G'ASH 1周年記念単独公演 池袋リヴォイス 2021.11.29
未完成のままでも作れるものがある。アジノモト・サヤカ氏が「宣戦布告」の歌詞に込めたフレーズは、G’ASHの活動を通して大きな意味を持つ気がする。グループの本格始動から1年。G’ASHにとって、この1年間は非常に密度の濃い日々だったに違いない。出会いと別れを繰り返しながらG’ASHは常に形を変え、グループとして進化して来た。
1周年の節目である2021年11月29日に池袋リヴォイスで行われたワンマン・ライヴは、現在のG’ASHの姿はもちろん、カヴァー曲あり、各メンバーをフィーチュアしたソロ・コーナーがあるなど、新しい要素を取り入れて挑戦意欲を全面に感じる内容となった。
そして、ライヴの数日前に卒業を発表した777氏のラスト・ステージでもある。池袋リヴォイスはグループの本始動ライヴのみならず、それ以前の練習ライヴもここで行われている。G’ASHとファンにとって思い出深い会場であり、777氏を含む編成のラスト・ライヴに相応しい場所と言えそうだ。
開演時刻の19時になると場内が暗転。SEが流れてメンバーが登場した。アジノモト氏が「1周年記念ライヴ、スタート!」と言って「ゲームスタート」を開始した。サビではメンバーが「回せ!」と観客を煽り、頭上でバンダ回しが行われ盛り上がった。進行の中で壱星デストロイたす氏のバンダナが勢い余って飛び、観客が拾ってステージの壱星氏に戻される場面も。それだけ勢いのあるパフォーマンスという事でもある。
1曲目「ゲームスタート」が、クールにパフォーマンスを行う曲とするなら、続く「君と僕のダイエット」は遊び心満載の1曲だ。観客と一緒に行うストレッチを筆頭に、この日は777氏と鈍林檎うたほ氏が1番と2番の間に後方で向かい合い、ボクシングの動きを行っていた。
間奏では、アジノモト氏と鈍林檎氏の2名でプロテインの早飲み対決を開催。両者がプロテインの乾杯をした後、一気に口に流し込んでいる。見た目は非常に地味であるものの、当人はかなり大変と思われる。最終的には間奏後のサビでも対決は続き、曲を終えるタイミングでプロテインのボトルを空にしている。先に飲み終えたのはアジノモト氏だった。
2曲を歌い終え挨拶MC。鈍林檎氏、777氏、アジノモト氏、花園花園氏、壱星氏の順で自己紹介を行った。鈍林檎氏が今日のライヴは内容盛り沢山であると述べ「MONSTERS」へ。デジタルの重低音がフロアに響き渡る。メンバーは髪を振り乱し、激しいヘッド・バンギングを繰り広げる。壱星氏のデス・ヴォイスも炸裂。カヴァー曲が聴けるのもワンマンらしい選曲だ。
ここからソロ・コーナーに突入。トップ・バッターは鈍林檎氏で曲は「夜明けBrand New Days」だ。鈍林檎氏によると、当初は「MONSTERS」が終わって舞台裏に履け、酸素を吸入してステージに戻る予定だったが、曲が早く流れ始めたため酸素吸入なしで本曲を歌い切ったらしい。終盤ではジャンプを繰り返しながら歌い、客席から見ると息切れを感じさせないパフォーマンスだった。
花園氏による「ファンサ」、壱星氏による「太陽曰く燃えよカオス」、アジノモト氏「僕が歌う物語」と続く。アジノモト氏の選曲は以前に在籍していたグループの楽曲で、これが聴けるのはレアだ。777氏が登場すると大きな拍手があった。先ほどのMCでは卒業についての話題は無かったが、このコーナーでは777氏より1年間の想いが語られた。メンバーも全員がステージに登場して、観客と共に777氏の話に聞き入る。「まだまだやりたい事があった」「悔いはある」という飾らない言葉が胸に刺さる。「私と一緒にアイドル人生を歩んでくれて、ありがとうございました!」と締め括り、777氏がソロで「ひといきつきながら」を披露。客席はハピネス・パープルのサイリュウムで染まった。
しんみりとした場内に「family name」が流れ、再びメンバー全員が集合。アップテンポな楽曲に場内は活気づいた。ここからは「宣戦布告」「DREAM 4 iDOL」とG’ASHの持ち曲を披露。本編最後のMCでは、先ほどの777氏と同じくメンバーそれぞれが飾らない言葉で挨拶。本音で語り合うでは無いが、人間味あふれるリアリティのある言葉が、メンバー同士の信頼関係を感じさせた。
涙涙の挨拶となったが、G’ASHのライヴはこのままでは終わらない。本編最後は「僕等の唄」で、特にサビではメンバーと観客の一体感を生み出す。客席のフロアもお祭り状態だ。熱い空気が渦巻く中、ライヴはフィナーレを迎えた。しかし、メンバーがステージを去っても客電が点かないので、どうやらアンコールが用意されているようだ。
「アンコール!」の声と手拍子が沸き起こり、ほどなくしてTシャツに着替えたメンバーがステージに戻って来た。アンコールは「宣戦布告」と「ゲームスタート」の2曲。本編でも披露されている楽曲でも、ここでは衣装が変わってため違った印象を受ける。最終曲「ゲームスタート」では、メンバーも観客も残りのエネルギーを全て使い切るかの如く、激しいヘドバンが行われた。これにて約90分のライヴは幕を下ろした。
未完成の美学とも言うべきか。「完成」という目標に向かうため、新たな事に挑戦し、時には実験的な要素も取り入れ、グループとして形を変えながら前に進んでゆく。この1年を振り返ると、それがG’ASHというグループのような気がする。何が完成形なのか、その答えはまだ誰にも判らないところが面白い。1年後のG’ASHは、現在のG’ASHとは全く違うイメージになっている可能性もある。G’ASHの進化は、常に予測不可能なのだ。だからこそ目が離せない。
そして本公演は、777氏のアイドル人生のフィナーレを飾るライヴでもあった。この日をもって新たな道を歩む事になったが、777氏がG’ASHに残したものは今後も生き続けて行く。アイドルとして最後のステージに立つ777氏の姿は美しかった。ステージで歌い踊る777氏の姿を私は忘れない!
セットリスト
SE
①ゲームスタート
②君と僕のダイエット
③MONSTERS
④夜明けBrand New Days(鈍林檎氏)
⑤ファンサ(花園氏)
⑥太陽曰く燃えよカオス(壱星氏)
⑦僕が歌う物語(アジノモト氏)
⑧ひといきつきながら(777氏)
⑨Family name
⑩宣戦布告
⑪DREAM 4 iDOL
⑫僕等の唄
アンコール
・宣戦布告
・ゲームスタート