みんなつらい気持ちがって、受診したり、相談したりにくる。
現場では「○○がつらくて、先生、どうしたらいいんですか?」と聞かれることも多い。
患者さんから見れば、こっちは専門家だから何か方法を知ってるに違いないと思うかもしれないが、ごめん、私達もよく分からないのです。
というのは、精神科の治療を別にしても
心理の治療やカウンセリングの目的はそもそも、「つらい気持ちを持ってても、それを我慢して、何とか生活を続ける能力」を育つことです。
一時的なものなら、何とか対処することも出来るかもしれない。
一時のうつ気分、一時の自傷衝動などなど
薬を処方したり、一時凌ぎの呼吸法や技法で何とか出来るものもあるでしょう。
慢性的なものに対して、我々も打つ手がないのは正直な気持ちです。
強迫行為、自殺念慮、繰り返される自傷行為、やめられない過食嘔吐、自分の人間関係をずたずたに崩壊させる衝動、最愛の人を失った悲しみ、ADHDや自閉症の慢性的不適応
そういう質問をしてくる方の中に、「今この場で何とかしてこの不快な気持ちをやはく抹消してくれ!!」と望んでいる人も少なくない。
そんな魔法みたいなことできませんよ。
我々は精々、時間を掛けて、少しずつ、こんなにもつらい気持ちになる頻度を減らしたり、持続時間を短くしたり、精々その程度です。
そうしているうちに、自分も
「このつらい気持ちをよく知っている」
「もはや私の古い友人みたいな馴染み深い存在」
「このつらい気持ちはとても嫌だけど、怖くない」
「こういう気持ちになって、ちょっと困るかもしれないけど、私や私の生活を崩壊させるほどのものではない、大丈夫」
こういう気持ちを少しずつ持つようになれば、治療やカウンセリングは成功と言えるでしょう。
特にパーソナリティ障害の人は、どんな努力をもするから、こういう気持ち!こういう行動とさらばしたい!!気持ちは強いかもしれません。
そして真実を知り、そんなことは不可能です、がっかりして、もう治療するのをやめたくなることも多い。
つらい気持ちを、消し飛ばすことはできません。
つらい気持ちを抱えながら生活をつづけられるようになる、ことが唯一の出口だと思います。
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