ヨーロッパ 東京ドームシティホール 2024.2.1
・・・続き。
カウントから「モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ」が始まった。アルバム「アウト・オブ・ディス・ワールド」(1988年)からの曲だ。ミックの煌びやかなキーボード・サウンドを前に出しながらも、80年代を象徴する甘い雰囲気の音作りではなく、ノーラムのギターが芯となるロック然としたプレイに。
映像作品「ライヴ!アット・シェパーズ・ブッシュ・ロンドン」(2011年)で見られるように、本曲は再結成以降も不定期ながらセット・リストしている。それでも毎ツアー演奏されている訳ではないので、レアな選曲と言っても良いはず。キャッチーなメロディだけに、観客の合唱を誘う1曲となっている。
暫しの暗転を経て、イアンにスポット・ライトが当たり歓声が上がった。マイクを持ったイアンが「40年間の応援ありがとう!」と挨拶。先ほどのレヴィンの挨拶もそうだが、普段は演奏に徹するメンバーの声が聴けるのが本ツアーの特徴だ。
「準備はいいか!」と観客を煽り、お馴染みのクラシック音楽が流れる。イアンのドラム・ソロに突入した。単に叩きまくるのではなく、イアンのソロはキッチリと曲を聴かせる事に特化し、その中で派手なフレーズを入れて来るのが面白い。
ドラム・ソロの最後の音からバンドの音が鳴り、ジョーイが「ドラムのイアン・ホーグランド!」と紹介。そのまま「レディ・オア・ノット」に繋がった。もちろん、ジョーイは白のレスポールを持っての登場。ヴォーカル&ギターを担当する。
ノーラムが感情を爆発させるようにソロを弾く間奏では、ジョーイのバッキングが入るため音が分厚い。ソロの間、ジョーイとレヴィンは寄り添うにようにバッキングをプレイしていた。「レディ・オア・ノット」から音が続き「スーパーステイシャス」へ。これが本編最後の曲として歌われている。
メンバーがステージを去った後、アンコールを求める手拍子が沸き起こった。一般的にアンコールと言えば5分ぐらい経過したところでメンバーが出て来ると思うが、1分ぐらいでイアンが再登場。真相は定かでないが、海外アーティストはこの流れが意外に多い。
ドラム台に就いたイアンが、あの曲のフレーズをフロア・タムで叩く。「チェロキー」だ。すぐには演奏に入らず観客を焦らすように何度か叩くのは、近年のライヴにおける定番のアレンジ。やがてノーラムやレヴィンが定位置に就くと、本格的に演奏が始まった。サビの歌メロの間でジョーイが音頭を取り、観客がヘイ!と叫ぶ。この一体感がライヴの醍醐味だ。
「チェロキー」のエンディングからゴ~ッ!という低音が地響きのようになり、この日、一番とも言える歓声が沸き起こった。名曲「ファイナル・カウントダウン」の登場である。イントロのシンフォニックなパートは音源が流され、イアンのドラミングを合図に生演奏に。観客が一斉に手拍子を打ち始める。
ステージから客席に向けてサーチライトを照らすかのような無数の光が交差し、壮大なスケールで楽曲が進行した。もちろん、サビでは観客の大合唱が沸き起こっている。キーボドやシンセが前に出た楽曲でありつつ、ノーラムのテクニカルなギター・フレーズも素晴らしい。
ライヴの最後を飾るのは「ファイナル・カウントダウン」と決まっている。故に、楽曲が進むに従い、これで今日の公演は終わりという少々の寂しさもある。バンドの音が拡張され、強音を一発決めて演奏が終了した。
40年という長い歴史を持つバンドが、そのキャリアを統括したライヴ。しかしながら、次のアルバムに収録されるはずの「ホールド・ユア・ヘッド・アップ」のプレイを筆頭に、今後の展開を強く感じさせるライヴだった点を見逃せない。その姿が実に美しかった。
第2部セット・リスト
VTR
①オールウェイズ・ザ・プリテンダーズ
②ニンジャ
③プリズナーズ・イン・パラダイス
④サイン・オブ・ザ・タイムス
⑤スペース・オデティ
⑥ラスト・ルック・アット・エデン
⑦オープン・ユア・ハート
⑧メモリーズ
⑨モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ
-ドラム・ソロ-
⑩レディ・オア・ノット
⑪スーパーステイシャス
アンコール
・チェロキー
・ファイナル・カウントダウン