買主に登記なくして対抗できますが、当該第二の買主から転得者に転売されて登記が完了した場合、転得者自身が第一の買主に対する関係で背信的悪意者と評価されない限り第一の買主は登記なくして転得者に対抗することができません(最判平8・10・29)。

3 妥当でない。Cは時効完成時の所有者であり、CとBは物権変動について当事者と同様の関係にあるため、Bは、Cに対して登記をしていなくても時効による所有権の取得を対抗することができます(最判昭41・11・22)。

4 妥当である。不動産売買契約が解除され、不動産の所有権が売主に復帰した場合、売主は登記をしなければ、解除に買主から不動産を取得した第三者に対して、所有権の復帰を対抗することができません(最判昭35・11・29)。この場合、第三者の善意悪意を問いません。

5 妥当でない。不動産の遺贈を受けた者はその旨の所有権移転登記をしなければ第三者に対抗することができません(最判昭39・3・6)。

 

 

 A・Bが不動産取引を行ったところ、その後に、Cがこの不動産についてBと新たな取引関係に入った。この場合のCの立場に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合に、Cは善意・無過失であれば登記を備えなくても保護される。

2 AからBに不動産の売却が行われた後に、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消したにもかかわらず、Bがこの不動産をCに転売してしまった場合に、Cは善意・無過失であっても登記を備えなければ保護されない。

3 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される。

4 AからBに不動産の売却が行われたが、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Bから解除後にその不動産を買い受けたCは、善意であっても登記を備えなければ保護されない。

5 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、A・Bの取引がA・Bにより合意解除された場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない。

 

正解3

1 妥当である。詐欺による意思表示の取消しは、取消し前の善意・無過失の第三者に対抗することができません(96条3項)。この場合、判例は、善意・無過失の第三者について対抗要件(登記)を備えることまでは要求していません(最判昭49・9・26)。したがって、Cは善意・無過失であれば登記を備えなくても保護されます。

2 妥当である。取り消した者と取消し後に利害関係を有するに至った第三者との関係は、「対抗関係」となり、登記を先に備えた方が優先します(大判昭17・9・30)。したがって、Cは善意・無過失であっても登記を備えなければ保護されません。

3 妥当でない。解除前の第三者は、善意・悪意にかかわらず民法545条1項ただし書によって保護されますが、判例は、第三者が保護されるには登記を備える必要があるとしています(最判昭33・6・14)。したがって、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されません。

4 妥当である。判例は、解除権者と解除後の第三者の関係は対抗関係に立つとしています(最判昭35・11・29)。したがって、Cは、善意であっても登記を備えなければ保護されません。

5 妥当である。不動産の売買契約が合意解除された場合も、判例は、民法545条1項の趣旨により、合意解除前の第三者は、所有権の登記がなければ保護されないとしています(最判昭33・6・14)。したがって、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されません。

 

 

 不動産の取得時効と登記に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 不動産の取得時効の完成後、占有者が登記をしないうちに、その不動産につき第三者のために抵当権設定登記がなされた場合であっても、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したときは、特段の事情がない限り、占有者はその不動産を時効により取得し、その結果、抵当権は消滅する。

2 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成する前に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができない。

3 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができず、このことは、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したとしても、特段の事情がない限り、異ならない。

4 不動産の取得時効の完成後、占有者が、その時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して時効を主張するにあたり、起算点を自由に選択して取得時効を援用することは妨げられない。

5 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後にその不動産を譲り受けて登記をした者に対して、その譲受人が背信的悪意者であるときには、登記がなくても時効取得をもって対抗することができるが、その譲受人が背信的悪意者であると認められるためには、同人が当該不動産を譲り受けた時点において、少なくとも、その占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していたことを要する。

 

正解1

1 妥当である。不動産を時効取得しても、時効取得者は、登記をしなければ時効完成後に旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対抗することができません(最判昭33・8・28)が、その時効取得者である占有者がさらに占有を継続して時効が完成したときは、登記がなくてもその第三者に時効取得を対抗することができます(最判昭36・7・20)。本肢のケースにおいて、判例は、抵当権設定登記を受けた第三者に対しても、同じことがいえるとして時効取得を認め、その結果、抵当権は消滅するとしています(最判平24・3・16)。

2 妥当でない。時効完成の不動産の譲受人と時効取得者は、物権変動について当事者の関係に立つため、時効取得者は、登記なくして、取得時効を対抗することができます(最判昭41・11・22)。

3 妥当でない。時効完成の不動産の譲受人と時効取得者は、対抗関係に立ち、先に登記を受けた者が当該不動産の所有権を取得することができます(最判昭33・8・28)。しかし、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続した場合には、登記を経由しなくとも時効取得を対抗することができます(肢1参照。最判昭36・7・20)。

4 妥当でない。取得時効を援用する者は、占有開始時を任意に選択することはできません(最判昭35・7・27)。

5 妥当でない。判例は、「甲が取得時効の成立要件を充足していることをすべて具体的に認識していなくても、背信的悪意者と認められる場合があるというべきであるが、その場合であっても、少なくとも、乙が甲による多年にわたる占有継続の事実を認識している必要がある」としています(最判平18・1・17)。したがって、「少なくとも、その占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していたことを要する」というわけではありません。

 

 

 次のア~オのうち、Aの所有するそれぞれの物について、Bが即時取得(民法192条)によりその所有権を取得できる可能性がある場合は、いくつあるか。

 

ア Aがその所有する建物をCに賃貸していたところ、Cがその建物を自己の所有する建物としてBに売却した場合

イ Aの所有する山林に生育する立木について、Bがその山林および立木を自己の所有するものであると誤信して、その立木を伐採した場合

ウ 成年被後見人Aは、その所有するパソコンをBに売却したが、Bは、Aが成年被後見人である事実について善意・無過失であった場合

エ Aの所有する自転車をCが借りた後に駅前駐輪場に停めていたところ、Bがその自転車を自己の自転車と誤信して、その自転車の使用を継続した場合

オ Aの所有する宝石をCが盗み出し、CがこれをBに売却したが、Bは、その宝石が盗品である事実について善意・無過失であった場合

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解1

ア 可能性なし。即時取得の目的物は、動産に限られます(192条)。

イ 可能性なし。即時取得が成立するためには、動産の占有を「取引行為」によって取得したことが必要です。自己の所有するものであると誤信して、その立木を伐採しても取引行為によるものではないため即時取得は認められません(大判昭7・5・18)。

ウ 可能性なし。制限行為能力者から取得した場合には即時取得は適用されません。

エ 可能性なし。即時取得が成立するためには、「取引行為」によって占有を取得したことが必要です(イ参照)。自分の自転車と誤信して占有することは、「取引行為」によるものではないため即時取得は認められません。

オ 可能性あり。無権利者から「取引行為」によって占有を取得しているため、即時取得が成立します。ただし、Aは盗難の時から2年間であればその返還を請求することができます(193条)。

 

 

 占有権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 土地の所有者が自己所有地を他人に賃貸して土地を引き渡した場合、土地の占有権は賃借人に移転するから、所有者は土地の占有権を失う。

2 動産の質権者が占有を奪われた場合、占有回収の訴えによって質物を取り戻すことができるほか、質権に基づく物権的請求権によっても質物を取り戻すことができる。

3 だまされて任意に自己所有の動産を他人に引き渡した者は、占有回収の訴えを提起してその動産を取り戻すことができる。

4 土地賃借人である被相続人が死亡した場合、その相続人は、賃借地を現実に支配しなくても賃借人の死亡により当然に賃借地の占有権を取得する。

5 Aが横浜のB倉庫に置いてある商品をCに売却し、B倉庫の経営会社に対して以後はCのために商品を保管するように通知した場合、B倉庫会社がこれを承諾したときに占有権はAからCに移転する。

 

正解4

1 妥当でない。土地の所有者は、土地を賃貸して引き渡した場合でも、賃借人を通して引き続きその土地を代理占有(間接占有)することになります(181条)。したがって、土地を賃貸して引き渡しても占有権を失うわけではありません。

2 妥当でない。動産の質権者が占有を奪われた場合には、質権者は占有回収の訴えによってのみ質物を回復することができます(353条)。質権に基づく物権的請求権による取戻請求は認められていません。

3 妥当でない。占有回収の訴は、占有を奪われた場合にその侵害の排除を求める権利です(200条1項)。だまされて任意に引き渡したときは、占有を奪われたとはいえないため、占有回収の訴えは提起することはできません。

4 妥当である。土地を占有していた被相続人が死亡し相続が開始した場合には、特別の事情のないかぎり、被相続人の占有は相続人によって相続されます(最判昭44・10・30)。

5 妥当でない。指図による占有移転は、占有代理人によって占有をする場合に、本人が占有代理人に対して後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者が承諾することによって、その第三者に占有権が移転するというものです(184条)。したがって、承諾をするのは、Cであって、B倉庫会社ではありません。

 

 

 A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。この場合に関する次のア~エの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものをすべて挙げた組合せはどれか。

 

ア CがAのカメラを即時取得するのは、Bの占有に公信力が認められるからであり、その結果、Bがカメラの所有者であったとして扱われるので、Cの所有権はBから承継取得したものである。

イ Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は推定されるのに対して、無過失は推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。

ウ Bは、Cにカメラを売却し、以後Cのために占有する旨の意思表示をし、引き続きカメラを所持していた場合、Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得するが、現実の引渡しを受けるまでは、その所有権の取得は確定的ではなく、後に現実の引渡しを受けることによって確定的に所有権を取得する。

エ Bは、Cにカメラを売却する前にカメラをDに寄託していたが、その後、BがCにカメラを売却するに際し、Dに対して以後Cのためにカメラを占有することを命じ、Cがこれを承諾したときは、たとえDがこれを承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得する。

 

1 ア・イ

2 ア・イ・ウ

3 ア・ウ・エ

4 イ・ウ・エ

5 ウ・エ

 

ア 妥当でない。即時取得が成立するには、所有権その他の処分の権限を有しない者から取引行為によって動産の占有を取得することが必要です。したがって、即時取得は、承継取得(他人の権利に基づいて権利を取得すること)ではなく、「原始取得」です。

イ 妥当でない。占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定されるため(188条)、占有取得者は自己に過失のないことを立証する必要はありません(最判昭41・6・9)。したがって、Cは無過失の占有であることを立証する必要はありません。

ウ 妥当でない。判例は、即時取得が成立するためには、一般外観上従来の占有状態に変更が生じるような占有の取得が必要であり、一般外観上変更がない占有改定の方法による取得では足りないとしています(最判昭35・2・11)。Cは、占有改定により占有を取得しただけでは、「一応即時取得によりカメラの所有権を取得する」ことにはなりません。

エ 妥当である。判例は、指図による占有移転によっても即時取得が認められるとしています(最判昭57・9・7)。指図による占有移転においては、譲受人である第三者の承諾があれば足り、占有代理人の承諾は不要です(184条)。したがって、譲受人である第三者Cが承諾したときは、占有代理人であるDが承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得します。

 以上により、妥当でないものは、ア・イ・ウとなり、2が正解となります。

 

 

 美術商Aは、画廊に保管しておいた自己所有の絵画が盗難に遭い、悔しい思いをしていたが、ある日、Bが運営する個人美術館を訪ねた際、そこに盗まれた絵画が掲げられているのを発見した。Aは、その絵画を回収するため次のような行動をとることを考えている。Bに即時取得が成立しているとして、Aの行動に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、Cは商人ではないものとする。

 

1 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画は、ある日それまで面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであることがわかった。Aは、買取りの日から2年以内であれば、Bに対して、その絵画の買取請求権を行使することができる。

2 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画は、ある日それまで面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであることがわかった。Aは、買取りの日から2年以内であれば、Bに対して、保管に要した費用を支払って、その絵画の引渡しを求めることができる。

3 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画は、ある日それまで面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであることがわかった。Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対してまったく無償で、その絵画の引渡しを求めることができる。

4 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画はBがオークションで落札したものであることがわかった。Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対して保管に要した費用を支払って、その絵画の引渡しを求めることができる。

5 Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画はBがオークションで落札したものであることがわかった。Aは、オークションの日から2年を超えても、Bに対してオークションで落札した金額と保管に要した費用を支払えば、その絵画の引渡しを求めることができる。

 

1 誤り。占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができます(193条)。「買取りの日」から2年以内ではありません。

2 誤り。被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、回復請求することができます(193条)。回復請求する場合には、無償で請求することができます

3 正しい。盗品又は遺失物の回復請求は、占有者が競売(オークション)若しくは公の市場等において善意で買い受けている場合を除き、無償ですることができます(193条、194条)。

4 誤り。占有者が、盗品又は遺失物を競売(オークション)若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けたときは、回復者は、その「代価」を弁償しなければ、回復請求することができません(194条)。

5 誤り。占有者が盗品又は遺失物の回復請求をできるのは、「盗難又は遺失の時から2年間」とされています(193条)。

 

正解3

1 誤り。占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができます(193条)。「買取りの日」から2年以内ではありません。

2 誤り。被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時」から2年間、回復請求することができます(193条)。回復請求する場合には、無償で請求することができます

3 正しい。盗品又は遺失物の回復請求は、占有者が競売(オークション)若しくは公の市場等において善意で買い受けている場合を除き、無償ですることができます(193条、194条)。

4 誤り。占有者が、盗品又は遺失物を競売(オークション)若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けたときは、回復者は、その「代価」を弁償しなければ、回復請求することができません(194条)。

5 誤り。占有者が盗品又は遺失物の回復請求をできるのは、「盗難又は遺失の時から2年間」とされています(193条)。

 

 

 所有権の原始取得に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 Aは、B所有の土地をBの所有であると知りつつ所有の意思をもって平穏かつ公然に10年間占有した場合に、その土地の所有権を取得する。

2 Aの所有する動産とBの所有する動産が付合して分離することが不可能になった場合において、両動産について主従の区別をすることができないときには、AとBは、当然に相等しい割合でその合成物を共有するものとみなす。

3 BがAの所持する材料に工作を加えて椅子を完成させた場合に、その椅子の所有権は、AとBとの取決めに関係なく、Aに帰属する。

4 Bの所有する動産がAの所有する不動産に従として付合した場合に、AとBは、AとBとの取決めに関係なく、Aの不動産の価格とBの動産の価格の割合に応じてその合成物を共有する。

5 Aは、所有者のいない動産を所有の意思をもって占有を始めた場合に、その動産の所有権を取得する。

 

正解5

1 妥当でない。「20年間」、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、所有権を時効取得することができます(162条1項)。悪意の場合には、「20年間」占有する必要があります。

2 妥当でない。付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における「価格の割合に応じて」その合成物を共有します(244条)。「相等しい割合」ではありません。

3 妥当でない。加工物の所有権は、原則として、材料の所有者に帰属しますが、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得します(246条1項)。しかし、付合、混和、加工に関する規定は任意規定であり(大判大6・6・13)、当事者の取決めがあればその取決めが優先します。

4 妥当でない。不動産の所有者は、原則として、その不動産に従として付合した物(動産)の所有権を取得しますが、他人が権原によって動産を附属させたときは、その動産の所有権は他人に帰属します(242条)。付合、混和、加工に関する規定は任意規定であり(大判大6・6・13)、当事者の取決めがあればその取決めが優先します。

5 妥当である。所有者のいない動産(無主の動産)は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得します(無主物先占、239条1項)。

 

 

 A・B・Cの3人が、甲土地、乙土地、丙土地のすべてについて、どれも3分の1ずつの持分権をもって共有している場合の共有物分割に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

 

ア 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

イ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

ウ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

エ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

オ 甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

 

1 ア・イ

2 ア・オ

3 イ・ウ

4 ウ・エ

5 エ・オ

 

正解3

ア 妥当でない。各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができますが、5年を超えない期間内で分割禁止の契約をすることもできます(256条1項ただし書)。

イ 妥当。判例は、分割の対象となる共有物が多数の不動産である場合には、一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの部分を各共有者の単独所有とすることも、現物分割の方法として許されるとしています(最大判昭62・4・22)。したがって、Aが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることもできます。

ウ 妥当。判例は、共有者が多数である場合、その中のただ一人でも分割請求をするときは、直ちにその全部の共有関係が解消されるものと解すべきではなく、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残すことも許されるとしています(最大判昭62・4・22)。したがって、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることもできます。

エ 妥当でない。判例は、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(いわゆる全面的価格賠償の方法)によることも許されるとしています(最判平8・10・31)。「持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない」わけではありません。

オ 妥当でない。判例は、共有者間に持分の譲渡があっても、その登記がないため、譲受人が持分の取得を他の共有者に対抗できないときは、共有者全員に対する関係においては、その持分はなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割を命ずべきであるとしています(最判昭46・6・18)。したがって、Aは、B及びCに対して分割請求ができます。

 

 

 甲土地を所有するAとその隣地の乙土地を所有するBとの間の相隣関係に関する記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、次の各場合において、別段の慣習は存在しないものとする。

 

1 Aは、境界線から1メートル未満の距離*において乙土地を見通すことができる窓または縁側(ベランダも含む)を設けることができるが、その場合には、目隠しを付さなければならない。

2 甲土地に所在するAの竹木の枝が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、原則として、自らその枝を切除することができる。

3 甲土地に所在するAの竹木の根が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、その根を切除することはできず、Aにその根を切除させなければならない。

4 AおよびBが甲土地および乙土地を所有する前から甲土地と乙土地の境界に設けられていた障壁は、AとBの共有に属するものと推定されるが、その保存の費用は、A・B間に別段の約定がない限り、AとBが、甲土地と乙土地の面積の割合に応じて負担する。

5 甲土地内のAの建物の屋根から雨水が直接に乙土地に注がれる場合に、Bは、その雨水が注がれることを受忍しなければならない。

 (注)*その距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

 

正解1

1 正しい。境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければなりません(235条1項)。

2 誤り。土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、原則として、その竹木の「所有者」に、その枝を切除させることができます(233条1項)。急迫の事情があるときなどの場合でなければ、自ら切除することはできません(233条3項)。

3 誤り。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、自らその根を切除することができます(233条4項)。

4 誤り。土地の境界に設けられた障壁は、相隣者の共有に属するものと推定されます(民法229条)が、面積の割合に応じて負担する旨の規定はありません。

5 誤り。土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはなりません(218条)。したがって、Bは、雨水が注がれることを受忍する必要はありません。

 

 

 A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に築造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

 

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消された。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を築造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

1 ア・イ 

2 ア・エ 

3 ア・オ 

4 イ・ウ 

5 ウ・エ

 

正解4

ア 妥当である。各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います(253条1項)。この場合において、共有者が1年以内に当該義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(253条2項)。したがって、A及びBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができます。

イ 妥当でない。本肢の場合、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消されていますが、D名義の登記がなされています。この場合、当該登記は不実の登記でありその抹消請求は、保存行為としてA及びBが単独で行うことができるとするのが判例です(最判昭31・5・10、最判平15・7・11)。

ウ 妥当でない。土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができません(282条1項)。したがって、本肢の場合、Aは自分の持分について単独で地役権を消滅させることはできません。

エ 妥当である。共有者の一人であるCが、死亡して相続人がないときは、その共有持分は内縁の妻(特別縁故者)への分与の対象となります(958条の2)。そして、Eに分与されないときにはじめてその持分は、他の共有者A及びBに帰属するとするのが判例です(255条。最判平成元・11・24)。したがって、本肢は妥当です。

オ 妥当である。甲土地上に乙建物が存在し、いずれもA、B及びCの共有であり共有者が同意の上で、そのうちの甲土地について共同抵当権を設定し、その後甲土地の抵当権が実行され、甲土地と乙建物の所有者が別々になっています。このことは、乙建物のために法定地上権が成立するための要件を満たしています(388条)。

 

 

4月16日現在

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