こんにちは、おっさんです。

競馬の騎手さんが、35歳という若さでお亡くなりになりました。

彼には奥さんも子供さんもいて

さぞ無念でしたでしょうね。

おっさんもやり残すことが無い様に

毎日。精いっぱい生きていこうとあらためて思いました。

 

セレクト過去問集-憲法4

の結果は24問中、9問正解でした。

 

憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 これと同様の定式は近代憲法に広く見られ、大日本帝国憲法でも採用されている。

2 この定式は、近代の国民代表議会の成立に伴い、国民とその代表者との政治的意思の一致を法的に確保する目的で、命令委任の制度とともに導入されたものである。

3 政党は国民の中の一党派であり、全国民を代表するものではないため、議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。

4 議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない、との原則は、自由委任の原則と呼ばれる。

5 選挙は現代では政党間の選択としての意味を持つため、現行法上、議員は所属政党から離脱した時は自動的に議員としての資格を失うものとされている。

 

正解4

1 妥当でない。大日本帝国憲法下における帝国議会は貴族院衆議院に分かれていました。貴族院は、非公選の皇族などから構成されており、衆議院立法権については天皇の大権に属していたため、いずれも、「全国民の代表」に関する定式は採用されていません

2 妥当でない。命令委任の制度とは、議員が当選後も有権者の命令に拘束されるという中世の考え方です。憲法43条1項の「全国民の代表」の考え方として「政治学的代表」とそれを補う「社会学的代表」がありますが、「社会学的代表」であっても、有権者が議員を拘束することはできませんので、「自由委任の原則」が妥当します。以上により、全国民の代表が「命令委任の制度とともに導入された」わけではないので、本肢は妥当ではありません。

3 妥当でない。現代の政党は国家意思の形成に主導的な役割を果たします。その政党に所属する議員は政党の決定に従って行動することによって国民の代表者としての任務を果たすことができます。そのため、議員が党議拘束に服するとしても、自由委任の枠外であると解されています。

4 妥当である。議員は、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されず、議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきという考えは自由委任の原則の説明として妥当です。

5 妥当でない。衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員が当選後、選挙時の所属政党以外の政党に移動したときは、議員としての資格を失います(公職選挙法99条の2)。これは比例代表選出議員に限定された規定であり、現行法上、議員全般が所属政党から離脱した時は自動的に資格を失うとの規定はありません。

 

 

内閣に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。

2 憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。

3 内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。

4 法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

5 内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。

 

正解4

1 妥当でない。国務大臣は、内閣総理大臣が任命し、その過半数は国会議員の中から選ばなければならない旨の規定はありますが(68条1項)、任命の際に国会の同意を得る旨の規定はありません

2 妥当でない。憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことについては定めていません。

3 妥当でない。憲法は明文で、「国務大臣はその在任中逮捕されず」とは定めていません。

4 妥当である。法律及び政令には、すべて主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣の連署が必要とされています(74条)。

5 妥当でない。憲法66条3項は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。」と規定しています。したがって、内閣は、参議院に対しても連帯責任を負います。

 

 

 内閣の「責任」について書かれた次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

1 日本国憲法における内閣は、衆議院に対してのみ「責任」を負うのであり、参議院に対しては「責任」を負っていない。

2 日本国憲法は内閣の「連帯責任」を強調しており、特定の国務大臣に対して単独の「責任」を負わせることは認めていない。

3 明治憲法では、君主に対する内閣の「連帯責任」のみが規定されており、衆議院に対する「責任」は想定されていなかった。

4 内閣の「責任」のとり方は任意かつ多様であるべきなので、日本国憲法の下で総辞職が必要的に要求されることはない。

5 大臣に対する弾劾制度を認めない日本国憲法においては、内閣に対して問われる「責任」は、政治責任であって狭義の法的責任ではない。

 

正解5

1 適切でない。内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負います(66条3項)。国会は衆議院と参議院で構成されていますので、「衆議院に対してのみ「責任」を負う」わけではありません

2 適切でない。憲法66条3項の内閣の「連帯責任」は、特定の国務大臣が所管事項に関して単独で責任(個人責任)を負うことを否定されるわけではないと解されています。したがって、個々の国務大臣に対して、不信任議決をすることより、責任を負わせることは可能とされています。なお、当該不信任議決により、直接辞職をさせるような法的効力はありません。

3 適切でない。明治憲法では、国務大臣が単独で天皇に対して責任を負うこととされていました(明治憲法55条)。「君主に対する内閣の「連帯責任」のみが規定されて」いたわけではありません

4 適切でない。憲法69条及び70条では、一定の事由が生じた場合には、内閣は総辞職をすることが必要的に要求されています。

5 適切である。日本国憲法は、大臣に対する弾劾制度についての規定をしていません。また、内閣に対して問われる憲法66条3項の責任は、「法的責任」ではなく、「政治責任」と解されています。

 

 

 衆議院と参議院の議決に一致がみられない状況において、クローズアップされてくるのが両院協議会の存在である。日本国憲法の定めによると、両院協議会を必ずしも開かなくてもよいとされている場合は、次のうちどれか。

 

1 衆議院が先議した予算について参議院が異なった議決を行った場合

2 内閣総理大臣の指名について衆参両院が異なった議決を行った場合

3 衆議院で可決された法律案を参議院が否決した場合

4 衆議院が承認した条約を参議院が承認しない場合

5 参議院が承認した条約を衆議院が承認しない場合

 

正解3

1 必ず開かなければならない。「予算」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(60条2項)。

2 必ず開かなければならない。「内閣総理大臣の指名」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(67条2項)。

3 必ずしも開かなくてもよい。「法律案」に関しては、両院協議会を開くことを「求めることができる」にすぎません(59条3項)。

4 必ず開かなければならない。「条約」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(憲法61条、60条2項)。

5 必ず開かなければならない。「条約」に関しては、必ず両院協議会を開催しなければなりません(憲法61条、60条2項、国会法85条2項)。

 

 

 議事手続は、最終的には各議院の自律権にゆだねられる問題だとしても、憲法が定める定足数のハードルの低さを考慮に入れると、ごく少数の議員のみによって議決が成立することのないように配慮しつつ、多数決による議決の成立可能性を確保するよう慎重な考慮が求められる。次に掲げるのは、かつて衆議院における議事手続について争われた事例である。そこで採られるべき妥当な解決として、先例および通説の立場を示すのは、次の1~5の記述のうちどれか。

 

 1948年10月14日、衆議院における内閣総理大臣指名の手続において、以下のような投票が行われた。

 

議員定数   466

吉田茂    184票

片山哲     87票

その他     43票

白票      86票

1 総議員の過半数に達したものがいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

2 白票を投じたものも出席議員数に算入した上で、出席議員の過半数に達したものがいないため、上位2名による決選投票になる。

3 出席議員の3分の2以上の票を集めた候補がいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

4 白票には賛否いずれの意思表示も含まれていないから、白票を除いて計算すると、出席議員の過半数に達した吉田茂が直ちに指名される。

5 衆議院ではいずれの候補も過半数に達しないため、参議院の指名を国会の指名とする。

 

正解2

1 誤り。両議院における議事は、憲法に特別の定めがある場合を除き、出席議員の過半数で決します(56条2項)。本肢は「総議員の過半数に達したものがいない」としているため誤りです。

2 正しい。衆議院規則では、白票も出席議員数に算入され、出席議員の過半数に達したものがいない場合には、上位2名による決選投票になると定められています。

3 誤り。両議院における議事は、憲法に特別の定めがある場合を除き、出席議員の過半数としており、「出席議員の3分の2以上」ではありません(56条2項)。

4 誤り。衆議院規則では、白票も出席議員数に算入されます。したがって、184票しか獲得していない吉田茂は、出席議員(184+87+43+86=400)の過半数を獲得していないため、直ちに指名されることはありません。

5 誤り。衆議院規則では、過半数を獲得した者がいない場合には、上位2名によって決選投票を行うこととされています。したがって、「参議院の指名を国会の指名とする」のではありません。

 

 

 次のア~オのうち、議院の権能として正しいものはいくつあるか。

 

ア 会期の決定

イ 議員の資格争訟

ウ 裁判官の弾劾

エ 議院規則の制定

オ 国政に関する調査

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解3

ア 議院の権能ではない。国会の会期には、常会、臨時会及び特別会があります。常会はその会期が150日間と定められています(国会法10条)。臨時会と特別会は、両議院一致の議決で定めることとされているため(国会法11条)、国会の権能といえます。


イ 議院の権能である。議員の資格争訟の裁判権議院の権能です(55条)。


ウ 議院の権能ではない。弾劾裁判所の設置国会の権能です(64条)。そして、設置された弾劾裁判所は裁判官の弾劾を行う権能を有します。したがって、議院の権能ではありません。


エ 議院の権能である。議院規則制定権は、議院の権能です(58条2項)。


オ 議院の権能である。国政調査権は、議院の権能です(62条)。


 以上により、議院の権能は、イ・エ・オの三つとなり、3が正解となります。

 

 内閣に関する憲法の規定の説明として正しいものはどれか。

 

1 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から、国会の議決で指名する。

2 国務大臣は、内閣総理大臣の指名に基づき、天皇が任命する。

3 内閣は、衆議院で不信任の決議案が可決されたとき、直ちに総辞職しなければならない。

4 内閣は、総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない。

5 内閣は、総辞職の後、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行う。

 

正解5

1 誤り。内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、指名されます(67条1項)。「衆議院議員」だけを対象としているわけではありません。

2 誤り。国務大臣は、内閣総理大臣が任命します(68条1項本文)。天皇は認証するだけです(7条5号)。

3 誤り。内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければなりません(69条)。「直ちに総辞職しなければならない」わけではありません

4 誤り。内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければなりません(70条)。「総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない」わけではありません。

5 正しい。内閣が総辞職した場合でも、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行うものとされています(71条)。

 

 

 次の記述のうち、憲法の規定に照らし、正しいものはどれか。

 

1 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。

2 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、開会後直ちにこれを釈放しなければならない。

3 両議院の議員は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

4 国務大臣は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。

5 国務大臣は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、問責決議によらなければ罷免されない。

 

正解1

1 正しい。国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されません(75条本文)。

2 誤り。会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければなりません(50条)。したがって、「開会後直ちにこれを釈放しなければならない」わけではありません。

3 誤り。憲法上、両議院の議員は、裁判官と異なり報酬を減額されないことまでは保障されていません(49条、79条6項、80条2項)。

4 誤り。両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われません(51条)。しかし、国務大臣にはこのような免責特権に関する規定はありません。

5 誤り。内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができます(68条2項)。裁判や問責決議によって罷免されるのではありません。

 

 

次のア~オの記述のうち、日本国憲法に規定されているものは、いくつあるか。

 

ア 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

イ 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

ウ 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

エ 何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

オ 刑事事件について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解4

ア 48条に規定されています。

イ 20条2項に規定されています。

ウ 14条2項に規定されています。

エ 34条に規定されています。

オ 本条文は、裁判所法3条3項に関するものであり、日本国憲法には規定されていません

 以上により、日本国憲法に規定されているものはア・イ・ウ・エの4つであり、4が正解となります。

 

 

 司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 具体的な権利義務ないしは法律関係に関する紛争であっても、信仰対象の価値または教義に関する判断が前提問題となる場合には、法令の適用による解決には適さず、裁判所の審査は及ばない。

2 大学による単位授与行為(認定)は、純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断にゆだねられるべきものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有すると認めるにたる特段の事情がない限り、裁判所の審査は及ばない。

3 衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埒外にあり、裁判所の審査は及ばない。

4 政党の結社としての自律性からすると、政党の党員に対する処分は原則として自律的運営にゆだねるべきであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限りは、裁判所の審査は及ばない。

5 地方議会議員の出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができる。

 

正解3

1 妥当である。最高裁判所は、「訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関する判断が訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものであり、紛争の核心となっている場合には、当該訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであって、裁判所法3条にいう法律上の争訟にあたらない。」と判示しています(板まんだら事件。最判昭56・4・7)。

2 妥当である。最高裁判所は、「一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成しているのであるから、単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならない。」と判示しています(富山大学事件。最判昭52・3・15)。

3 妥当でない。最高裁判所は、「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、法律上の争訟となり、有効無効の判断が法律上可能である場合であっても、裁判所の審査権の外にあり、」と判示しています(苫米地事件。最大判昭35・6・8)。本肢の「その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埒外にあり」とする記述は妥当ではありません。

4 妥当である。最高裁判所は、「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。」と判示しています(共産党除名処分。最判昭63・12・20)。

5 妥当である。最高裁判所は、「地方議会議員の出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができる。」と判示しています(地方議会議員懲罰事件。最大判令2・11・25)。

 

 

 日本国憲法第7章の財政に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

1 内閣は、災害救助等緊急の必要があるときは、当該年度の予算や国会が議決した予備費によることなく、閣議の決定によって財政上必要な支出をすることができる。

2 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

3 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

4 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

5 すべて皇室の費用は、予算に計上することを要し、かつ、国会の議決を経なければならない。

 

正解1

1 誤り。国費の支出は「国会の議決」に基くことが必要です(85条)。また、予見し難い予算の不足に充てるため、「国会の議決」に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができます(87条1項)。本肢のように予備費によることなく、「閣議の決定」だけで支出をすることはできません

 

2 正しい。内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければなりません(86条)。

3 正しい。国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければなりません(90条1項)。

4 正しい。予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができます(87条1項)。

5 正しい。すべて皇室財産は、国に属し、すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければなりません(88条後段)。

 

 

 司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でないものはどれか。

 

1 大学は、国公立であると私立であるとを問わず、自律的な法規範を有する特殊な部分社会を形成しているから、大学における法律上の紛争は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、その自主的・自律的な解決にゆだねられる。

2 法律が、国会の両議院によって議決を経たものとされ、適法な手続によって公布されている場合、裁判所は両院の自主性を尊重して、法律制定の際の議事手続の瑕疵について審理しその有効無効を判断するべきではない。

3 政党の結社としての自主性にかんがみれば、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであり、政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判は及ばない。

4 衆議院の解散がいかなる場合に許されるかは、裁判所の判断すべき法的問題であるのに対して、これを行うために憲法上必要とされる助言と承認の手続に瑕疵があったか否かは、国家統治の基本に関する政治的な問題であるため、裁判所の審査権は及ばない。

5 具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、宗教上の教義に関する判断などが必要で、事柄の性質上法令の適用により解決するのに適しないものは、裁判所の審判の対象となりえない。

 

正解4

1 妥当である。最高裁判所の判例では、大学は、「一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成しているから、単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならない。」と判示しています(富山大学事件。最判昭52・3・15)。

2 妥当である。最高裁判所の判例では、「法律が両院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべく制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきでない。」と判示しています(警察法改正無効事件。最大判昭37・3・7)。

3 妥当である。最高裁判所の判例では、「政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限り、裁判所の審判は及ばない」と判示しています(共産党除名処分事件。最判昭63・12・20)。

4 妥当でない。最高裁判所の判例では、衆議院の解散は、裁判所の審査権の外にあるとされています(苫米地事件判決。最大判昭35・6・8)。したがって、「衆議院の解散がいかなる場合に許されるかは、裁判所の判断すべき法的問題である」とする本肢は妥当ではありません。

5 妥当である。最高裁判所の判例では、訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断が必要であり、それが訴訟の帰すうを左右するものであるときには、その訴訟は法律上の争訟に当たらないとされています(板まんだら事件。最判昭56・4・7)。

 

 

 国家機関の権限についての次のア~エの記述のうち、妥当なものをすべて挙げた組合せはどれか。

 

ア 内閣は、実質的にみて、立法権を行使することがある。

イ 最高裁判所は、実質的にみて、行政権を行使することがある。

ウ 衆議院は、実質的にみて、司法権を行使することがある。

エ 国会は、実質的にみて、司法権を行使することがある。

 

1 ア・ウ

2 ア・イ・エ

3 ア・ウ・エ

4 イ・ウ・エ

5 ア・イ・ウ・エ

 

正解5

ア 妥当である。内閣は、政令を制定することができます(73条6号)。このことから実質的にみて、立法権を行使することがあるといえます。

イ 妥当である。憲法上明文の規定はありませんが、76条以下の解釈によって、司法権の独立を強化するために、最高裁判所は司法行政に関する最高の権限を有するものとされています。したがって、最高裁判所は、実質的にみて、行政権を行使することがあるといえます。

ウ 妥当である。両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判することがあります(55条本文)。このことから、衆議院は、実質的にみて、司法権を行使することがあるといえます。

エ 妥当である。罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するための弾劾裁判所は、国会が設置し(64条1項)、実際の弾劾裁判は裁判員として選ばれた国会議員が行います。以上により、国会は、実質的にみて、司法権を行使することがあると言い切るのは難しいことになります。

 しかし、肢エを妥当でないとすると、正解とすべき「ア・イ・ウ」という選択肢がないため、本肢も妥当とせざるをえません。

 以上より、妥当なものをすべて挙げた組合せはア・イ・ウ・エとなり、5が正解となります。

 

 

 次のア~エの記述のうち、租税法律主義を定める憲法84条についての最高裁判所の判例の考え方を示すものとして、正しいものの組合せはどれか。

 

ア 国または地方公共団体が、特別の給付に対する反対給付として徴収する金銭は、その形式を問わず、憲法84条に規定する租税に当たる。

イ 市町村が行う国民健康保険の保険料は、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるから、憲法84条は直接適用される。

ウ 国民健康保険税は、目的税であって、反対給付として徴収されるものではあるが形式が税である以上は、憲法84条の規定が適用される。

エ 市町村が行う国民健康保険の保険料は、租税以外の公課ではあるが、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するので、憲法84条の趣旨が及ぶ。

 

1 ア・イ

2 ア・ウ

3 イ・ウ

4 イ・エ

5 ウ・エ

 

正解5

ア 誤り。判例は、「租税」とは、特別の給付に対する「反対給付でない」こととしています(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

イ 誤り。判例は、国民健康保険の保険料は、「反対給付として」徴収されるものであるので、憲法84条の規定が「直接に適用されることはない」としています(84条の趣旨は及びます)(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

ウ 正しい。判例は、国民健康保険税は、目的税であって、反対給付として徴収されるものであるが、形式が税である以上は、憲法84条の規定が「適用される」としています(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

エ 正しい。国民健康保険は、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、憲法84条の「趣旨が及ぶ」としています(旭川市国民健康保険条例事件。最大判平18・3・1)。

 以上により、正しいものはウ・エとなり5が正解となります。

 

 

 財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。

2 予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。

3 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。

4 予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。

5 国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。

 

1 妥当でない。国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とします(85条)。「必ずしも国会の議決に基づく必要はない」とする本肢は妥当ではありません

2 妥当でない。国会の予算の修正権について、特に減額修正は、財政民主主義の原則が確立していること(83条)から限界がないとされています。したがって、「国会は予算を修正することができず」とする本肢は妥当ではありません。3 妥当である。予見し難い予算の不足にあてるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができ(87条1項)、すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければなりません(87条2項)。

4 妥当でない。予算の公布は、天皇の国事行為として規定されていません(憲法7条1号参照)。

5 妥当でない。国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査するため(90条1項)、歳入の決算についても、会計検査院の検査を受ける必要があります。

 

 

 参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強めるために、次の記述のような改革が提案されたとする。この中で、最高裁判所の判例を前提とした場合、憲法改正が必要ではないと考えられるものはどれか。

 

1 各都道府県の知事・副知事その他知事の任命する職員が参議院議員となる。

2 都道府県議会議員が参議院議員を選挙する。

3 参議院の議員定数を削減し、各都道府県から2名ずつ議員を選挙する。

4 中立的な委員会が学識経験に優れた者を参議院議員に選出する。

5 政党による立候補者名簿の届出が不可能な選挙制度にする。

 

正解5

1 憲法改正が必要である。本肢のように、公選をされずに職員が参議院議員となることは、憲法43条1項に違反するため、この43条1項を改正する必要が出てきます。

2 憲法改正が必要である。本肢のような「複選制」を採用する場合には、憲法43条1項に違反するため、この43条1項を改正する必要が出てきます。

3 憲法改正が必要である。両議院の議員の定数は、法律事項とされています(43条2項、公職選挙法4条)。本肢のように各都道府県から一律2名ずつ議員を選挙することとすると、憲法14条1項が保障する投票価値の平等に反することになります。したがって、本肢のような改革をするためには、憲法改正が必要となります。

4 憲法改正が必要である。中立的な委員会が参議院議員を選出するということは、公選によることにはならないため、憲法43条1項に違反することになり、この43条1項を改正する必要が出てきます。

5 憲法改正は必要でない。「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」(47条)と規定されています。このためどのような選挙制度にするかについては、国会の立法裁量が認められることになります。したがって、「政党による立候補者名簿の届出不可能な選挙制度」にするとしても、憲法違反となるわけではないと解されます。

 

 

 次のア~オの記述のうち、憲法上、天皇の国事行為として認められていないものはいくつあるか。

 

ア 内閣総理大臣の指名

イ 憲法改正、法律、政令及び条約の裁可

ウ 国務大臣の任免

エ 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の決定

オ 衆議院の解散

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解4

ア 国事行為でない。内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名し、この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行います(67条1項)。

イ 国事行為でない。明治憲法下では天皇の行為として「裁可」の制度が規定されていましたが、日本国憲法では規定されていません

ウ 国事行為でない。内閣総理大臣は、国務大臣を任免します(68条)。天皇は国務大臣の任免について認証します(7条5号)。

エ 国事行為でない。天皇は、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を「認証」します(7条6号)。「決定」をするのは、内閣です(73条7号)。

オ 国事行為である。衆議院を解散することは、天皇の国事行為です(7条3号)。

 以上により、国事行為として認められていないものは、ア・イ・ウ・エの四つとなり、4が正解となります。

 

 

 次の条文の下線部①~⑤についての記述として、妥当なものはどれか。

 

第11条 ①国民は、すべての②基本的人権の享有を妨げられない。③この憲法が国民に④保障する基本的人権は、侵すことのできない⑤永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 

1 憲法13条以下で保障される諸権利のなかで、明示的に「国民」を主語としている権利については、日本に在留する外国人に対して保障が及ばないとするのが、判例である。

2 国家権力の統制下にある在監者(現.被収容者)に対しては、新聞、書籍を閲読する自由は、憲法上保障されるべきではないとするのが、判例である。

3 「この憲法」のなかには、日本国憲法のほかに、世界人権宣言や国際人権規約も当然に含まれるとするのが、判例である。

4 「学問の自由は、これを保障する」と規定する憲法23条は、大学に対して、固有権としての自治権を保障したものであるとするのが、通説である。

5 憲法改正には限界があり、この憲法が保障する基本的人権を憲法改正手続によって削除することは、論理的に許されないとするのが、通説である。

 

正解5

1 妥当でない。判例は、「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、」と判示しています(マクリーン事件。最大判昭53・10・4)。

2 妥当でない。判例は、「新聞、図書等の閲読の自由は、監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められ、かつ、障害発生の防止のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限りで、一定の制限を受ける」ことを前提として、閲読の自由が憲法上保障されるとしています(よど号記事抹消事件。最大判昭58・6・22)。

3 妥当でない。本肢の「この憲法」とは、日本国憲法を意味します。世界人権宣言や国際人権規約も当然に含まれるという判例はありません。

4 妥当でない。憲法23条は、固有権としての自治権を保障したものでなく、大学における研究教育の自由を十分に保障するために認められたものという「制度的保障」であるとするのが通説です。

5 妥当である。憲法が保障する基本的人権は、改正手続によっても改正できないという「限界説が通説です。

 

 

 法令相互の関係に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。

2 国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され、法律の議決の方がより厳格な手続を要するので、条約の国内法的効力は、法律に劣る。

3 法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできないが、緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。

4 最高裁判所は、裁判所の内部規律・司法事務処理に関し規則を制定することができるが、訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない。

5 憲法は両議院に対し自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を付与しているが、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。

 

正解5

1 妥当でない。判例は、「条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。」と判示しています(最大判昭37・5・30)。「その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。」とする本肢は妥当ではありません。

2 妥当でない。条約の承認については衆議院に先議権が認められているわけではないので、予算と同様の優越が適用されるわけではありません(61条)。また、法律と条約の優劣関係については、憲法98条2項が条約の誠実な遵守を求めていることなどを理由として、条約が法律に優位するとするのが通説です。したがって、後段の「条約の国内法的効力は、法律に劣る。」とする部分も妥当ではありません

3 妥当でない。憲法73条6号ただし書は、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と規定していますが、緊急の必要がある場合、国民に義務を課すなどを政令で行うことができる旨の規定は存在しないため、本肢は違憲となります。本肢のような例外規定が設けられていないため、「必ずしも違憲とはいえない」とは判断することができません

4 妥当でない。最高裁判所は、「訴訟に関する手続、弁護士」、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有します(77条1項)。したがって、「訴訟手続や弁護士に関する定め」を規則で定めることができます。

5 妥当である。憲法は議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を規定しています(58条2項本文)。また、国会法は、両議院と政府等の関係(同法第7章)や議院相互の関係(同法第10章)にとどまらず、議院内部の事項をも規定しています(第6章会議、第15章懲罰)。

 

 

憲法81条の定める違憲審査制の性格に関する次の文章の空欄 ア ~ エに当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 

 違憲審査制の性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、1952年のいわゆる ア 違憲訴訟判決である。ここで最高裁は次のように判示し、 ア の憲法違反を主張する原告の訴えを却下した。「わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには イ な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は イ な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し ウ な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。けだし最高裁判所は法律命令等に関し違憲審査権を有するが、この権限は司法権の範囲内において行使されるものであり、この点においては最高裁判所と下級裁判所との間に異るところはないのである(憲法76条1項参照)。……要するにわが現行の制度の下においては、特定の者の イ な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような イ 事件を離れて ウ に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」。かような性格の違憲審査制を通例は付随的違憲審査制と呼び、これを採用している最も代表的な国としては エ を挙げることができる。

[語群]

  • 1 治安維持法
  • 2 独立的
  • 3 直接的
  • 4 ドイツ
  • 5 抽象的
  • 6 一時的
  • 7 客観的
  • 8 フランス
  • 9 付随的
  • 10 オーストリア
  • 11 間接的
  • 12 アメリカ
  • 13 政治的
  • 14 不敬罪
  • 15 警察予備隊
  • 16 具体的
  • 17 終局的
  • 18 主観的
  • 19 農地改革
  • 20 イギリス
正解 ア 15 警察予備隊 イ 16 具体的 ウ 5 抽象的 エ 12 アメリカ

ア 「15 警察予備隊」が入る。最初の ア の前後には、「違憲審査制の性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、1952年のいわゆる ア 違憲訴訟判決である。」とあります。我が国において違憲審査制の性格に関して「抽象的違憲審査制」を否定し、「付随的違憲審査制」を採用したのは、警察予備隊違憲訴訟判決です。

イ 「16 具体的」が入る。判例は、違憲審査性の性格として「付随的違憲審査制」を採用しています。したがって、「司法権が発動するためには イ な争訟事件が提起されることを必要とする」の イ には「具体的」が入ります。

ウ 「5 抽象的」が入る。「 イ 事件を離れて ウ に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」とされているため、 イ に「具体的」が入り、ウ には「抽象的」が入ります。

エ 「12 アメリカ」が入る。付随的違憲審査制を採用している代表的な国は「アメリカ」です。語群にはドイツ・フランスなどの大陸法系のヨーロッパ諸国がありますが、これらの国は「抽象的違憲審査制」を採用しているといわれています。

 

 

 立法に関する次の記述のうち、必ずしも憲法上明文では規定されていないものはどれか。

 

1 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

2 内閣は、法律案を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

3 両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない。

4 両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

5 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

 

正解2

1 規定されている。「出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない」と憲法57条3項に規定されています。

2 規定されていない。「内閣は、「毎会計年度の予算」を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」(憲法86条)という規定はありますが、本肢のような憲法上の明文の規定はありません。なお、内閣法5条は、内閣の法律案提出権を認めていますが、これが国会単独立法の原則に反しないか問題となっています。これに関しては、合憲と解するのが多数説です。

3 規定されている。「両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない」と法51条に規定されています。

4 規定されている。「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と憲法56条1項に規定されています。

5 規定されている。「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と憲法59条2項に規定されています。

 

 

 憲法の概念に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

 

1 通常の法律より改正手続が困難な憲法を硬性憲法、法律と同等の手続で改正できる憲法を軟性憲法という。ドイツやフランスの場合のように頻繁に改正される憲法は、法律より改正が困難であっても軟性憲法に分類される。

2 憲法の定義をめぐっては、成文の憲法典という法形式だけでなく、国家統治の基本形態など規定内容に着目する場合があり、後者は実質的意味の憲法と呼ばれる。実質的意味の憲法は、成文の憲法典以外の形式をとって存在することもある。

3 憲法は、公権力担当者を拘束する規範であると同時に、主権者が自らを拘束する規範でもある。日本国憲法においても、公務員のみならず国民もまた、憲法を尊重し擁護する義務を負うと明文で規定されている。

4 憲法には最高法規として、国内の法秩序において最上位の強い効力が認められることも多い。日本国憲法も最高法規としての性格を備えるが、判例によれば、国際協調主義がとられているため、条約は国内法として憲法より強い効力を有する。

5 憲法には通常前文が付されるが、その内容・性格は憲法によって様々に異なっている。日本国憲法の前文の場合は、政治的宣言にすぎず、法規範性を有しないと一般に解されている。

 

正解2

1 妥当でない。「通常の法律より改正手続が困難な憲法を硬性憲法、法律と同等の手続で改正できる憲法を軟性憲法という。」という本肢前半部分は妥当です。一方、頻繁に改正される憲法だから、法律より改正が困難であったとしても軟性憲法に分類されるわけではないので、本肢後半部分は妥当ではありません。

2 妥当である。実質的意味の憲法とは、成文憲法や不文憲法といった存在形式を問わず、憲法の内容による概念です

3 妥当でない。憲法99条の憲法尊重擁護の義務の規定には、「国民」は含まれていません。

4 妥当でない。判例は、条約について、「一見極めて明白に違憲無効」であると認められない限り、司法審査は及ばないものとしています(砂川事件。最大判昭34・12・16)。このことは、条約が例外的に憲法違反の判断の対象となり得ることを前提としています。したがって、「条約は国内法として憲法より強い効力を有する」とする本肢は妥当ではありません。

5 妥当でない。前文は、憲法典の一部を構成するものであり、憲法本文の各条項と同様に法規範性を有し、憲法改正手続によらなければ改正することができないと一般に解されています。

 

 

 議員の地位に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。

2 両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、憲法が定めるところにより、院外における現行犯の場合でも逮捕されない。

3 両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については司法審査が及ばないが、除名処分については、一般市民法秩序と関連するため、裁判所は審査を行うことができる。

4 地方議会の自律権は、法律上認められたものであるため、裁判所は、地方議会による議員への懲罰について審査を行うことができない。

5 地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない。

 

正解1

1 妥当である。衆議院名簿登載者又は参議院名簿登載者で、当選人とならなかったものにつき除名、離党その他の事由により当該衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出が、文書で、選挙長にされているときは、これを当選人と定めることができないとされています(公職選挙法98条3項)。以上により、上記の届出がされているものは、繰上補充の対象となりません

2 妥当でない。両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければなりません(憲法50条)。この法律の定める場合とは、各議院の議員は、①院外における現行犯罪の場合、②院の許諾がある場合です(国会法33条)。したがって、両議院の議員は、院外における現行犯の場合には逮捕されます。

3 妥当でない。憲法58条2項は、「両議院は、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする」と規定し、各議院に、議員の懲罰権を認めています。懲罰権は、各議院の権能であり、各議院の判断が最終的なものであって、議員の除名について裁判所の審査は及びません

4 妥当でない。最高裁判所は、「地方議会議員の出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができる。」と判示しています(地方議会議員懲罰事件。最大判令2・11・25)。したがって、「地方議会による議員への懲罰について審査を行うことができない。」とする本肢は妥当ではありません。

5 妥当でない。最高裁判所は、「憲法上、国権の最高機関たる国会について、広範な議院自律権を認め、ことに、議員の発言について、憲法51条に、いわゆる免責特権を与えているからといって、その理をそのまま直ちに地方議会にあてはめ、地方議会についても、国会と同様の議会自治・議会自律の原則を認め、さらに、地方議会議員の発言についても、いわゆる免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はない。」と判示しています(最大判昭42・5・24)。

 

 

次の文章の空欄 ア ・ イ に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

 憲法で、国会が国の「唯一の」立法機関であるとされるのは、憲法自身が定める例外を除き、 ア 、かつ、 イ を意味すると解されている。

           ア           イ
内閣の法案提出権を否定し
(国会中心立法の原則) 
議員立法の活性化を求めること
(国会単独立法の原則)
国権の最高機関は国会であり
 (国会中心立法の原則)
内閣の独立命令は禁止されること
(国会単独立法の原則)
法律は国会の議決のみで成立し
(国会単独立法の原則) 
天皇による公布を要しないこと
(国会中心立法の原則)
国会が立法権を独占し
(国会中心立法の原則)
法律は国会の議決のみで成立すること
(国会単独立法の原則)
国権の最高機関は国会であり
(国会中心立法の原則)
立法権の委任は禁止されること
(国会単独立法の原則)

正解4

 国会は、国権の最高機関であって、国の「唯一」の立法機関です(憲法41条)。国会が「唯一」の立法機関であるとは、国会が立法権を独占し、国会以外の機関による立法を認めないこと国会中心立法の原則)及び立法の手続は国会においてのみ行われ、国会以外の機関が立法手続に関与することはできないこと国会単独立法の原則)を意味します。以上から空欄に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものは4となります

 

4月12日現在

終了レッスン数:502

総学習時間:106時間3120