(前回の関連記事は「仙道の2つの修行法
」です)
仙道修行の前提条件
前回の記事では、仙道で体内に気を巡らす基本である
小周天を行う場合の修行法は、
①単修法~自分自身の陽気(エネルギー)のみを使う。
仙道研究家 高藤聡一郎氏が修行した伍柳派が
代表的。
②双修法~自分自身と異性の陽気を利用する。
一般には「房中術」と呼ばれる。
の2種類に大別されることを説明しました。
この「陽気」については、前回紹介した高藤氏の文章では、
開薮(小周天のルートを開くこと)を行うには、丹田に十分、
陽気を集める必要がある。
どのくらいかというと、下腹にアイロン(決して誇張ではない)か
何かのような熱い気の塊(これが陽気)が出て、それがボンボン
震動する(これも誇張ではない)くらいである。
こうなるや、陽気はものすごい勢いであちこち動きだし、最後に
会陰に向かって突進し(これも誇張ではない)、さらに尾間へと
流れていく.
と説明されています。
要するに「陽気」とは、
意図的に丹田で発生させる必要がある
わけです。
例えば、高藤氏の著書「仙人入門」では、氏の実際の小周天体験に
ついて以下のように描写されています。
日本に帰ってからは、朝起きるとすぐ仙道の八段錦という体操をやり、
次に太極拳と2時間の仙道修行。
終わってから念力の訓練をして、お経をとなえる。
これだけやると合計3時間ぐらいかかるが、終わったあとは
気分爽快である。
初め精力がなく弱ったが、食事療法をやりながら、ニラ、ニンニク、
生美、生玉ネギ、トロロ芋と一日2回ずつ食べてみたところ精力が
抜群についてきた。
ただ、友人に臭い臭いと逃げられるのにはまいった。
このように高藤氏が修行していた伍柳派では、まず最初に陽気のもとに
なる精力をひたすら貯めこみます。
この場合の精力とは、前々回の記事で
「後天の気」
①空気・水・食べ物を体内に取り入れた結果として発生するエネルギー
②一般的な体力(生命活動の維持)、精力(性欲を発生させる)
→医療機関で行われるカロリー・栄養素重視の一般的な食事療法
と説明したエネルギーです。
ちなみに小周天修行を独習で行っているという人の話を聞くと、高藤本の
影響でしょうか、毎日ニンニクを食べているという人を結構見かけます。
(最近はサプリメントや液体状になったものを飲む人が多いです。)
ただ、ニンニクも摂りすぎは下痢やアレルギー、胃や腸の炎症、
腹痛といった副作用で体の調子を崩す原因となりますから、
かえって修行がうまく行かなくなる人がいます。
ニンニク以外にも滋養強壮剤、各種サプリメントを摂っているケースも
よく見かけます。
このようにいろいろ飲んでいるのにもかかわらず小周天がうまくいかない
人を見ているとある共通点があります。
それは3食の食事内容がデタラメなことです。
例えば、毎日インスタントラーメンやレトルトパック、冷凍食品、菓子パン
やお菓子を欠かさず食べている。
しかし、肝心のごはんや野菜は全く食べないとか、朝食・昼食はほとんど
食べずに夜遅く帰宅して寝る前にドカ食いするようなタイプです。
このようなタイプの人は、体に必要な基本的な栄養が足りていなかったり、
内臓が慢性的な疲労状態にありますから、いくら滋養強壮剤やサプリメントを
飲もうが全く効果は出ません。
かえって体の調子をおかしくしてしまいます。
仙道修行どころの話ではないわけです。
ただ、受講者の方々から話を聞くと、以前わたしは
『気功に肉食はマイナスか?』
という記事を書いたのですが、これを読んで
(食生活がデタラメでもいいんだな。)
と考えた方がいるようです。
受講者以外でも、このブログの読者でそういう方がいたとしたら、
わたしにも責任がありますので説明します。
確かにわたしは甘いものやジャンクフードをよく食べたりします。
ちなみに昨日の昼食はバーガーキングのダブルワッパーチーズの
フレンチフライとコーラのセットにパティを1枚追加して、その他に
大丸地下食品店街で買った堂島シンデレラロールを食べるという
超高カロリー食でした。
しかし、昨日は朝食抜きで、昼食前にはサラダを食べて(これが血糖値
上昇を予防します)、その上で夕方に筋トレ・ウォーキングを行いカロリーを
消費して、夕食は野菜ジュースのみにしました。
今日は昼食のみの1食で、刺身と野菜の煮物・ごはん200gの
和食メニューにしています。
要するに、高カロリー食の日は運動でエネルギーを燃焼して、その他の日は
低カロリー食、プチ断食を行いバランスをとっているわけです。
(当然、3食しっかり食べる日も作っています。)
こうして食欲を満たしながらも、トータルで栄養のバランスを摂り、内臓の
疲労も抜いているわけです。
「スーパーサイズ・ミー」という、33歳の健康な男性が、1日に3回、30日間、
マクドナルドのファーストフードだけを だけを食べ続けたらどうなるかという
記録映画があります。
その男性は30日後に、体重は11キロ増え、躁鬱、性欲減退、深刻な肝臓の炎症
を起こしたそうですが、そこまでいかなくても毎日ジャンクフードやスイーツばかり
食べていたら仙道修行どころの話ではありません。
高藤氏の体験談もよく読むと、
「食事療法をやりながら」
という但し書きがついています。
彼も食事により必要栄養素を確保した上で、ニンニクのような精の
つくものを食べていたわけです。
ただ、わたしもいい年した大人に、(あれを食べろ、これを食べるな。)
などといちいち指示するのは気が進まないので、食事内容については
口をあまり出さないようにしています。
これについては、わたしの元師匠が「肉は食べるな。」とか 「動物の
殺生は良くない。」などと、段々宗教臭いことを言うようになったことが
原因で縁を切った影響もあると思います。
しかし、食事内容がデタラメなせいで気の状態がダメになっていて
仙道がうまく行かない人に限って、やたらと滋養強壮剤やサプリメントに
頼る傾向があるのも確かです。
このように食事内容は仙道(気功)を行う上での前提条件ですから、
独習でなかなか行がうまく行かない人は、専門の人に一度チェックして
もらうのもいいかもしれません。
つづく
※次回の記事更新日は11月10日になります。
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