第818回「BLOODIEST 初回盤B DISC2紹介」② | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

BLOODIEST/聖飢魔Ⅱ

・・・続き。

 

②LET ME BE YOUR FRIEND

地球デビュー25周年を記念した期間限定再集結時の楽曲。「ICBM」国内ツアーが始まる直前に再録大教典「悪魔RELATIVITY」(2010年)が発布された。同作には4曲の新曲が収録されており、そのうちの1曲が本曲「LET ME BE YOUR FRIEND」である。

 

作詞はジェイル代官とデーモン閣下の共作。歌詞のテーマは「現代人にストレスを与える元凶」らしい。当時のジェイ代官のインタビューによると「デーモン閣下と2名で笑いながら歌詞を書いて楽しかった」との事。

 

「ICBM」ツアー千秋楽を収録した映像作品のMCでも語られているように、ジェイル代官が1987年に聖飢魔Ⅱを脱退した時は、決して円満ものではなかった。それを踏まえて考えると、時を経てジェイル代官が再び正式な構成員となり、デーモン閣下と笑いながら歌詞を書いている光景を想像すると感慨深いものがある。

 

歌詞の中に出て来る「オレオレ詐欺」という表現が、2010年辺りの時代性を反映している気が。今で言うとことの「振り込め詐欺」である。

 

作曲は、ジェイル代官。モータウン系の軽快なリズムでありつつ、悪魔らしいマイナー調の色合いが充満。地球デビュー30周年「続・全席死刑」ツアーでセット・リスト入りし信者を驚かせた。現在では、その大阪公演を収録した活動絵巻教典とミサ大教典で、ミサ・ヴァージョンを見聴きできる。

 

③BABIES IN THEIR DREAMS

同じく再録大教典「悪魔RELATIVITY」に収録された新曲のうちの1曲。本曲はミュージック・ヴィデオが撮影されている事から、リーダー・トラックと解釈できる。作詞曲ともにデーモン閣下。

 

聖飢魔Ⅱが本解散した後にデーモン閣下が培った音楽性が、聖飢魔Ⅱに逆輸入されたとの見方もできる。本活動時に提供した「HEAVY METAL IS DEAD」「地獄へ突撃!」「殺しの現場」辺りの楽曲はストロングなヘヴィ・メタルであるが、本曲はキャッチーな歌メロを含め一般層も聴き易い曲調に。

 

「太陽がいっぱい」「The Voice Of The Footmark」「♡8」といったロック・ナンバー、そしてアルバム「GIRL’S ROCK」3部作の延長線上に「BABIES IN THEIR DREAMS」という図式を描いてみると、逆輸入の意味が見えて来る。

 

歌詞の「グルグルEarthで知らされる」は、「Google Earth」が社名や商品名のため記載できなかったからと考察する。ニュアンスは異なれど「MR. GOLDEN LAND」の歌詞カードにある「披露宴丸い花国家陰影列伝」のようなもの。

 

2010年「ICBM」ツアーの地方公演最後となる長野ミサ、そして2日間に渡り行われた東京国際フォーラム公演の計3回、ステージで演奏された。大阪公演を収録したミサ大教典「ICBM OSAKA-妖艶!震撼!爆笑!=究極炎上!!-」(2011年)に本曲が無いのは、レギュラー・メニューには入っていなかったから。

 

東京公演を収録したミサ大教典と活動絵巻教典では、本曲の演奏を見る事ができる。実際にミサで披露されたのは計3回のみだが、ツアー中のサウンド・チェック時に試し演奏されており、例えば10月24日の名古屋公演2日目のリハでもプレイされていた。

 

④HEAVEY DUTY BABY

当初は作詞作曲者の名前が伏せられ、配信小教典として発布された楽曲のひとつ。今では作詞作曲ともにルーク参謀であると公開されている。地球デビュー20周年時の書下ろし曲だ。

 

正統的なメタル・ナンバーでありながら、当時で言うところのモダンなヘヴィさの風味を感じる。この辺りが常に最新のサウンドを研究し、自らの音楽性に昇華してきたルーク参謀らしい。

 

奇しくも本曲でギターを弾いているのが、ルーク参謀とジェイル代官。20周年はエース長官もバンドに参加しているものの、曲調やサウンド的にこの2名がギターを弾いたのだろう。偶然と思うが予告編の如く、25周年以降の編成が既に存在している。

 

先ほど「BABIES IN THEIR DREAMS」で書いた逆輸入理論は本曲にも当てはまる。歌詞もサウンドも、CANTAの楽曲としても成立しそうだ。実際に20周年時の新曲は「聖飢魔Ⅱである事を意識せず、各構成員が書いた楽曲を持ち寄る」というテーマがあったらしいので、当時のルーク参謀から自然に出て来るサウンド=CANTAというのは充分に判る。

 

ヴォーカルは1番をデーモン閣下、2番をルーク参謀が歌う。この割り振りは本活動時の楽曲に無く、ここに来て新たな手法を取り入れた。中盤で聴けるデーモン閣下の「他に誰もいない」のシャウトは、ルーク参謀の指定らしい。「ICBM」ツアーの東京国際フォーラム公演のMCで、デーモン閣下が本曲の一節を歌ったのをキッカケに制作秘話が話された。同公演を収録した映像作品で、そのトークを見る事ができる。ルーク参謀の衣装と髪型が本編と違うので、この部分は12月11日のトークだ。

 

続く・・・。