PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

聖飢魔Ⅱ「THE GRATE BLACK MASS TOUR  Season Ⅱ」 東京国際フォーラム 2026.6.9

・・・続き。

 

3曲の演奏を終え、デーモン閣下のトーク。「期間限定暫定解除、Season Ⅱへようこそ!」と述べ「首洗って来たんだろうな!」「どこの首だ?」という、今や恒例となったコール&レスポンスが行われた。

 

更に「こんなヨボヨボのナニでもいいのか?」「ナニはビンビンだぜ!」と意味深なワードが続き「ナニって何?」と言う。「ナニとは強い精神力だ!」との事で、これは下ネタでは無かったのだ(?)。

 

次に演奏する曲に関連したフリから「Cub The A.I.」がスタート。ドライヴ感の溢れるギター・リフが場内を躍動させる。スクリーンには動物の目を模ったイメージ映像が映し出された。

 

「Cub」の意味を調べると、肉食動物の子ども、幼獣とある。更に「吾輩は猫である」と歌い出しにあるので、これは猫の目に違いない。これらを踏まえると、イントロでニャ~ォ、もしくはミャ~ォという声が入っている意図が理解できる。

 

本曲でのデーモン閣下は、マイクスタンドを使っての歌唱。と言うのも、サビにある「Cub」「Love」というワードは、腕でCやLを表現した振り付けを行い、観客も同じ動きを行う。ツアーを通して、振り付けが確立し定着する予感に満ちている。

 

中盤では、カミソリ・シュート氏がシンフォニックなサウンドでメロディを弾き、そこからジェイル代官のギター・ソロに突入。御承知のように、ジェイル代官は手術をしているため、首にコルセットを着用しているものの、パフォーマンスはいつも通りにダイナミックだ。

 

演奏が終わって暗転した場内に、ニャ~ォ、ミャ~ォという声が何度も響き、客席から笑いがあった。先ほどの「Cub The A.I.」内で聴ける声である。曲間のお遊びといった感じだろう。

 

デーモン閣下が「I See You!」とタイトル・コールを行い、ルーク参謀とジェイル代官がツイン・ギターのハーモニーを奏でる。そこから楽曲はアップテンポに発展した。サビではルーク参謀のコーラスが聴ける。今ツアーでもルーク参謀は、耳掛けタイプのマイクを使っているので、その分、動きの制限がなくステージを移動できる。

 

2番のサビでデーモン閣下のシャウトが炸裂。続いて、ルーク参謀がステージ中央まで来てギター・ソロを披露した。タッピングを交えたフレーズが印象的だ。ここ数年の事情を踏まえると、ルーク参謀が紡ぎ出すメロディの1音1音が心に染みるというものだ。

 

アップテンポな楽曲が続いたが、次はじっくりと聴かせる曲。カミソリ・シュート氏が、キーボードで美しいメロディを弾く。続いて、ジェイル代官がRENO氏の方を向き、両名がタイミングを合わせて「Is Everything In Reverse?」の冒頭を弾き始めた。

 

ジェイル代官がエレクトリック・ギター、RENO氏はスタンドにセットされたアコースティック・ギターをプレイ。息を合わせて弾き始める光景が「バンド」らしく素晴らしい。厳密に言うと、イヤモニではカウントが聴こえているのかも知れないが。

 

本活動時からミサにおいてバラード曲は演奏されているものの、本曲はそれらとは異なる色合いを感じた。それが何か紐解くと、構成員も信者も歳を重ね「今ここで同じ時間を共有できる事は当たり前ではない」と噛み締めながら、時が流れているようだった。

 

デーモン閣下が「生きていればこそ この歌もあるさ」の部分を「このミサもあるさ」と歌い、より今という時間の重みを感じた次第。曲はエンディングに向かい、ジェイル代官が魂を込めたギター・ソロを披露。終了後、温かい拍手が響いた。

 

ここで構成員紹介へ。まずはサポート・メンバーからで、カミソリ・シュート氏が紹介される。デーモン閣下に「今日は何の髪型?」と訊かれ「ウーパールーパーです」と答える。その理由は「ウーパールーパーを飼っているから」との事。

 

次に紹介されたRENO氏も、飼っている動物についての話題を振られる。RENO氏は「昔は亀を飼っていた」と言う。

 

デーモン閣下が「ここからは正規の構成員です」と強調して進行。客席からは笑いの声があった。というのも、以前の公演でライデン殿下をサポート・メンバーとして紹介するハプニングがあったのだ。この日は、無事に正規の構成員として紹介された。

 

東京国際フォーラムが大好きと言うライデン殿下は、これまで同会場で行われたミサを振り返る。改装が決まっている国際フォーラムに「綺麗になった後、またこの会場でミサをやらせてください!」と述べた。

 

続いてゼノン和尚。食生活に気を遣い、健康にも気を遣っているというゼノン和尚は、体重が落ちたらしい。2~3キロ落ちると、眠る時の身体の重み、ジャンプする時の軽さが明らかに違うとの話だった。

 

ルーク参謀は、飼っている動物の話題にトーク・テーマを戻す。ルーク参謀も、世仮の子ども時代に亀を飼っていたらしい。ある時、亀の元気がなくなり、やがて動かなくなったので、土に埋めてお墓を作った。だが「今思うと、あれは冬眠だった可能性がある」と話した。

 

ジェイル代官は、ツアーを通して進行している「入院日記」の話。ツアーの日程が後になるほど、リハビリなど回復の話が中心となるのだが、この時は手術直後の苦しい状況が中心となった。その過酷さが伺える。

 

続く・・・。

 

 

 

 

 

 

聖飢魔Ⅱ「THE GRATE BLACK MASS TOUR  Season Ⅱ」 東京国際フォーラム 2026.6.9

2025年に開催された「THE END OF SEASON ONE」を、期間限定再集結・聖飢魔Ⅱのツアーとするなら、2026年の「Season Ⅱ」は紛れもなく聖飢魔Ⅱのツアーであった。

 

今期の大黒ミサこそ、1999年秋に行われた「LIVING LEGEND」の次に位置づけられるツアーと言え、期間限定ではない「聖飢魔Ⅱ」としての今を究極の形で表現するツアーとなった。

 

再集結以降に信者になった方にとっては、これが初めて体験する聖飢魔Ⅱの大黒ミサと言えるかも知れない。本活動時の聖飢魔Ⅱが新大教典を発布し、それに伴うツアーを行っていた頃の、前に向かって進み続ける強い精神性がここにある。

 

昨年(2025年)11月に さいたまスーパーアリーナで行われた大黒ミサの千穐楽において、デーモン閣下(Vo)より「解散しない!」という発表があり、場内は大きなどよめきと歓声に包まれた。

 

その際に告知された「Season Ⅱ」のツアーが、ゴールデンウィークの5月5日、広島公演よりスタート。そこからツアーは各地を廻り、6公演目として今回レポートする東京国際フォーラム公演に辿り着いている。

 

信者にとっては昔から馴染の深い、東京国際フォーラム。奇しくも6月9日。ロックの日に聖飢魔Ⅱのミサが行われる事となった。今や参拝券の入手が困難な聖飢魔Ⅱであるため、本公演もソールド・アウト。平日であるものの、会場の前には多くの信者・ファンが待機していた。

 

東京国際フォーラムの収容人数は、約5000人らしい。参拝券ソールド・アウトなので、5000人の来場であろう。ミサは18時30分開演予定で、ほぼ定刻にスタート。5000席を埋め尽くす場内に、ミサの開演を告げる鐘の音が鳴り響いた。

 

陰アナウンスの声は、ジェイル大橋代官(g)だ。ジェイル代官は、お子さんに今日の陰アナウンスで何を喋ればいいか相談したところ、幾つかの案を出された後「そこから先は自分で考えるんだよ」と言われたとのエピソードを披露。場内は笑いに包まれた。

 

前回、東京国際フォーラムでミサが開催されたのは、コロナ禍の声出し不可のミサだったので、ジェイル代官が先導し「SEASON ONE」を終わらせる儀式として、観客の声出しが行われる。大きな声に御満足のジェイル代官は「これでSeason Ⅱを迎えられる!」と言い、陰アナは終了。

 

暗転した場内に、軽快なリズムと笛の音が響き渡る。「Season Ⅱのテーマ」が大音量で流れ、観客はリズムに合わせて手拍子を打つ。大教典「Season Ⅱ」の最後に収録されているスタジオ音源ではなく、さいたまスーパーアリーナ公演でマーチング・バンドが演奏したヴァージョンである。

 

踏み込んで言うと、本当に埼玉公演の際に録られた音源ではなく、同アレンジを基にしてスタジオで録音されたものかも知れない。何れにしても大教典「Season Ⅱ」とは別ヴァージョンの音源が使用されていた。

 

今ツアーは、構成員が登場する姿が感動的である。ステージ・セットの後方高台に巨大なスクリーンが設置されており、明かりが点くと、そこに美しい夕焼け空が映し出される。その前に構成員5名がポーズを決めてスタンバイしている。

 

つまり、大教典「Season Ⅱ」のジャケット・デザインを、そのまま生で再現しているのだ。この粋な演出には、場内から大きな拍手と歓声があった。とにかく美しい、そしてカッコいい。更に、演出のセンスも素晴らしい。

 

デーモン閣下のみが高台に残り、楽器担当の構成員はSEの最中に階段を降りて、各ポジションにスタンバイ。この間に、RENOファウスト氏(g)とカミソリ・シュート氏(Key)も姿を見せ、定位置に就いている。

 

前回のツアーが「Season Ⅱのテーマ」で終わり、今ツアーが「Season Ⅱのテーマ」で始まる。物語の続きを感じさせる、明確な意図をもったオープニングである。SEが終わる頃には構成員のスタンバイが整っており、ゴジラの鳴き声を合図にライデン湯澤殿下(ds)がハイハットでカウントを打つ。

 

1曲目は「Kiss U Dead or Alive」だ。真っ赤な照明がステージを不気味に映し出し、ルーク篁参謀(g)、ジェイル代官が重厚なギター・サウンドを響かせる。リズム・インすると気づくが、今期の「Kiss U Dead or Alive」はスタジオ音源よりも、ややテンポを落としているようで、その分、ヘヴィでありグルーヴィである。

 

徹底的に重さとグルーヴを叩き込んだプレイで楽曲は進行。サビになると「Kiss! Kiss! Kiss!」のアクセントに合わせて、観客は拳を突き上げる。舞台に設置された巨大クリーンには唇のマークが無数に映し出されていた。

 

サウンドは重いが、デーモン閣下とRENO氏が華麗にターンする場面もあり、視覚面のインパクトも大。ワン・コーラス演奏した後、ゼノン石川和尚(b)のベースをフィーチュアしたパートがあり、ギンギンに歪んだ音作りでフレーズが弾かれている。

 

間奏では、ジェイル代官のギター・フレーズに合わせて、デーモン閣下がスキャットで歌う場面も。ジェイル代官とルーク参謀が交互にフレーズを弾き、そこからジェイル代官のギター・ソロに突入。ワイルドなパフォーマンスと共に、メロディが披露されている。

 

演奏終了後、すぐに次なる楽曲の冒頭がサンプリングで流れる。そして、デーモン閣下が突き抜けるようなシャウトを響かせた。「Next Is The Best!」だ。ライデン殿下が叩くファストなビートに乗って、観客は拳を突き上げ、髪を振り乱し、身体を揺らすなど、熱い盛り上がりを見せる。

 

特にイントロでは、ルーク参謀、ジェイル代官、そしてRENO氏のトリプル・ギターのアンサンブルが素晴らしい。デーモン閣下は、聖飢魔Ⅱの紋章が施されたフラッグを振りながら歌っている。

 

ジェイル代官のソロ、ルーク参謀のソロに続き、両名が向かい合ってハーモニーのフレーズを奏で、ラストのサビの繰り返しへ。デーモン閣下の強烈なシャウトが決まり、曲はエンディングを迎えた。

 

ムード感を演出する重低音が場内に響き渡る。暫し続いてから、音声変換されたデーモン閣下の声で「ワハハハハ!」という笑い声に続き、ジェイル代官が哀愁漂うメロディを奏でた。「地獄のMaking Love」である。

 

大教典「Season Ⅱ」の中でも、本曲はミサ・ステージを通して体験する事により、楽曲が新たな表情を見せるに違いない。進行に合わせて、スクリーンには湖や森、そして満月のイメージ映像が映し出された。「Aphroditeでも迷うSuper Moon」の世界観を、視覚効果も交えて立体的に感じさせる。

 

中盤でジェイル代官がメインのフレーズを弾き、ルーク参謀のハーモニーが重なる。両名がステージ中央で向かい合って、ギターを弾く姿が美しい。サビではリズムに合わせて、観客が手を頭上に掲げて左右に振る動きが見られた。

 

今期が初演奏の’新曲’という位置づけの楽曲であるが、ミサを通して既に楽曲がスタジオ音源以上の存在になりつつある事が伺える。

 

続く・・・。

 

 

 

 

 

 

 

ラビットビット  渋谷GAME 2026.9.12

躍動感のあるパフォーマンスでメンバーの個性が弾け、オレンジ、ピンク、レッド、イエロー・グリーン、パープルの色彩がカラフルに舞い、見る者の心を染めて行く。ラビットビットがライヴで作り出す空間は、そのような色合いに満ちている。

 

そこにブルーが加わり、ラビットビットは新たな歴史を刻み始める事となった。新メンバー 日向ゆまる氏の加入である。日向氏の加入は6月に発表され、今回の渋谷GAMEでのワンマン・ライヴが、お披露目公演となった。

 

アイドル・グループの一般的な感覚で言うと、発表からデビューまでの期間は水面下で準備が進められていると思う。だが、ラビットビットは7月のライヴより日向氏が全公演に帯同し、ライヴを見学したり、スタッフ業務を行ったり、スタンディング・フロアで踊るなど、ファンの目に触れる機会が多くあった。

 

しかしながら、帯同していたとは言え、衣装を着て、正式メンバーとしてステージでパフォーマンスを披露するのは大きな節目となる。今日が、その記念日。グループにとっても、日向氏にとっても重要なライヴであるのは間違いない。

 

注目が集まる本公演。開演は午前11時の予定であったが、来場者が多くて入り切れなかったのか、11時頃には階段に入場列が続いていた。スタンディング・フロアには多くのファンが待機し、11時10分頃からライヴがスタートした。

 

暗転と同時に、舞台前に設置されたスクリーンに、日向氏のイメージ映像が放映される。渋谷の街を歩くショット、本公演が行われる渋谷GAME周辺で撮影された映像などが見られた。今日、ここで日向氏が新メンバーとして加わる事を表現した作りと解釈できる。

 

放映が終わると、ラビットビットのライヴの幕開けを告げるSEが流れた。アコースティック・ギターのアルペジオを軸とした気品のあるSEだ。新体制で最初に披露する記念すべきナンバーは「エンドレスダンス!」であった。

 

ライヴで幾度となく歌われて来た本曲であるが、今回よりダンスのフォーメーション 及び歌割りが6人用にアップデートされている。舞台向かって右側で有栖かえで氏が歌うパートでは、これまで4人が左側で踊っていたが、今日から5人でパフォーマンスする分、賑やかである。

 

「エンドレスダンス!」に続く「デタラメンタル」でも、爆発力のあるパフォーマンスを繰り広げ、フロアとの一体感を生み出す。ライヴの開始から2曲で、既に場内は熱い空気が充満した。

 

ここで挨拶MCへ。桃絵ありさ氏、輝夜美咲氏、有栖氏、真樹冴歌氏、神志名和音氏、そして日向氏が自己紹介を行った。コメントを求められた日向氏は「緊張している」と述べ、先ほどSEが流れた際に、バック・ステージで泣いていたという裏話もあった。

 

次に歌う楽曲は、日向氏がラビットビットのファンの時代から好きな楽曲らしい。「ラップがカッコいい」と述べ、ファンは何の曲か察したようだ。タイトル・コールと共に始まったのは「必殺!マジカルパンチライン」である。

 

突き抜けるようなデジタル・サウンドに合わせて、メンバーが細やかな動きのダンスを見せる。デジタル・サウンドと、ギターのディストーション・サウンドが融合した音作りに加え、ラップ・パートも印象的だ。

 

さて、ラビットビットの楽曲は、ライヴ映えするアップテンポな曲調という共通点がありつつ、それぞれに明確な個性があるのが特徴。エモーショナルなムードを内包する「Growth!!」、和風のメロディとアイドル・ポップスの融合「カタナガリレイ」と、連続で楽曲を畳みかける。

 

特に「カタナガリレイ」は、ソーラン節を想起させる、全身を使った豪快なダンス・パフォーマンスのインパクトが大きい。歌詞の内容からして「カタナガリレイ」とは「刀狩令」であろうか。何れにしても、日本の伝統的な要素が添加されている。

 

トークを挟み、次に披露されるのが新曲と告げられる。日向氏に縁の深い作曲家の方が、グループの加入を記念して製作した楽曲らしい。タイトルは「Prologue」。ピアノ伴奏をバックに日向氏が歌い、そこからアップテンポな曲調に発展する。

 

既存曲を6人体制として披露する姿もラビットビットの「今」を感じさせるが、やはり6人体制での新曲となれば、より一層、ここから新たな章が始まった事を実感させる。

 

ラスト・スパートは「ハート!アラート!モード!」と「DESIRE」。「DESIRE」のサビにおける、高音パートを歌い上げる神志名氏の歌声が素晴らしい。ライヴは「ドリームメイク!」で幕を下ろした。

 

ラビットビットは、4周年を記念したワンマン・ライヴをZEPP SHINJUKUで開催すると発表している。既に3年以上のキャリアを持ち、歴史を築いているラビットビット。一方の日向ゆまる氏も、アイドルとして幾つかのグループに在籍してキャリアを築き、ラビットビットに加入した。

 

双方がひとつになった瞬間に生まれる化学反応、或いは魔法のような色合いは、ライヴ・パフォーマンスを通して人々を魅了する。そして次なる未来に向けて、その光が放射されるのである。

 

セット・リスト

 

SE

①エンドレスダンス!

②デタラメンタル

③必殺!マジカルパンチライン

④Growth!!

⑤カタナガリレイ

⑥Prologue

⑦ハート!アラート!モード!

⑧DESIRE

⑨ドリームメイク!

 

ソライロの涙  サウンドノート秋葉原 2026.9.11

ソライロの涙のデビュー1周年記念&新曲お披露目ライヴが、サウンドノート秋葉原で開催された。

 

シーンが細分化している現代、世の中には様々なスタイルのアイドル・グループが存在する。しかしながら、ソライロの涙は楽曲の方向性やヴィジュアルも含め、アイドルの王道を表現するスタイルで、今日(こんにち)まで歴史を築いて来た。

 

真っ直ぐであり、正統的なスタイルは、間口が広くなり過ぎた現代のアイドル・シーンの中で、逆に新鮮な輝きを放っている。

 

グループは変動の時期を経て、8月から新たに3人体制として再出発を切った。本公演で披露された新曲は、現編成として発表する最初の楽曲。1周年という節目を迎え、そこから更に次の一歩を踏み出した、グループの今を感じさせるライヴとなった。

 

会場のサウンドノート秋葉原は、ソライロの涙にとって数々の重要なライヴが行われた場所。先ごろ、夢乃くらら氏が加入した新体制お披露目ライヴが行われたのも、記憶に新しい。

 

本公演は19時30分の開演。定刻になると暗転し、ライヴがスタートした。お馴染みのSEが流れ「ソラナミ 1歳の誕生日、盛り上がって行くよ!」とフロアを煽りながら、日南未侑氏、宇井さちか氏、そして夢乃氏が登場。

 

1曲目は「君に届けたい夢」で、イントロと共にステージが明るく照らされた。細やかなフォーメーション・チェンジを繰り返しながらダンス・パフォーマンスが繰り広げられる。アップテンポな楽曲に、オープニングからフロアは熱い盛り上がりを見せた。

 

エンディングから音は止む事無く、「恋するgirl」に突入。この会場は、ステージ後方に巨大なヴィジョンがあり、映像と連動した演出も見逃せない。歌詞とパフォーマンスに合わせ、無数のハート・マークが降り注いだり、背景がピンク色に染まるなど、楽曲の持つ色合いを視覚効果も交えて作り上げている。

 

「片耳のプレイリスト」では、マリン・ブルーを基調としたライティングがステージを包み込む。サビにおける高音パートを歌い上げる日南氏と宇井氏も素晴らしいが、夢乃氏の全力のパフォーマンスと歌声も印象的。爽やかな風が吹き抜けるかの如く、楽曲が進行した。

 

歌い終えると、日南氏、夢乃氏、そして宇井氏の順で自己紹介。次は、早くも新曲を披露すると言う。話によると体力勝負の楽曲らしい。各人が定位置に就き、夢乃氏がタイトル・コール。初披露となる楽曲のタイトルは「無我夢中ラビリンス」であった。

 

デジタルによる音作りを軸としたアップテンポなナンバーで、ソライロの涙の持ち曲の中で最もテンポが速い楽曲ではなかろうか。サビでは頭上でメンバーが手を振り、フロアの観客も同じ動きを行う。

 

誰もが一緒に真似できる判り易い振り付けがある一方、メンバーそれぞれがステージ全体をフルで動き回るほど、全身を使ったダンスのフォーメーションについても特筆しておきたい。MCにおけるメンバーのコメントによれば「運動量を要する曲」らしい。キュートな楽曲であるが、そこに体力と技術力が詰め込まれた楽曲と言えそうだ。

 

一般的に見ると、音楽は芸術方面、体力はスポーツ系に分類されるはずだが、芸術を表現するためには体力を持ち合わせてこそ、初めて実現できるというもの。新曲は、その事実を証明する要素が詰め込まれている。

 

歌い終えるとメンバーは息切れしており、日南氏と宇井氏は水分補給と呼吸を整えるため、早々にバック・ステージへと捌けた。舞台に残ったのは夢乃氏のみで、1人トーク・コーナーを任されている。

 

コール&レスポンスでフロアを盛り上げたところで、日南氏と宇井氏が戻って来る。日南氏は、新曲について「動きが激しくて、リボンが取れた」と言う。本日が初披露の楽曲なので「(今後のライヴ活動を通して)曲を育てて行きたい」と、日南氏が述べている。

 

ここからはラスト・スパート。「一番星」では、メンバーが繰り出すダンス・パフォーマンスが、満天の星空の映像と共鳴してドラマティックな空間を作り上げた。「KNOCK MY HEART♡」「Radiant!!」と、盛り上がること間違いなしの楽曲を畳みかけ、本編は幕を下ろした。

 

メンバーが去った後、アンコールが沸き起こる。数分が経過したところでメンバーが再登場。2度目となる「無我夢中ラビリンス」を披露した。初回時と比較すれば、コールの導入や振り付けを一緒に行うファンの姿も多くなり、楽曲が浸透している事実を感じさせる空間だった。

 

本当のラストは「恋するgirl」。日南氏が締めの言葉を述べて、1周年記念&新曲お披露目絵ライヴは、本当に幕を下ろした。尚、アンコール内では、メンバーが客席を背にした記念撮影も行われている。

 

空は様々な表情を見せ、同じ空は二度とない。それはソライロの涙のライヴ・パフォーマンスにも同じことが言える。この日、この瞬間の空を経て、次の公演では違った空が見られるだろう。新曲「無我夢中ラビリンス」は、今後のグループの進むべき方向性を照らしている。

 

セット・リスト

 

SE

①君に届けたい夢

②恋するgirl

③片耳のプレイリスト

④無我夢中ラビリンス

⑤一番星

⑥KNOCK MY HEART♡

⑦Radiant!!

 

アンコール

・無我夢中ラビリンス

・恋するgirl

 

デストロイズ・アナハイム 76’/キッス

ここ数年「オフ・ザ・サウンド・ボード」シリーズと銘打って、キッスの未発表ライヴ音源が続々と公式商品として発売されている。

 

今回の「デストロイズ・アナハイム 76’」は同シリーズの一環ではないようだが、またひとつ貴重な音源が公式に加えられる事となった。本作は1976年8月20日、アメリカのアナハイム・スタジアムで収録されたライヴ音源である。

 

当時のキッスは、アルバム「アライヴ!~地獄の狂獣~」(1975年)がヒットし、バンドとして注目され始めた時期。デビューから暫くは「下積み」と言える期間を過ごしたキッスにとっては、正に転機が訪れていた。

 

そのチャンスを最大限に活かすべく、バンドは全身全霊を注いでアルバム「地獄の軍団」(1976年)を制作。「デトロイト・ロック・シティ」「狂気の叫び」「ベス」など、代表曲を多く収録し、今や代表作と言えるアルバムだ。

 

本作「デストロイズ・アナハイム 76’」は、その「地獄の軍団」発表後に行われたツアーのひとつ。キッスが勢いを増し、あらゆる歯車が嚙み合ってロック・シーンを大きく動かし始めていた、その瞬間を収めたライヴ作品である。

 

当時のバンドは、ポール・スタンレー(Vo.g)、ジーン・シモンズ(Vo.b)、エース・フレーリー(g)、ピーター・クリス(ds)。キッスと言えばこの顔ぶれとい誰もがイメージする、オリジナル・メンバー4人の時代だ。

 

さて、本作が公式なレコード会社から出ている以上、こういった話題に触れるのは良くないのだが、1976年のアナハイム公演はビデオ(VHS)の時代からブートレグが数多く出回っており、レコード、CDといった音源のみのタイトルも含めて、ブート収集家の定番アイテムとなっていた。

 

時代が移り変わってデジタル技術が発達し、現代ではAIを使ったサウンド・メイキングが可能になった。動画サイトを検索すると即発映像や音源に手を加えた、品質向上版のような映像音源が多種多様にアップロードされているのを見掛ける(何れも非公式アップロード)。

 

恐らくマニアは、そういった音源類もチェックしていると思うが、今回の「デストロイズ・アナハイム 76’」は、公式商品だけに、即発の非公式音源より群を抜いて音が良い事を特筆しておきたい。何せ、エディ・クレイマーがミックスを担当し、当時のマルチ・トラック・テープが使用されているらしい。

 

ヴォーカルを柱に、各楽器の音が鮮明になり、音の広がり、奥行きが素晴らしい。更にオーディエンスの歓声も良い具合にミックスされ、ライヴ盤としての臨場感も再現されている。

 

そして、最重要ポイントと言えるのが、アナハイム公演らしい部分がキッチリと残されている事だ。例えば、1曲目「デトロイト・ロック・シティ」のギター・ソロで、エースがフレーズを弾き間違える辺りなど、本公演の特徴的な部分がそのまま残されている。

 

今の時代、ピッチ補正や音の差し替えは技術的に可能であろう。しかし、敢えて差し替えていない事が作用し、ライヴ演奏のリアリティがダイレクトに感じられる。「デトロイト・ロック・シティ」は、エンディングで車のクラッシュ音が聴けるのも特徴。ここまでスタジオ版を再現した演出は、1976年のツアーのみだ。

 

オープニングに据えられた「デトロイト・ロック・シティ」を筆頭に、「暗黒の帝王」「狂気の叫び」「ドゥー・ユー・ラヴ・ミー」「雷神」が、アルバム「地獄の軍団」からの楽曲。

 

本ツアーでは新曲扱いでの披露だが、以降のライヴ及びバンドの歴史における定番曲となるので、セット・リストの組み方という点でも、ひとつの原点となるツアーに。特に「雷神」は、ジーンを象徴する1曲となる。

 

エースのギター・ソロが「コールド・ジン」の後に行われるのは、まだ「ショック・ミー」が発表されていない1976年だからこそ。「ジュース」「ファイヤーハウス」が、アンコールの位置で演奏されるも珍しい。ラストの「ブラック・ダイヤモンド」も素晴らしい。

 

全体を通してテンポが上がり、良い意味で粗い演奏なのが、当時のバンドの前に進むエネルギーを感じさせる。CDはエンボス加工で、当時の貴重な写真を掲載したブックレットもあるので、ゴージャス且つヴォリューム感のある商品に。

 

尚、本作の発売が2026年8月21日。アナハイム公演が1976年8月20日。金曜日発売という設定で1日遅れになったと思うが、ちょうど50年前に行われた伝説的ライヴの記念盤となった。