LIVE「デーモン閣下 c/w D.H.C 横浜 2023.10.27」⑤ | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

デーモン閣下 c/w Damian Hamada's Creatures「地球魔界化計画」 KT ZEPP YOKOHAMA 2023.10.27

・・・続き。

 

雷電氏のカウントから「HALF MOON~月下独酌~」がスタート。アルバム「好色萬声男」(1990年)からの楽曲だ。これがステージで演奏されるのは何年ぶりだろう。そう思わずにはいられない。白のストラトキャスターに持ち替えた原田氏が、切れの良いコードカッティングを響かせる。

 

雷電氏のビートがスウィング感を生み出し、ストレートな8ビートのロックとは異なる独特の色合いが充満した。ハードロック寄りのファンクとでも表現すべきか。本曲は中盤でバンド・メンバーの見せ場となるパートが盛り込まれている。まずは雷電氏のドラム・ソロ。デーモン閣下が「雷電湯澤!」と紹介し、手数の多いドラミングを披露。

 

続いて原田氏が、映画「スターウォーズ」シリーズに登場するダースベイダーのテーマ曲を弾く。それに対し田川氏が「文明退化の音がする」のフレーズで対抗。田川氏はツアーを通して、聖飢魔Ⅱやデーモン閣下にまつわる楽曲のメロディとフレーズを各所に取り入れ信者を楽しませている。サーヴィス精神旺盛だ。

 

大桃氏の派手なスラップ・プレイ、MIYAKO氏のキーボード・ソロと続く。そのファンキーなビートから一転し、ゆったりとした曲をayumi氏が歌い始めた。これは「ひまわり」というayumi氏の持ち曲らしい。本曲は飯野歩という名義で発表しているようだ。

 

ayumi氏が「ひまわり」を歌う中、雷電氏が向日葵を両手に持ち、更には黄色い花びらの被り物をしてドラム台に立って場内からは歓声と笑いの声がった。暫し和やかなムードで進行するが、今度は大桃氏がグォ~ッ!とデス・ヴォイスで歌い始め、再びアップテンポな展開となった。

 

楽器隊のリレーが終わると曲の後半に突入。けん玉を持ったデーモン閣下が登場した。閣下は歌いながら玉を乗せようとするも上手くいかず、曲の終了時に成功。本公演で一番の大きな拍手が沸き起こった。閣下御自身も「これが一番ウケるんだ!?」と笑いながら言っている。

 

ここまで4曲を披露し、初めて挨拶とフリー・トークが挟まれた。デーモン閣下が「地球魔界化計画の第2部へようこそ!」と観客に述べ、メンバー紹介を行った。まずは雷電湯澤・・・では無く「サンフラワー湯澤!」と紹介。続いて大桃氏、ayumi氏、MIYAKO氏を紹介。

 

MIYAKO氏は姓が変わったらしく「マツサキ」になったらしい。デーモン閣下が「愛人マツサキ様!」と紹介して、場内から拍手と笑いがあった。そこから田川氏、原田氏とギタリストを紹介。

 

2007年からデーモン閣下のツアーに参加している原田氏は、「今やエンターテイメントの要」というキャッチ・フレーズで紹介されている。MCのバトンを渡された原田氏は「横浜、楽しんでるか!」と何度か観客に問い「うるさい!」と返すお馴染みのやり取りを行った。

 

最後にデーモン閣下が自己紹介。「今はデーモンでもディーモンでも、好きに呼べばいい、理由は追ってする」との事。「吾輩はここにいる。君たちの存在を肯定するために」といった曲フリから、「Just Being-ここにいる そこにいる-」が始まった。

 

アルバム「EXISTENCE」(2017年)収録の本曲は、発表当時のライヴを筆頭に歴代ツアーでも何度かセット・リスト入りしている。スタジオ音源はデジタルを軸としたサウンドであるが、これまでのライヴではロック・バンド形式で繰り出す音の中に、デジタルの風味をブレンドした音作りで演奏して来た。

 

それが今回のツアーでは、デジタル風味が抜けて完全にロック・バンドのサウンドに移行した印象が強い。悪魔と人間の混合バンドなので、人間味あふれると表現するのは語弊を生むかも知れないが、楽曲に体温が宿るかの如く全体的に暖かいサウンドと感じた。

 

ダンス・ビート的なリズムはそのままに、雷電氏が叩くドラムの音に合わせて手拍子を打つ観客の姿もあった。デーモン閣下のヴォーカルのバックで煌びやかなシンセのアルペジオが導入され、これが良いアクセントになっている。

 

よく見聴きすると、そのアルペジオはキーボードでは無く、原田氏がギターで弾いた。先ほどと同じく白のストラトキャスターをご使用だが、「HALF MOON~月下独酌~」時には無かった音作りであるため、本曲「Just Being-ここにいる そこにいる-」用に作り出された音と思われる。ギター・シンセというか、エフェクターなどの機材を駆使した音作りだった。

 

また本曲は2番のサビの後、スタジオ・ヴァージョンには無いギター・ソロのパートが設けられていた。そのパートを担当したのが田川氏で、歌メロを踏まえたメロディアスなフレーズと、ギュィ~ン!とアームを使って出すロックらしいノイズを織り交ぜたソロに。

 

ひとりひとりの存在の肯定に続いて、デーモン閣下が「君の心にはどんな空が」と述べる。MIYAKO氏が重厚なピアノ・フレーズを弾き「SOLA」が始まった。照明効果とサウンドが調和し、空と宇宙に向かって突き抜けて行くようなスケール感が放射される。

 

まるで、アルバム「MYTHOLOGY」(2012年)のジャケットの世界観だ。アップテンポな曲調に場内は熱く盛り上がりつつも、バンドが奏でるサウンドとデーモン閣下のヴォーカル、そして表現には優しさを感じるほど。Ayumi氏とMIYAKO氏のコーラス・ワークが楽曲を美しく彩った。

 

曲がおわると、すぐに「♡8」の冒頭部分が流される。デーモン閣下を筆頭に、メンバー各人がリズムに合わせてラップのような言い回しを披露。「誰が止めてる♡の8を!」といったフレーズをキッカケに楽曲の演奏が本格的にスタート。

 

ジャンルとしてはパーティー・ロックに入るであろう本曲は、歴代のツアーでもパーティーのように場内を盛り上げて来た。それは本公演でも同様。1番が終わった後、大桃氏とコーラス隊が「イェ~イ!」と声を発する。あの方へのリスペクトであろう。

 

エンディングでは田川氏のソロがあり、タッピングを多用したテクニカルなフレーズを披露した。田川氏はギターのネックを前から押さえるのではなく、上から押さえる独自のフォームでプレイするギタリスト。奏でるサウンドのみならず、どのように弾いているのか視覚的にも興味深い。

 

例えばバレエ・コードはどのように押さえるのか、チョーキングは上から弦を押すのか、それとも引き上げるのか、速弾きはどのような運指になるのか・・・など、プレイについて知りたい部分が満載だ。

 

続く・・・。

 

「HALF MOON~月下独酌~」内に挿入された、ayumi氏の楽曲「ひまわり」↓↓