LIVE「TAMAYURA 新宿 2024.6.22」 | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

TAMAYURA  新宿AiSOTOPE LOUNGE 2024.6.22

TAMAYURA。このグループは現実とノスタルジーの狭間に存在し、そこから更に未来を描き出そうとしている。

 

2024年6月22日、新宿AiSOTOPE LOUNGEでTAMAYURAの始動ライヴが開催された。メンバーは絵門未羽氏と唯野真椎氏の2人。AiVER.からの派生ユニットとして誕生したグループである。

 

アーティスト写真が公開されて驚いた。2人が着用しているのは、何と令名の和歌 時代の衣装である。デビューに先駆け、披露する候補曲も公開されている。そこには令名の和歌のみならず、平成-HiraNari-、白と黒のマテリアルの名前がある。

 

「令和の時代に和歌を歌うアイドル・グループ」として結成された令名の和歌に対し、平成-HiraNari-は平成最後の日、2019年4月30日にデビューしたグループ。翌2020年5月、パンデミックの混乱の中、惜しくも1年の活動に幕を下ろした。白と黒のマテリアルは、かつて絵門氏が在籍していたグループだ。

 

どのようなステージが行われるのか興味津々の中、デビュー日を迎えている。会場のAiSOTOPE LOUNGEは、新宿二丁目にある。AiVER.としてはホールを中心にライヴ活動を展開しているが、今回は久々にライヴハウス。TAMAYURAは14時からの出演だ。

 

SEが流れて絵門氏と唯野氏が登場した。衣装はアーティスト写真と同じく、令名の和歌のもの。2022年1月から11月の活動終了まで使用された最終衣装である。1曲目は、その令名の和歌の楽曲「神楽姫」であった。

 

だが、冒頭からハプニングが発生する。イントロで絵門氏が観客に挨拶するも、マイクが声を拾っておらず客席側に聴こえていない。動きからするとマイク本体のスイッチがオフになっていたのではなく、PA卓のフェーダーが下げられたままだったのではなかろうか。

 

絵門氏はマイクを使わず、生声で観客に挨拶。歌パートに入る頃には問題が解消されたようで、無事に絵門氏と唯野氏の声がスピーカーから出ている。パフォーマンスが開始されると楽曲面でもヴィジュアルでも懐かしさを感じつつ、TAMAYURA用にアレンジされた細かな点も見逃せない。

 

オリジナルは6人による歌割、及びダンス・フォーメーションであるが、それが2人用に変更されていた。また時間の都合か2番がカットされたショート・ヴァージョンで披露されている。中盤の「皆さん、一緒に遊びましょう!」の掛け声をきっかけに「鬼さん こちら 手の鳴る方へ」パートに突入するのは、古くからの伝統的手法である。

 

歌い終えると挨拶MCへ。話の流れからすると絵門氏は「神楽姫」の冒頭で、今日がデビュー・ライヴであると伝えたかったようだ。2022年の衣装でありつつ、AiVER.の話題などが出ると今が2024年であると実感。このステージ上には様々な時間軸が交差している。

 

2曲目は、平成-HiraNari-が2ndシングルとして世に送り出した「星の徒花」。曲が始まると、しっとりとした空気が場内に充満した。遠くを指差して星を描く、唯野氏の動きと表情は「星の煌めき」という歌詞を表現したものでありドラマティックだ。尚、この曲は後に歌詞が差し替えられG’ASHの「オキナグサ」として披露されている。

 

ラストは「Summer Rainbow」。白と黒のマテリアルの楽曲だ。アップテンポな曲調に場内は熱い盛り上がりとなり、夏をイメージした爽やかな風が吹き抜ける中、ライヴは幕を下ろした。

 

TAMAYURAというグループ名の由来は何か。唯野氏に伺うと「儚さや美しさを表現した名前」らしい。その意味はライヴという空間を通して、より深みを増す事となった。

 

今やステージで歌われる事の無い楽曲を、改めて持ち出し大々的に披露する。音楽は聴き手の思い出と共に存在している。当時をリアルタイムで体験したファンにとっては懐かしく、ややノスタルジックと言える。

 

TAMAYURA結成の意図について「これまでのアイドル活動の中で、いろいろな曲を歌ってきました。いい曲がいっぱいあります。それらを改めて今のファンに聴いてもらいたい。」と絵門氏は言う。

 

時間の経過によって埋もれている名曲に光を当てる。これがTAMAYURAの軸であり精神性のようだ。ただ懐かしいだけではなく、初めて聴くファンにとっては新しい。また披露される名曲群は、現在の絵門氏と唯野氏によってアップデートされている点にも注目したい。

 

歴史を継承し、それを未来に繋ぐグループ。それがTAMAYURAである。

 

セット・リスト

 

SE

①神楽姫

②星の徒花

③Summer Rainbow