桜色Standard 渋谷近未来会館 2024.2.4
2024年版、夏川くるみ氏の生誕祭が開催された。実はワンマン・ライヴの直後という事で、夏川氏御自身は今回の生誕祭を開催すべきか否か悩んだらしい。メンバー交代の直後でもあり、新たに既存曲の歌とダンスを覚える新メンバーへの配慮もあったようだ。
しかしながら、星蘭実来氏と桜井瑠美花氏の対応力の速さ、そして開催を望むファンの声が多数あったため、この生誕祭が実現している。当初は1月末に浅草の会場で行われるとアナウンスされていたが調整が入り、最終的にはファンに馴染み深い渋谷近未来会館で開催される事となった。
振り返ると昨年（2023年）の生誕祭は、当時メンバーだった松本めい氏と合同開催されている。よって、夏川氏を単独でフィーチュアした生誕祭は今回が初である。更に踏み込むと、1年前とはメンバー編成がガラリと変わっているので、夏川氏以外のメンバーが「夏川くるみ生誕祭」に参加するのは初。ある意味、情報量の多いライヴと言える。
イヴェントは進行し、桜色Standardのライヴは18時5分から。その前に桜色Standardのプロデューサー凪沙氏が在籍するTwinkle☆Starsがライヴを行うタイム・テーブルに。ここ数回の生誕祭は、この出演順が多い。
Twinkle☆Starsがライヴを終え、凪沙氏が桜色Standardへと繋ぐコメントを。「ピンクのペンライトを持ってない人は今から買いに行ってください！」と言い、観客の笑いを誘う。メンバーがステージを去り、暫しのインターヴァルを経て、桜色Standardのライヴがスタートした。
SEが流れてメンバーが順に登場。定位置に就く。夏川氏は白のドレスでの登場だ。生誕祭において主役のメンバーが特別衣装で登場するのは、桜色Standardの伝統行事になっている。全員が揃い、アコースティック・ギターによるアルペジオのイントロが流れた。1曲目は「片想い」である。
この「片想い」及び2曲目「ひらりひらひら」は、回を重ねる毎に新編成としての精度が上がっているのが明確に判り興味深い。パフォーマンスに対してアンサンブルという言葉を用いるのは語弊があるが、各メンバーの個性が調和して、今の桜色Standardの色合いが確立されている。
2曲歌って挨拶MC。夏川氏、桜井氏、七瀬あむ氏、天羽えりん氏、星蘭氏の順で自己紹介を行った。夏川氏の衣装について、天羽氏が「前はよく見えると思うんですけど、後ろにも注目」と言う。背中のキラキラがお薦めポイントらしい。
ここからは最新ナンバー2曲を披露。まずは「トドケ!!!!!」がスタート。曲調は明るく可愛らしいが、ダンス・パフォーマンスの動きは激しく運動量を必要とするものだ。既存曲も含めてソロ・パートの多くを担うようになった七瀬氏の歌声にも注目したい。
「恋花火」は和風のメロディがアップテンポなデジタル・ビートに乗って美しさが舞う。本曲は何といっても扇子を使ったパフォーマンスが特徴だ。これは桜色Standardにとって新たな手法を用いたパフォーマンスでもある。細かな動きを積み重ねるように構築されたダンス。特に凛とした佇まいの天羽氏のダンスが、ひときわ目を惹く。フロアは爆発的な盛り上がりとなった。
現衣装には扇子を仕舞える（腰帯に引っ掛ける？）部分があるらしい。通常は、そこに扇子を入れてパフォーマンスを行い、本曲を披露する直前に取り出す段取り。だが本公演では、夏川氏のみドレスで登場しているため衣装に扇子を仕込む事が出来ず、どこに扇子を置いて、どう取るか流れを考えるのに苦労したそうだ。興味深いエピソードと言えまいか。
最新ナンバーに続くは、現体制で初披露となる「渡り鳥」と「フローラルマジック」。ファンに馴染み深い楽曲でありつつ、星蘭氏と桜井氏にとっては新曲初披露という位置づけであろう。特に「フローラルマジック」は、デビュー・ライヴの1曲目を飾った楽曲であり、桜色Standardの歴史が詰まった楽曲と言える。
それを現体制で初披露した点を踏まえ、本ステージは新たな物語の始まりを予感させる。星蘭氏と桜井氏が新たな色彩を加えた2曲が披露された。夏川氏が改めて来場者に感謝の言葉を述べ、ライヴは幕を下ろした。継承するものと、新たに築くもの。グループの歴史と現在、そして未来の姿が絶妙なバランスで成り立つ生誕祭となった。
セット・リスト
SE
①片想い
②ひらりひらひら
③トドケ!!!!!
④恋花火
⑤渡り鳥
⑥フローラルマジック