白い花/ZONE
「secret base~君がくれたもの~」は、未だに色褪せる事無い永遠の生命を授かった楽曲である。バンドル(バンド+アイドル)というキャッチフレーズと共にZONEがデビューしたのが2001年2月。同年8月に発表された3枚目のシングル「secret base~君がくれたもの~」が驚異的な売り上げを記録し、ZONEの存在は瞬く間に全国に知れ渡った。そして2001年後半には多くのテレビ等のメディアで取り上げられ、新人賞をはじめとする賞を獲得。年末には紅白歌合戦への出場も果たした。
当時はまだ、パソコンが一家に一台なんて時代では無く、徐々に普及し始めていた頃であり、携帯電話も今ほど機能やサービスは充実しておらず、誰でも手軽にインターネットや動画サイトを見られる環境では無かった。ZONEは、北海道の芸能養成スクールにて結成されたグループであり、そういった地方出身のグループが2001年という時代に全国区で大ブレイクを果たした事実は、正に驚異的な出来事であった。因みにブレイク後も、ZONEのメンバーは北海道で生活し、仕事の為に東京へ行き、終えると再び北海道へ帰るというスタイルで活動していた。
さてZONEは、やはり「secret base~君がくれたもの~」による成功が大きく、現在でもZONEが紹介されるなら必ずと言ってよい程、この楽曲が取り上げられる事が多い。ZONEの代表曲であり、世間一般にそういったイメージが定着しているので自然な事だと思うが、ファンの方は御承知のようにZONEは素晴らしい楽曲を非常に多く発表している。という訳で今回は、2002年11月発表の8枚目のシングル「白い花」を紹介したい。
まず、曲に関して書く前に2002年のZONEについて今一度、整理しておきたい。当時のメンバーは、MIYU(Vo,g)、TAKAYO(Vo,g)、MAIKO(Vo.b)、MIZUHO(Vo,ds)という、インディーズ・デビュー時からの編成で活動を継続していた。この年、ZONEは初の全国ツアー「ZONE FIRST SUMMER LIVE 2002 こぐまの大移動大暴走だべさツアー」を成功させている。後に公演数も増え、会場規模も大きくなって行くZONEのツアーだが、この時はまだスタンディング形式のライヴ・ハウスを中心に日程が組まれている点が時代を感じる次第。
それらの公演のアンコールでは、まだ発表されていなかった「証」を新曲として演奏しており、「証」は7枚目のシングルとして9月に発表された。暫く、バラード系のしっとりとした楽曲が続いていたZONEだが、この「証」ではビデオ・クリップの作りも含めクールな作風となり、楽曲もディズトーションの掛ったギター・サウンドを軸としたハードな1曲となった。その次なるシングルとして発表されたのが「白い花」で、この曲はZONEにとって、これまでに無い新たな音楽性を提示した楽曲となった。
ZONEはメンバーが4人とも、ヴォーカルを担当するバンドであるが、この「白い花」ではMIYUのヴォーカルがフィーチュアされ、ライヴでの演奏時も、MIYUはギターを持たず、歌に専念する形で披露された楽曲だ。輝く星のような、シンセの煌びやかな音色で始まり、アコースティック・ギターのアルペジオの演奏をバックに、MIYUが丁寧に歌う。そしてサビでは、楽曲が壮大に展開し、MIYUが歌い上げる。冬が来る度に、今はもう会えない大切な人の事を思い出す・・・という内容の歌詞だが、「今はもう迷わない」という一節がある事から、前向きに生きる決意と共に曲が終了して行く印象を受ける。メンバーが雪の中で歌うビデオ・クリップの作りも含めタイトル「白い花」や、歌詞に登場する夜空に咲く白い花とは、舞い散る雪の事であると解釈できる。
壮大な1曲目に対し、カップリング曲「空想と現実の夜明け」はZONE史上、最もハードな楽曲で、こちらはTAKAYOがメインで歌っている。ディズトーションの掛ったハードなギターと疾走するリズムで、ZONEのバンドとしての技術を証明した1曲と言える。因みにZONEは、2002年の3月にアルバム「Z」と、シングル「夢のカケラ・・・」を同日にリリースしており、本作「白い花」も、同様にアルバム「O」と11月27日に同時に発表され、2作品が同じ日に店頭に並ぶ事となった。「白い花」の初回盤には、その同時発売の「O」収録曲のダイジェスト版と、メンバーの解説コメントを収めた特典CDが付属していた。
では早速、各曲を御覧いただきたいところだが、ZONEの楽曲に関してはSONY MUSICの管理が厳しいのか、CD音源やビデオ・クリップなどが一切、動画サイトで見当たらない。よって、2002年当時にZONEがテレビ出演した際の「白い花」を↓↓
http://www.youtube.com/watch?v=uHOpvW614FY
そして「空想と現実の夜明け」も、本作に収録されたオリジナル・ヴァージョンを紹介するのが道理だが、それが無い為、2005年に行われた日本武道館公演の演奏より御覧頂こう。因みに、この公演はZONEの解散コンサートであり、TAKAYOは既に脱退していた為、ヴォーカルを務め、ギターを演奏しているのは、TOMOKAである。TOMOKA色に染め上げられた「空想と現実の夜明け」を↓↓