Kismetから4月発売予定のCD

Mantis
Turn Onto Music
同じ1973年に1枚だけアルバムをリリースしているカナダのMantisではなくて、こちらはフィジー出身の5人組。"Turn Onto Music"は彼らがニュージーランドに渡って録音したアルバムで、ジャケットを見るとプライベートプレスみたいな感じですが、メジャーのVertigo/Phonogramから(ニュージーランドのみで)リリースされています。
オープニングナンバーが、歪みのないギターをフィーチャーした陽気なトロピカルロックで、こんな感じなのかと思っていると、次はホーン入りのファンキーな "In the Midnight Hour"のカバー。そのあと、スタンダードの"You Don't Love Me"、Mountainの"Mississippi Queen"、Jo Jo Gunneの"Shake That Fat"と続くカバーチューンでは、ギターの歪みも増して70sハードロックの様相を呈してきます。
そして、このアルバムの圧巻はラストの22分に及ぶ3パートの組曲"Island Suite"。サンタナを思わせるようなラテンロックフレーバーの歌なしインストジャムで、なかなか達者な緊張感のある演奏を繰り広げています(最後のパート3では激渋ファズギターも登場!)。要所にシンセサイザーが使われているのも特徴です。
という具合に、なかなかつかみどころのない作品ですが、これはフィジーという国が「南国の楽園」というイメージを持ちながら、(私の頭では理解できないような)複雑な政治的背景を抱えているということと無関係ではないかもしれません。

Bram Stoker
Heavy Rock Spectacular
米国のH.P. Lovecraftに対抗して?ビッグネームのホラー作家をバンド名に冠したBram Stokerは英国の4人組(*1)。"Heavy Rock Spectacular"は1972年にWindmillというレーベルからリリースされた唯一のアルバムです。以前、別ジャケの"Schizo Poltergeist"というタイトルでリイシューされたこともありますが、こちらの方がオリジナル。
音は、コロコロと良く転がるハモンドオルガンが活躍するオルガンヘヴィロック(ファズギター入りの曲あり)で、近いイメージとしてはAtomic Roosterあたりでしょうか。でも、The Nice~EL&Pみたいなクラシカルなフレーズがポンポン飛び出してくるのと、オルガン主体のインストパートが多いので、ジャンルとしてはやはりプログレの部類かも。メジャーイシューにも堪える高いクオリティの楽曲・演奏に、匂い立つようなアンダーグラウンドの雰囲気をそなえた、英国マイナーロックファンにはたまらない一枚。
*1
リーダーのキーボードプレーヤー、Tony Bronsdon以外はセッションマンによるレコーディングだったという説がありますが、オフィシャルサイトを見ると、1969年に結成され、ロンドンのMarqueeなどのクラブでライブ活動をして、当時まだ無名だったQueenにサポートされたこともある、なんていう記述があるので、バンドとしての実態はあったようです。ちなみに、再結成して、今年新譜がリリースされる予定とのこと。
QMSの2枚組アーカイブライブ発売

Quicksilver Messenger Service
Live at the Fillmore June 7 1968
Quicksilver Messenger Serviceが1968年6月7日にFillmore Eastで行なったショーを収録した、CD2枚組のアーカイブライブがリリースされます(Cleopatra Recordsから4月9日発売予定)。
私はこの日付のサウンドボード音源(CD2枚組)を持っていますが、収録曲はほぼ同じなものの曲順が異なっていて、今回リリースされるものと同じ音源かどうかは不明です。確か、QMSにとってこれが初のNY公演だったと思います(翌8日と二夜のショーだった)。
Disc One :
1. Pride of Man
2. If You Live (Your Time Will Come)
3. Dino's Song
4. Smokestack Lightnin'
5. Codine
6. Light Your Windows
7. Mona
8. Calvary
DISC 2 :
1. Back Door Man
2. Acapulco Gold & Silver
3. Who Do You Love?
4. The Fool
Musicians :
John Cipollina - guitar, vocals
Gary Duncan - guitar, vocals
David Freiberg - bass, vocals
Greg Elmore - drums
Barbara & Ernie 再発

Barbara & Ernie
Prelude To...
以前FalloutからCD再発されてソフトロックやレアグルーヴファンの間で話題になっていたBarbara & Ernieの唯一作、"Prelude to..."(1971)がReal Gone Musicから正規リイシューされます(4月2日発売予定)。
若くセクシーな黒人女性と、人生に疲れたような中年親父がポーズを決める忘れがたいジャケを見て、これはおしゃれなソフトロックファンよりも、むしろ変態趣味向きのレコードではないか?と、ピンと来られた方、・・・正解です。
要所にホーンアレンジの入るジャズ~ソウル系のソフトロックサウンドを基調としながらも、お香の煙のようにモヤモヤと立ち籠めるアシッド臭。それは、Jefferson Airplaneの"Somebody to Love"のカバーが、ジャジー&ファンキーなアレンジながらも、本家にも勝るようなアシッドフィーリングをそなえていることが象徴しています(そのブレンド具合がまた素晴らしい)。シタール入りの「どサイケ」な"Listen to Your Heart"などを聴いていると、これはひょっとしたら60年代メロウサイケやフィーメール・アシッドフォークの70s的進化形ではなかろうか?なんて思えたりもします。
そんな怪しげな作品ですが、プロダクションは第一級のもので、70年代前半のRoberta Flackの諸作でグラミー賞を受賞した名プロデューサーJoel Dornのプロデュースのもと、Keith Jarrett, Joe Beck, Richard Tee, Sam Brown, Chuck Rainey, Grady Tate、そしてオーケストラアレンジにDeodatoと、ジャズ系の錚々たるメンバーが制作に参加しています(レコードリリースはAtlantic傘下のCotillion)。
ちなみに、主役のBarbara MasseyはQuincy Jonesなどのバッキングボーカルとして、Ernie CalabriaはHarry Belafonteらのセッションギタリストとしての履歴をもつ、彼らもまた本業はスタジオミュージシャンなのでした。本作でBarbaraの名前を知ったあと、Jimi Hendrixの"Crash Landing"(Alan Douglasがジミの残した音源にセッションミュージシャンの演奏をダビングして1975年にリリースした悪名高き「編集アルバム」)のライナーを見ていると、タイトルナンバーの"Crash Landing"のクレジット(Voices)にBarbara Masseyの名が・・・。Cat StevensとかLooking Glassとかのバックでも歌っているそうなので、知らないうちに彼女の歌声を聴いていた、という人も多いかもしれません。
Track Listing :
1. Play with Fire
2. Somebody to Love
3. Prelude
4. Listen to Your Heart
5. For You
6. Searching the Circle
7. My Love and I
8. Do You Know
9. Satisfied
デッドのDVD 2タイトル再発(第二弾)
![Truckin Up to Buffalo [DVD] [Import]](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F61aLMW-KzJL._SL160_.jpg)
Grateful Dead
Truckin Up to Buffalo [DVD] [Import]
"Dead Ahead", "Ticket to New Year's"に続いて、Grateful DeadのDVDがお手頃価格で再発されます。今回も80年代のショーを記録した2タイトルで、 "Truckin' Up to Buffalo"は1989年7月4日のRich Sadium(NY)公演を完全収録したもの(約2時間40分)。"Downhill from Here"は1989年7月17日から19日の3日間、Alpine Valley Music Theatreで開催されたウィスコンシン公演の模様が収録されています。(Shout Factoryから4月9日発売予定。)
![Downhill From Here [DVD] [Import]](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51V3wxh3JmL._SL160_.jpg)
Grateful Dead
Downhill From Here [DVD] [Import]
Kim Fowleyの2枚組コンピ発売

Kim Fowley
Wildfire ~ The Complete Imperial Recordings 1968-69
Kim FowleyがImperialレーベルからリリースした3枚のアルバム、"Born to Be Wild"(1968)、"Outrageous"(1968)、"Good Clean Fun"(1969)を収録したCD2枚組コンピレーション、"Wildfire: The Complete Imperial Recordings 1968-69"がリリースされます(Tune Inから4月22日発売予定)。
ハリウッド俳優Douglas Fowleyと美人モデル/女優のShelby Payneを両親としてLAに生まれたKimは、まだ二十歳になるかならないうちに音楽業界に飛び込み、マネージャー、プロデューサー、プロモーター、ソングライター、はたまた「取り巻き」として、さまざまなアーティストやノベルティレコードの制作に関与し、自らもミュージシャン(ボーカル、キーボード、パーカッション)として、多数のレコードをリリースしてきた、この業界きっての「怪人」。
彼の交友関係は多岐多様で、(英国に渡って手がけたアーティストを含め)ざっと主な名前を挙げておくと・・・、
Paul Revere & the Raiders, Michael Lloyd, Mars Bonfire, The Seeds, Gene Vincent, The Byrds, Frank Zappa, Warren Zevon, Alice Cooper, Soft Machine, Cat Stevens, Slade, Dave Mason, Family(バンドの名付け親)・・・、そして70年代ではオールガールロックバンドのRunawaysをプロデュースしたことで有名。
その仕事の気まぐれさというか脈絡のなさは自身のアルバムでも同様で、今回収録される三作も制作時期は近いのに、それぞれかなりテイストが違います。"Born to Be Wild"はタイトル曲をはじめ、"Hello I Love You"(Doors), "Pictures of Matchstick Men"(Status Quo), "Sunshine of Your Love"(Cream), "Classical Gas"(Mason Williams)など、米英のカバー曲中心の「歌なしインスト」アルバム。ファズギターやオルガンが活躍する、わりと「まとも」なグルーヴィインスト作品です。
その次の二作はボーカル(歌、語り)が入っているものの、かなりフリークアウトしていて、"Outrageous"はまだヘヴィサイケ作として聴けるものの、"Good Clean Fun"になるとその分裂ぶりは病的になってきます。相当な60s好きでも、その肝を試されるような、モンドというかイロモノの部類に入るレコードかもしれません。
でも、演奏自体は西海岸の一流どころが手がけているのでしっかりしたものだし、"Good Clean Fun"にはMichael Lloyd(West Coast Pop Art Experimental Band)、Mars Bonfire("Born to Be Wild"の作者)、Skip Battin、Warren Zevonなど、錚々たるメンツがレコーディングに参加しています(Michael Lloydは3曲、Warren Zevonは2曲のソングライティングのクレジットがある)。
下の画像はオリジナルLPのジャケットです。

Steppenwolfの8タイトルが紙ジャケで再発
1968年のデビュー作から1971年の"For Ladies Only"まで、SteppenwolfがABC-Dunhill/MCAからリリースした8タイトルが紙ジャケ+SHM-CD仕様の日本盤で再発されます(ユニバーサル・インターナショナルから4月24日発売予定)。
日本では、ともすれば「ワイルドでいこう」の一発屋的な扱いを受けがちですが、3年間で8枚のアルバムを出していて、そのうち6枚が全米アルバムチャート20位以内というから、アメリカでの人気ぶりがうかがえます。

ステッペンウルフ
ワイルドでいこう! ステッペンウルフ・ファースト(紙ジャケット仕様) (1968)

ステッペンウルフ
ザ・セカンド(紙ジャケット仕様) (1968)

ステッペンウルフ
ステッペンウルフとバースデイ・パーティー(紙ジャケット仕様) (1969)

ステッペンウルフ
アーリー・ステッペンウルフ(紙ジャケット仕様) (1969)

ステッペンウルフ
モンスター(紙ジャケット仕様) (1969)

ステッペンウルフ
ライヴ(紙ジャケット仕様) (1970)

ステッペンウルフ
セヴン(紙ジャケット仕様) (1970)

ステッペンウルフ
フォー・レディズ・オンリー(紙ジャケット仕様) (1971)
日本では、ともすれば「ワイルドでいこう」の一発屋的な扱いを受けがちですが、3年間で8枚のアルバムを出していて、そのうち6枚が全米アルバムチャート20位以内というから、アメリカでの人気ぶりがうかがえます。

ステッペンウルフ
ワイルドでいこう! ステッペンウルフ・ファースト(紙ジャケット仕様) (1968)

ステッペンウルフ
ザ・セカンド(紙ジャケット仕様) (1968)

ステッペンウルフ
ステッペンウルフとバースデイ・パーティー(紙ジャケット仕様) (1969)

ステッペンウルフ
アーリー・ステッペンウルフ(紙ジャケット仕様) (1969)

ステッペンウルフ
モンスター(紙ジャケット仕様) (1969)

ステッペンウルフ
ライヴ(紙ジャケット仕様) (1970)

ステッペンウルフ
セヴン(紙ジャケット仕様) (1970)

ステッペンウルフ
フォー・レディズ・オンリー(紙ジャケット仕様) (1971)
David Gatesのコンピ発売

David Gates
Early Years 1962-1967
70年代にヒット曲を量産するソフトロックバンド、Breadのリーダーとして有名になったDavid Gates。しかし、1968年にBreadを結成した時には、すでに彼はこの業界では10年のキャリアを持つベテランでした。セッションミュージシャン、ソングライター、アレンジャー、プロデューサーとして、60年代のポップミュージックを裏で支えてきたキーマンのひとりなのでした。
そんなDavid Gatesのソングライターとしての仕事にスポットライトを当てたコンピCD、"The Early Years 1962-1967"がリリースされます(豪Rare Rockin' Recordsから3月26日発売予定)。下のトラックリストのリンク先はYouTube動画です(末尾のシングルリリース年は私が付け足したもので、間違っているものもあるかもしれません)。
1. The Murmaids - Popsicles And Icicles (1963)
2. Ann-Margret - Hey, Little Star (1963)
3. Michael Landon - Without You (1964)
4. Gloria Melbourne - Don't Let Him (1964)
5. Dorothy Berry - Cryin' On My Pillow (1963)
6. Dorsey Burnette - Pebbles (1963)
7. Shelley Fabares - Football Season's Over (1964)
8. Gwen Stacey - Ain't Gonna Cry No More (1964)
9. The Girlfriends - My One And Only Jimmy Boy (1963)
10. Pat Powdrill - The Luckiest Girl In Town (1964)
11. Frankie Fanelli - Tears, Rain (1964)
12. Margaret Mandolph - If You Ever Need Me (1964)
13. The Crickets - Playboy (1964)
14. Connie Stevens - Lost In Wonderland (1965)
15. Dorothy Berry - You Better Watch Out (1964)
16. Johnny Burnette - The Fool Of The Year (1962)
17. Gwen Stacey - Lonely Girl (1964)
18. Margaret Mandolph - Silly Little Girl (1965)
19. Gail Ganley - I Think I'm Gonna Cry (1965)
20. Jerry Modine - Are You Putting Me On (1963)
21. Merry Clayton - Nothing Left To Do But Cry (1963)
22. Suzy Wallis - Tell Him (1966)
23. Dotty & Kathy - The Prince Of My Dreams (1963)
24. Carl Edwards - The Brighter Side (1963)
25. Gwen Stacey - Give Thanks To A Friend (1964)
26. Jody Miller - Never Let Him Go (1965)
27. The Girlfriends - For My Sake (1963)
28. The Fencemen - Swingin' Gates (1962)
29. Johnny Crawford - No One Really Loves A Clown (1962)
30. Dorothy Berry - Standin' On The Corner (1965)
31. Jody Miller - How Do You Say Goodbye (1966)
32. The Lettermen - You'll Be Needin' Me (1966)
33. David Gates - You'll Be Needin' Me (Original Demo)
CJ & the Fishの1stが2枚組拡大盤で再発

Country Joe & The Fish
Electric Music For The Mind And Body
Country Joe & the Fishのデビューアルバム、"Electric Music for the Mind and Body"(1967)が、オリジナル・モノとオリジナル・ステレオの両ミックスを収録した、CD2枚組のデラックス(デジパック)バージョンで再発されます(32頁ブックレット付属で3月25日発売予定)。
Grateful Dead, Jefferson Airplane, Quicksilver Messenger Service, Big Brother & the Holding Companyら、シスコのビッグネームのアルバムの中でも、私にとっては本作こそが王道中の王道。楽曲自体はけっこうブルースベースのオーソドックスなものが多かったり、バンドアンセムといえるタイトルナンバー"I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die"ではじまる次作の方が、サイケアルバムとしては上等かなとも思うんですが、やっぱりサイケなジャケともども当時のシーンのムードがひしひしと伝わってくる、この1stが好きです。
それに、なんといっても、歯にしみるくらいの激チープなファルフィッサオルガンの音が最高!(次作以降しだいに聴けなくなってしまうのが残念)。ファズギターとの掛け合いもシビれます。王道すぎて?サイケ本にはあまり取り上げられないけど、サイケファン必携の基本アイテムだと思います。
DISC 1 : original 1967 mono mix (Vanguard VRS 9244)
1. FLYING HIGH
2. NOT SO SWEET MARTHA LORRAINE
3. DEATH SOUND
4. PORPOISE MOUTH
5. SECTION 43
6. SUPERBIRD
7. SAD AND LONELY TIMES
8. LOVE
9. BASS STRINGS
10. THE MASKED MARAUDER
11. GRACE
DISC 2 : original 1967 stereo mix (Vanguard VSD 79244)
1. FLYING HIGH
2. NOT SO SWEET MARTHA LORRAINE
3. DEATH SOUND
4. PORPOISE MOUTH
5. SECTION 43
6. SUPERBIRD
7. SAD AND LONELY TIMES
8. LOVE
9. BASS STRINGS
10. THE MASKED MARAUDER
11. GRACE
Shadoksから3月発売予定のCD

Micah
I'm Only One Man
Micah(マイカ)はNY出身の5人組。"I'm Only One Man"は1971年にマイナーレーベル(Sterling Award)からリリースされた唯一のアルバムです。
音はハモンドオルガンとハードなギターが活躍するオルガンヘヴィサイケ~プログレッシブロックサウンドで、アメリカのバンドながら、当時隆盛していた英国プログレからの影響が顕著に見受けられます。メンバー自身、影響を受けたバンドとして、ELP, Yes, Alan Parsons, Mahavishnu Orchestraなどの名を挙げています。(ライブではSantanaのカバーなんかもやっていたそうで、そのへんのテイストも感じられる。)
アルバムの最大の特徴は、(一応7曲に分かれているものの)ほとんど全編が切れ目なくつながるトータルアルバムとなっていること。高度なテクニックとパワーをそなえた、下の動画みたいな曲が約30分切れ目なしに続くのには圧倒されます。
しかも、レコード化されたこのテイクは、もともとプロデューサーにコンセプトを伝えるためにデモ的に録音されたもので、(エフェクトやオーバーダブなどの編集なしの)スタジオライブ一発録りだったというから驚きです。ギターとベース以外の楽器やアンプはスタジオにあった借り物だったとか。
レコード会社はメンバーには無断で、この「デモテイク」をリリースしてしまうのですが、そのことにショックを受けたバンドはその翌年には解散してしまいます。もしメジャーレーベルから、ちゃんとしたプロダクションの下でアルバムが制作されていたら・・・・。いや、サイケファンとしては、スタジオライブ的な録音だったからこそ、このような「メジャー感あふれるアンダーグラウンド作」が聴けたのだと喜ぶべきかもしれません。

Beat 4
Habia Una Vez
Beat 4はチリの4人組。「チリのビートルズ」と呼ばれた人気グループで、国内では最初にスペイン語でロックを歌ったパイオニア的なバンドだそうです。本作"Habia Una Vez"は1968年にリリースされた4thアルバム。
弾むビートチューンからファズギター入りのサイケナンバー、スペイン語で歌われるストーンズカバー、情感あふれるメロウチューンまで、どれも魅力たっぷり(ストーンズカバー以外は全曲オリジナル)。ガレージパンクスピリットと、チリ産特有の繊細な感覚を併せ持った逸品で、辺境コレクターのみならず、ガレージファン、サイケファンに広くアピールする一枚だと思います。

Chrissy Zebby Tembo & Ngozi Family
My Ancestors
"My Ancestors"(1974)は、少し前にShadoks/QDKから再発されていたザンビアのPaul Ngoziが率いたバンド、Ngozi FamilyのドラマーだったChrissy Zebby Temboによるリーダーアルバム。演奏はギターのPaul Ngoziをはじめ、Ngozi Familyがバックアップしているので、ここでもあのZamrockサウンドが堪能できます。
リリースノートで「われわれはラストのZam Rockリリースにベストのタイトルを残しておいた」と謳っているように、かなり強力な内容。とにかく、全編ズブズブのファズギターまみれで、飽くことを知らぬファズギター喰いの私でもお腹いっぱいになります。ジャケのイメージどおりのChrissyのボーカルもサイコー! (こちらは姉妹レーベルのQDK-Mediaからのリリース。)
Gene Clarkのデモ音源集発売

Gene Clark
Here Tonight: the White Light Demos
元ByrdsのGene Clarkが1971年に発表したソロアルバム"White Light"制作時に録音されたデモ音源を集めたコンピCD、"Here Tonight: The White Light Demos"がリリースされます(未発表曲3曲入。3月26日発売予定)。
1966年にByrdsを脱退したあと、Gosdin Brothersとの共作、およびDoug Dillardと組んだ2作を1967~69年に発表したのち、単独名義としての初のソロアルバムとなったのが"White Light"でした。沈みゆく夕陽を背景に遠くにぼんやりと浮かぶジーンの影、その上に"Gene Clark"とのみ表記されたジャケットが象徴するような、かなり地味な印象のアルバム。逆にそれが渋好みのファンの根強い支持を受けているともいえます。
レコードビジネスから距離を置き、ヒット作を生もうというプレッシャーから解放された中で書かれた、ちょっとメランコリックで内省的な楽曲群・・・。それだけに、このデモ音源集は等身大のジーンに触れる恰好の材料となるかもしれません。
Track Listing :
1. WHITE LIGHT
2. HERE TONIGHT
3. FOR NO ONE *
4. FOR A SPANISH GUITAR
5. PLEASE MR. FREUD *
6. JIMMY CHRIST *
7. WHERE MY LOVE LIES ASLEEP
8. THE VIRGIN
9. OPENING DAY
10. WINTER IN
11. BECAUSE OF YOU
12. WITH TOMORROW
(* previously unissued)