LIVE「ロニー・アトキンス 川崎 2024.2.9」① | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

ロニー・アトキンス  クラブチッタ川崎 2024.2.9

ソロ・アルバム「ワン・ショット」(2021年)、「メイク・イット・カウント」(2022年)、そして最新作「トリニティ」(2023年)を引っ提げ、ロニー・アトキンス(プリティ・メイズ)の来日公演が実現した。

 

厳密に言うと、アコースティック・アレンジとオーケストラを取り入れたミニ・アルバムを2枚リリースしているので、計5作品を引っ提げての日本公演と言えるだろう。正直なところ、まさかこれらの楽曲を日本で聴ける日が来るとは予想していなかった。感無量である。

 

御承知のようにロニーは病を公表しており「クヨクヨしても仕方ない!全身全霊で音楽製作に打ち込むぞ!」という強い決意でアルバムを制作している。しかしながら、ツアーやライヴともなれば相当な体力を消耗する。

 

ここ数年で発表されたアルバムは、どれも素晴らしく、ライヴで聴きたい、生で体験したいと思うのがファンの心理である。だが、状況が状況だけに、それは夢のような話と思われた。今回のロニーはファンの夢を実現させたのだ。とてつもないエネルギーを感じる。

 

さて、日本公演は2月8日と9日。クラブチッタ川崎で開催された。来日メンバーはロニー・アトキンス(Vo)を筆頭に、マーカス・スーネソン(g)、クリス・レイニー(g.Key)、ポンタス・エグバーグ(b)、アラン・ソーレンセン(ds)の5人。

 

アルバムには複数のミュージシャンが参加しているが、バンドは主要メンバーで固められたようだ。もちろん、クリスとアランはプリティ・メイズのメンバーである。特にクリスはマルチ・プレイヤーであるため、ロニーにとっても有難い存在なのだろう。

 

初日のライヴを終え2日目。金曜日という事もあってか、前日よりも来場者が多い。その分、座席の列も増えている。実は、この週の火曜日に関東では雪が積もり、物流に遅延が発生したらしく、初日はツアーTシャツの販売が無かった。

 

会場に荷物が到着しなかったようだ。そのようなハプニングもありつつ、2日目はTシャツの販売もあり。大盛況で開演前には売り切れとなっていた。アクリルスタンドの販売も、昨今のグッズ事情を踏まえた商品で面白い。ヴェテランのヘヴィ・メタル・ミュージシャンでもアクリルスタンドを発売する時代なのだ。

 

初日は開演が5分程度遅れたが、この日は19時になると場内のBGMが挙げられ暗転。席に座って待機していた観客が一気に総立ちに。暗転したままオール・デイズ風のBGMが続き、やがてアランが登場。ステージ中央のドラム・セットに就くと大きな拍手があった。

 

ライヴ用のSEに切り替わり、バンド・メンバーが続々と姿を見せて定位置に就く。舞台向かって右側にマーカス、左にポンタス、そしてクリスはギターをプレイする際は舞台中央から、やや左寄りの位置に来る。キーボードをプレイする時は鍵盤が置かれた後方の高台でパフォーマンスを繰り広げている。

 

カウントから「ライジング・タイド」がスタート。ステージが明るく照らされた。イントロでロニーが登場すると、大きな歓声と拍手が沸き起こった。開演前に「アーティストのご厚意によって1曲目のみ写真撮影が可能。2曲目以降はカメラを仕舞ってください」とアナウンスされていた。よって本曲ではスマートフォンで写真撮影するファンの姿が多くあった。

 

基本的にマーカスがリード・ギターで、クリスがバッキングをプレイ。本曲の間奏でも、マーカスがテクニカルなフレーズを披露し歓声を浴びている。ロニーはマイクスタンドを持ったままステージを左右へ移動し、隅々のファンと視線を合わせながら歌っていた。

 

ファンならロニーのヴォーカルがどのような感じか心配していたと思うが、病を公表する前と一切変わらない力強い歌声、そしてパフォーマンスだった。言葉で多くを語らなくとも、パワフルなヴォーカルとダイナミックなパフォーマンスが、ここ数年のロニーの凄まじい努力を物語っている。

 

バンドの音が続き「アイ・プロフェサイズ」へ。メロディアスでゆったりとしながらも、力強さを兼ね備えた1曲だ。アランが叩くフロア・タムの低音が身体の芯まで響く。コーラスはクリスやポンタスが担当しているが、注意深く聴けばロニーの声もある。恐らくサンプリングと生演奏を同機させているのだろう。

 

2曲を終え「コンバンワ!カワサキ!」とロニーが挨拶。次は「トリニティ」からの曲と紹介し「イフ・ユー・キャン・ドリーム・イット(ユー・キャン・ドゥー・イット)」が始まった。軽快なギター・リフが場内に響き、客席はクラップの嵐となった。

 

さて、次はプリティ・メイズの「ウィ・ケイム・トゥ・ロック」。マーカスとクリスがヘヴィなギター・リフを刻みつつ、サビになるとクリスがキーボードの前に立ち煌びやかな音色をプレイ。スタジオ・ヴァージョンのアレンジをキッチリと再現。

 

2018年11月に同会場で行われた、「フューチャー・ワールド」完全再現ライヴでもクリスは同様の段取りで演奏しており職人技であった。観客は拳を突き上げながら「We came to rock!」と歌う。因みに、初日はこの位置で「ロデオ」が演奏されていた。他にも曲順が入れ替えられた部分が多くあり、初日と本公演ではメニューの流れが変わっている事を特筆したい。

 

続く・・・。