LIVE「ロニー・アトキンス 川崎 2024.2.9」② | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

ロニー・アトキンス  クラブチッタ川崎 2024.2.9

・・・続き。

 

「ウィ・ケイム・トゥ・ロック」で骨太なギター・リフを弾いたクリスが、今度はキーボードで繊細なメロディを奏でる。2枚目のアルバム・タイトル曲「メイク・イット・カウント」だ。ロニーによる曲紹介から演奏が始まった。

 

前半はクリスのキーボード伴奏によってロニーが歌う。これまでアーティスト問わず様々な「表現」を見て来たが、本曲を歌うロニーほどリアルな表現は他に見た事が無い。歌詞は現在のロニーが歌う事によって重要な意味を持ち聴き手の心に響く。今のロニーの姿そのものである。

 

曲が進行し、中盤よりバンドの音が入った。歌詞と共鳴するかの如く、マーカスが美しいギター・ソロを弾いている。最後のフレーズをロニーが歌い切ると、大きな拍手が沸き起こった。

 

ここからは最新作「トリニティ」収録曲が続く。まずは「ペーパー・タイガー」だ。ストロングなメタル・ナンバーでありつつ、観客が一緒に歌えるパートが随所にある1曲。ロニーが観客にマイクを向けると、ウォウォウォ~ウォ、ウォウォウォ~と大合唱が沸き起こっている。

 

パワー・バラードの「ソウル・ディヴァイン」を終えると、客席からロニーにプレゼントが渡された。中身を見たロニーが「サケ!ドウモ、アリガトウ」と言う。実は前日のライヴでも客席からロニーにプレゼントが贈られている。

 

和んだ場内にムード感のあるSEが流れた。「ヴィア・ドロローサ」の冒頭部分だ。ステージ中央に来たマーカスが、力強いチョーキングを披露。アルバムの流れ通り、ギター・ソロを経て「ゴッドレス」へ。

 

リズム・インすると、アランの2バスが身体の芯まで響く。これぞライヴ空間だからこそ体験できるサウンドだ。ダークな色合いを持ちながらも、これまたメロディはキャッチーであるため、サビでは一緒に歌うファンの姿が多くあった。合間にロニーが観客を煽り、皆がヘイ!ヘイ!ヘイ!と拳を突き上げながら叫ぶ。

 

「立っていたが、今から座るコーナー」とロニーが言う。スタッフがステージに椅子と楽器をセットし始める。アコースティック・コーナーであるが、前日のライヴには無い演目なので、2日とも参加したファンからは驚きの声が。バンド・メンバー総出演で、アランには簡易的なパーカッション(カホンか?)が用意されていた。

 

披露されたのは「シスター・シニスター」「マイルズ・アウェイ」、そしてキッスのカヴァー「ハード・ラック・ウーマン」の3曲。「ハード・ラック・ウーマン」はアルバム「スプークト」(1997年)に収録されているが、バンド・アレンジだったスタジオ音源に対し、ここでは完全なるアコースティック・アレンジに。

 

3曲を終えるとメンバーが場所を空け、スタッフがアコースティック・セットを撤去している。再びエレクトリック・ギターを持ったマーカスが登場。ロニーと息を合わせ「リアル」が始まった。

 

このパートのエメラルド・グリーンのライティングが美しい。マーカスが弾くクリーン・トーンのアルペジオと調和する美しさである。1枚目のソロ・アルバム「ワン・ショット」の1曲目であるため、思い入れの強いファンは多いようだ。

 

暗転した場内にギターのディストーション・サウンドが響く。クリスとマーカスが対面や横並びになってテクニカルなフレーズを披露し、やがて「トリニティ」のイントロ部分へ。歪んだ音色でアルペジオを弾き、アランが低音でアクセントを付ける。最新アルバムのタイトル曲であり、MVも制作されているのでリーダー・トラックの披露である。

 

「長い間、プレイしていなかった曲だ!」とロニーが言い、オールド・ファン泣かせの選曲「プレイス・イン・ザ・ナイト」が炸裂。1stフル・アルバム「レッド・ホット&ヘヴィ」(1984年)からの曲だ。ハードなサウンドと対比する、クリーン・トーンのアルペジオが美しい。本編ラストは「ワン・ショット」で締められた。

 

暗転した場内にアンコールが響く。2~3分が経過したところで、爆発音が鳴って歓声が上がった。シンフォニックなSEが流れてメンバーが続々とステージに戻って来る。この展開、曲はもちろん「フューチャー・ワールド」である。

 

アランのハイハットによるカウントから、マーカスがメインのリフを弾く。クリスはキーボードを担当。バンドの顔ぶれは違えど、あの「フューチャー・ワールド」がキッチリと再現された。間奏後にロニーが観客を煽るパートもあり。

 

バンドが休符を挟みながらアクセントを付けるエンディングから、そのまま「バック・トゥ・バック」へ。これら2曲はファンにとって国歌のようなものであり、サビだけでなく全てのパートを歌う観客も多く見られた。前日は本編でプレイされた「ロデオ」を、この日はアンコールでプレイ。結果的にプリティ・メイズの初期名曲を3連続で演奏する流れに。

 

ロニーが改めてファンに感謝の気持ちを伝える。「明日にはデンマークに帰るので、川崎の夜は今日がラストだ。また近いうちに会いましょう!また戻ってくるぜ!」と言い、場内は大きな歓声に包まれた。ロニーの精神力と音楽に注ぐ情熱は並大抵のものではない。「リトル・ドロップス・オブ・ヘヴン」でライヴは幕を閉じた。

 

3枚のソロ・アルバム収録曲を軸としたセット・リストにより、ソロ名義での来日公演の醍醐味を存分に感じるライヴとなった。そこにプリティ・メイズの楽曲を、ほどよく織り交ぜるバランスの良さがヴェテランらしい。しかもマニア泣かせの「プレイス・イン・ザ・ナイト」である。

 

情報によると、2024年夏に行われる海外のメタル・フェスにプリティ・メイズが出演するらしい。久々にプリティ・メイズとしてのライヴ活動の再開となる。ロニーの「また戻って来るぜ!」はソロかプリティ・メイズか。何れにしても、ロニーには御自身の体調を最優先としながら、いつまでも歌い続けて欲しい。

 

セット・リスト

 

SE

①ライジング・タイド

②アイ・プロフェサイズ

③イフ・ユー・キャン・ドリーム・イット(ユー・キャン・ドゥー・イット)

④ウィ・ケイム・トゥ・ロック

⑤メイク・イット・カウント

⑥ペーパー・タイガー

⑦ソウル・ディヴァイン

⑧ヴィア・ドロローサ

⑨ゴッドレス

⑩シスター・シニスター(アコースティックVer)

⑪マイルズ・アウェイ(アコースティックVer)

⑫ハード・ラック・ウーマン(アコースティックVer)

⑬リアル

⑭トリニティ

⑮プレイス・イン・ザ・ナイト

⑯ワン・ショット

 

アンコール

・フューチャー・ワールド

・バック・トゥ・バック

・ロデオ

・リトル・ドロップス・オブ・ヘヴン