24/06/23 筒井康隆 霊長類 南へ | ptureのブログ

小粋なショートかと思って読み始める。1話目。急に見たくなくなる占い師の話。2話目。職場で喧嘩になりはずみで核ミサイルをはなってしまう中国。ショートにしてはキレが悪いなと思ったら、そのまま続いた。あっという間に核戦争が始まるというか、世界中の都市が滅びてる。どういうわけか東京は今のところ無事なれど、人々はパニックに。その描写が凄まじい。核や放射能で死ぬ前にみな、どこかに逃げようとして死ぬ。交通事故なんて生易しいものじゃない。自棄になって好きなことをする。しかし、警官に排除される。内閣もヘリで逃げようとするけど、結局、ヘリに乗れない人たちに阻まれて爆発とか。いや、この本めちゃ怖いんですけど。南極ならばと観測船に数十万の市民が押し寄せ、なんとか乗り込む。凄惨の一言。人の上に人が重なり、皆圧死するというのが、一番ひどかったな。でもそこまで人は身勝手じゃないよな。多くの災害を見ていく中で特に日本人は尊厳を持っていると思うよ。この作家もそんなことは承知だったのか、どうなのか。にしても、傑出したストーリーテラーっているもんなんだあ。1969年に書かれたみたいだけど、全く古ぼけてない。でもなんとも懐かしいレトロな感じもして、郷愁にかられる。記憶の奥底にある、家族とデパートに行ったときみたいな。助けてください。私の主人はIBMの重役ですっていうセリフが笑えた。おもしろかったー。